2019年08月

ペグ交換 / Paul Reed Smith

ペグをグローバーへ交換します。

こちら、いいギターという事は知っています。

私、80年代以降の新しいブランドの価値がよく分かっていませんので心配な方は、エレキ専門のショップへご依頼下さい。

 

電気周りの修理や、その他の改造等も一切やっておりませんが、アコースティックギターと同様の作業(ネック折れ、フレット交換等)でしたらエレキも預からせて頂きます。

より専門的な対応をお望みであれば、エレキギターにも詳しい専門店へご依頼下さい。

※現在はエレキ専門の修理者が不定期ですが手伝いに来ていますので、一般的な電気修理でしたらお預かり出来ます。

※不定期の為、お見積りが数週間頂く場合があります。

 


 

グローバーのロトマチックタイプへ交換する為には、穴のサイズが大きくなりますが、穴は全部同じサイズに貫通させず、元のブッシュを再度取り付けられるように段にして残します。←(オーナー喜こんでくれて私もうれし。)

 

オールドエレキの査定は、アコギに比べてオリジナルパーツ重視の傾向が強いので、パーツ交換がされていてもオリジナルパーツを保管してある事やオリジナルへ戻せる状態が望まれ、市場価値の高いものほど配線(ハンダ)等も含めていじられていない事が重要視されているようです。

アコギの場合もオリジナルパーツで使用可能ならばその方が査定も良いと思いますが、修理する事が当たり前のアコースティック楽器は、エレキほど重視されてないように思います。(交換されたパーツがカッコ悪くなければの前提)

 


私個人的には、元の軽いペグが好きですが、オーナーはご満悦。


デザインの好き嫌いも勿論ありますが、重量を変える事で音質も変わります。


重くなる事で、音も重く、サスティーンも長くなります。


エレキギターはピックアップやアンプ等で音を変える事が出来ますが、このようにアコギ同様、パーツでも変る事が出来るんです。

 

今回のようにペグだけでなく、ブリッジ、ナット、サドル、それぞれのパーツの質で音の性質も変わります。

大きく変化が感じられる場合は、交換前後のパーツの質量の差が大きい場合。

重ければ音も重くなり、サスティーンも長く、軽ければ音も軽く、サスティーンも短くなります。

アコースティックギターの場合は、ナット、サドルを交換する事が良くありますが、プラスティック系から牛骨へ交換した場合でも変化は感じられます。

この場合は重い方へ交換していますから、音は重くなり、感覚としては音が良くなったと感じる場合が多いようです。

しかし、この辺は全く好みですので、どちらの良し悪しと言う事ではありません。

重く、サスティーンも長くなると音もゴージャスになったように感じますが、好まない人には暗い音に感じます。

軽ければ音は軽く、サスティーンも短いですが、言い方を変えれば明るい音と言えます。

パーツだけではなく、ギターそのものの重量でも音質が左右されますのでギターを選ぶ際や、パーツ交換の際にはこの事もヒントにしてみてください。

 

 

キズ直し(基本は、お断りなのですが…)


 

キズ直しは、基本的にはお断りしております。

どうしても直したい場合は、ご事情等聴かせていただいて、預からせていただく事もあります。

但し修理を承っても、リフィニッシュしてまで傷直しはしませんし、修正し辛い場所や色等ありますので、いつもきれいに出来るとは限りません。

 

キズ直しは正直、難しくてお断りしているところも無い訳ではありませんが、「これくらいは出来るんだぞ、ほんとは。」というアピールで今回はアップしています。

 

使っていればキズは必ず付きますので、直してもきっとまた同じような事があります。

キズもそのギターの歴史の一部として愛でて頂ければ幸いです。

思い入れも人それぞれだと思いますが、音楽をする為の道具ですから使い倒してやってください。

 

 


 

 

リフィニッシュは、やりません。

ご了承ください。

 


キズが黒い部分にギリギリかかっていましたので、黒の着色が出来ました。

サンバーストの黒がちょっとだけ大きくなりました。


色が明るい部分は、木地までキズが入ってしまうと跡が残ってしまいます。


高いギターですから、お気持ちも分からなくもありませんが…基本お断りです。

ご了承下さいませ。

 

借り物のギターをぶつけてしまった等、どうしても直さなければならない事情もあると思います。

傷直しも快く預かってくれる修理屋さんも沢山あると思います。

ですが、わざわざ当方でキズ直しをご依頼頂ける事は、本当に感謝致します。

確実にきれいに修正するには、リフィニッシュしか方法はありませんが修理上、必要のないリフィニッシュはやりませんので、今回のように割ときれいに行く場合もありますし、行かない場合もあります。

 

