2018年06月

ネック折れ修理 (塗装修正なし)/ スロテッドヘッド

また、ネック折れです。

撮り忘れず、折角撮りましたので掲載いたします。

このクラシックギターの様なヘッドはスロテッドヘッドと言いまして、フォークやエレキでは一般的なソリッドヘッドよりデザイン上、仕上げが多少面倒です。

塗装修正無しの料金プランでも、簡単な色付け位はやった方が良い場合や、ちょっと個人的に着色したい場合は、ホントに簡単ではありますが、修正する場合があります。

こちらは接着整形のみ、塗装修正無し。

当方は、基本補強無し。

 

ネック折れの修理は、修理屋ごとに考えなど区々です。

当方の場合も、他の記事に所々、書いてありますので見つけて頂ければ、幸いです。

 

ネック折れ修理(塗装修正あり)/ Gibson J-45

まだ、ネック折れは続きます。

Gibsonのヘッドの正面は黒の場合が多いので色あわせはいつも楽ですが、たまにはシースルーもあります。

分離してしまっているヘッドは、ずれない様にすごく気をつけて接着します。

当方のネック折れ専用にしている接着剤で、補強無しで強度に全く心配無用。

補強しない理由は色々と他の記事も探して頂ければ幸いです。

 


正面の割れ跡は、大分痛々しく跡が残りましたので、塗装修正するからには、目立たないように濃い目に着色、これ位が濃さの限界。

ロゴ部分はマスキングが出来ませんので、色を吹いた後で付いた色を取ります。


ヘッド裏のシリアルナンバーが削り落とされて、リフィニッシュされております。

昔は並行輸入のものは、シリアルナンバーが分からないようにしてある物がありました。


濃くなり過ぎないようにヒール部と同じ雰囲気の色を意識して着色。

 

全体的な色のバランスは、悪くなく出来たと思います。

シリアルナンバーはありませんが、69年頃かな。

なかなか好い雰囲気です。

 

ネック折れ修理(塗装修正無し)/ Gibson Flying V


大分昔にネック折れを補強して修理してもらったそうです。


昔からの方法で、ロッドを2枚の板で挟む補強です。


裏から見ると分かり易いです。

ネックがマホガニーで補強材はメイプルです。


補強する意味でメイプルは間違えでは無いと思います。

ただし、木というのは膨張収縮を繰り返していますので、その事も想像しなければならない場合があります。

 

元の材と補強した材の動きに差が出て、ずれて段差が出来てしまった、そして折れた部分がまた離れてしまった、と言う状態です。

同じ材であれば問題ないかと言えば、新しい古いでも全く違う材の様ですし、難しい事です。

タイトボンドを使って折れたネックを修理する場合は、補強が無ければ将来的に折れた部分がもちませんが、その補強が仇になってしまったケースです。

ヘッドを引っ張ったら簡単に抜けてしまいました。

離れた部分が密着しなければ色々考えなければなりませんでしたが、掃除して叩いて戻したらピタッと収まるので、余計なことはせずこのまま接着します。

 

 


見た目、全く直っている様には見えませんが。


離れた部分の塗装のラインが整形の際に更に剥げてます。


見た目には関係なく、手触りは全く違和感がありません。


多少でも凹凸があると違和感が生じるので、整形は丁寧に。

今後将来的に補強部分に段差が出来る可能性が無い訳ではありませんが接着部分は、はがれません。

 

個人的には、タイトボンドを使っても補強をすれば大丈夫なのかと思っておりましたが、色々と聞いてみると有名ショップに依頼して、「補強してあります!」の修理でもヒビが入ってきたなんて話もありました。

当方では、補強は全くしませんので、補強するのであればそのケースに合わせて考えるかと思いますが、補強は通り一遍等にやるだけではダメで、技術だけでは無く、いろんな事を考えなくてはならないか分かります。

当方の考えは、一番密着する折れた部分同士を、信頼できる強い接着材で密着させる。これに尽きると思っています。

折角密着する部分を後から掘ったり、削ったりして他の材をつけてしまうのは、コストも上がり、色々と良い所が見出せません。

すごく強く、絶対折れない補強なら良いかと聞かれれば、それはそれでアクシデントがあった際にヘッド側で折れず、ヒールで折れてしまうのはもっと面倒になってしまう事が考えられ、ヘッド側で折れてくれても補強が入っている事で複雑化してしまう事もあります。

修理した部分は折れない、ただしアクシデントがあった場合は、ネックは折れてしまう事がある通常の状態が理想だと思っています。(修理部分は強いので、折れる時はすごく近くが折れます。)

 

 


ロッドナットまでくっつけてはいけませんので、ちゃんと工夫して作業しなくてはいけません。

塗装修正無しですので、剥げてもそのままです。


ロッドカバーが大きいので、ある程度隠れます。塗装修正無しでもこれはこれで、カッコよく見えます。


エレキは重いので、折れ易いです。

次のブログも多分またネック折れです。

 

ネック折れ修理(塗装修正なし)

特にヘッドに角度があるネックの場合は、何らかのアクシデントの際は、ネックは折れてしまうと考えて下さい。

折れなかった場合は、ラッキー!