大昔、私が若い頃クロサワでアルバイトをしていた時、修理屋の今井さんが塗装修正の依頼を、「きれいには直らないですよ。」と断言していた事を思い出します。

当時は、こんな事が出来る人が世の中にいるんだ、と思っていた人(神様)が「直らない。」と言ったのでびっくりして覚えています。

 

 

ネック折れ修理(割れ跡絶対見えない仕上げ)/ Morris


ギターは、倒れない所へ置きましょう。

特にヘッドに角度が付いている場合は、大なり小なりダメージを受けると思ってよいでしょう。


もし折れてしまったら、いじらずにそのまま、現状維持で持って来て頂ければ幸いです。

破片もあれば持って来てください。


こちらの方は、正に折れた、そのまま持って来てくれました。

弦を外そうとしたら、ヘッドが落ちました。

 

 

ホームリペアも楽しいので、それも悪いことは何もありませんが、接着が不十分でヒビが入ったり再度折れてしまうと最初の修理より面倒になります。

当方では補強無しで、接着部は折れない修理をします。

いつも同じ事を言ってます。→過去ブログ(記事の下の方)

 

 


どーですか。

十何年振りに、濃~く塗りました。


絶対に割れ跡は見えません。


割れた跡が見えたら嫌なんです。

 


事前の打ち合わせで決まった方針ですから、これで喜んで頂けましたので、間違ってはないのです。


修理を始めた当初は、割れ跡を隠すように濃く着色していたのですが、だからと言って修理の事実は見た通りですから、折れた跡は無理に隠さない修理が基本(多少濃くする程度)になりました。


出来る限り、意に沿えるよう、がんばっています。

 

 

今、改めて見てみますと、正面は全体を濃くしているのだからヘッドの裏のマークは見え難くなってもヘッド全体を濃く塗ってしまえば良かったかなとも思っています。

ネック折れ修理例は、他にもいろいろとアップしていますので、修理ご依頼の際に参考にして頂ければ幸いです。

 

ナット交換 / Martin


 

久々にナット交換の様子を見て頂こうかと思います。

ナットはただの弦のガイドにあらず、チューニングにも演奏性にも音質にも影響する非常に重要なパーツです。

 

ナットを外す際は叩いて外すしかないのですが、がっちり着けてあるナットは無理に叩いてしまうとヘッドの突板を壊してしまう事になります。

ガッチリ付いていて、突板が分厚い場合はナットを半分に割ってから叩いて外します。

ガッチリ付いていますが、今回はそこまで突板は厚くないので、突板が割れないようにカバーして叩きます。(画像はありません、ご了承ください。)

突板が割れてしまうといけませんので2~3度叩いて外れなければ、叩いて外そうとせず半分にしてから外すことをお勧めします。

 

 

 


半分に切る手間はありませんが、ナットは欠けて溝に残ります。


残った部分は慎重に取り除きます。

 


溝の底を平らに調整する際、私の場合はこれから取り付けるナットの底にサンドペーパーを張り付けて、それで削って調整します。


大事なポイントは、ナットの密着度、各弦の溝の適正な調整、適正な弦の間隔、適正な大きさ、等。


小さく作る事が鉄則なので、大きくならないように作ります。

サイド面が平らではなく僅かでも膨らんだ形になると見た目や触った感じが気持ち悪くなります。

 


以上が踏まえられていれば大体いいナットです。

基本的に形は自由ですが、そのメーカーらしい形に作ってやる事が一番しっくりくると思います。

 

ナットが交換されているギターは沢山ありますが、修理者独自の形であったり、なんでもマーチンの形にしてしまう人とか、いろんな修理者がいます。

私個人的にはそれぞれ見慣れている為、そのメーカーらしくない場合は非常に違和感があるので、出来るだけそのメーカーらしい形に近づけます。

 

 

フレット交換(リフレット)/ Gibson Dove

指板修正をしています。

インレイ部分、最終フレット部分が凹んで平らにならず当たっていません。

バインディング部分も直線は出ていません。

 

ですが、これ以上削っては削り過ぎになります。

フレットが乗る部分が点で直線に繋がれば良いのです。

意図的にスキャロップした指板は強く押さえた場合はシャープしてしまう事もあると思いますが、この程度の凹みであれば演奏性を左右することはありません。

 

 


フレットはリクエストが無ければ、ステュ-マックのフレットでリフレットします。

 


別ブランドのフレットをリクエストされる場合は、別途料金にて取り寄せます。


ステンレスフレットは当方のメニューにはありません。

ご了承下さい。

「どうしても。」の場合は一度ご相談ください。

 


 

こちらのDaveは以前ピックガードを交換したギターです。

オークションで入手された直後は随分とボロでしたが、またこれで気持ち良く弾けますね。