塗装修正無しで仕上げ。


預かり期間が短く、コストを抑えて修理出来ます。


色落ちした部分は、修正せずそのまま。


中途半端に修正すると返ってかっこ悪くなってしまいます。

塗装修正無しでも、強度には関係ありません。

ネック折れの修理が多いのですが、この後もネック折れの修理例が続きます。

 

フレットすり合わせ / J-45の続き

前回のJ-45のフレットです。

大分減っていますが、フレット自体に高さがあるので今回はまだ交換せず、すり合わせて、整えます。

 

使っていれば、フレットはいずれ交換する時期が来るのですが、フレットの高さ、太さ等、弾き手それぞれ好みがありますので、交換の時期も区々です。

 

フレットが減っていようが、低かろうが、演奏上問題なければ無理にお金おかけなくてもよいですし、「チョーキング命ですから、フレットが低いのはイヤなのです。」という方もいますし、他の部分の修理なども同じ事ですが、オーナーが問題を感じていなければ、無理にお金を掛けなくても良いのです。

ギターの詳しい人や、お店等で、ギター診断みたいな事をやられても慌てないで大丈夫です。

現在まで弾いていたのですから、壊れたら直せばいいんです。

 

 

ボディ割れ修理 / Gibson J-45


今回はこう、です。


アクシデントがあった際に、ネックが折れることは良くありますが、ボディが割れてしまったケース。


ヒールはボディが割れている部分からヒールエンドにかけて剥がれて、ネックをジョイントするネックブロックも割れています。

 

 

とりあえず、くっ付いていれば良いと言うのであれば、このまま割れ部分を全てくっつけてしまえば良いのですが、塗装もきれいに直すのでネックは外してしっかり修理します。

ネックを外すには、ヒールエンドからトップ側にネックを押し出して外すのですが、この場合は通常通りのやり方ではネックを押し出そうとするとネックが押し出されず割れ部分がだけが開いて行くばかりなので外すにも一工夫が必用です。

 


 

割れてズレた各部修正しながら接着をして、ネックの角度を調整し、塗装面も調整してしまいます。

 

大昔にGuildのハカランダボディのオールドギターのネックリセットの依頼で、いつもの様に蒸気でジョイントを温めつつネックを押し出したのですが、その時はギルドの割りに早くネックが動いたので、「これは楽に行くかも。」等と思い、更に押してみたところ、サイドが割れて開いていたなんて事もありました。

そのギターの、その部分には割れを修正した跡があり、過去に修理したんだなと、注意しながらの作業になったのですが、いくら蒸気をやれども、ネックに力を加えてみても、叩いてみても、何をやってもびくともせず、ボディもネックも蒸気を含むばかりで、ビクともです。

そんな事をやっているうちにヒールが途中から割れてしまいましたので、もう諦めて折れた先からネックを外しました。

そこで初めて分かったのですが、接着剤にエポキシが使われていたのです、真っ黒でガチガチの、こんなのいくらやったってやわらかくなるはずが無いのです。

(最近外したMartinにも同じ接着材が入っていましたので、後に紹介します。)

そしたら後は、ヒールの残った部分は外すのは簡単だと思いきや、これがまた取れず結局残った部分も5等分に割れてしまう強情っぷり。ジョイントにコンクリートが詰まっている感覚。

 

過去の修理屋さん、ネックが外せず、ボディが割れてしまったので、リセットを途中で諦めてくっ付けてあったのではないかと思います。

ですので、修理をする人は肝に銘じてくださいね、将来また修理をする事が前提と言う事。

そうしないとビンテージとして残せなくなってしまいます。

アコギはほとんど接着で出来ていますが、接着部分の精度が大事です、(ブランドやモデルによって分かれますが)取れない、剥がれない接着が正しいと言う事ではありません。

 

話が、今回の修理とは関係ない所へ脱線してしまいました。

 

 


割れた跡が目立たないように塗装します。


ネック折れ修理同様、多少濃く着色。


写真が下手なので、伝わり辛いですが・・・。


角度を変えて撮影。


反対側。


J-45

ギブソンも、50年代のイメージにしたい訳では無いのか、適当なのか分かりませんが、ブリッジの形が惜しいですな。