2019年10月

フレット交換 / Takamine DMP370NC N


 

クラシックギターのリフレット(フレット交換)です。

クラシックギターのリフレットは珍しいのですが、先日もやったばかりです。

「同じ修理が続く」あるあるです。

こちらのギターは、弦高が標準的ではあるのですが、弦高を低くする為に指板の歪みを無くしてネック(指板、フレット)の精度を上げる目的でリフレットします。

リフレットの際に気を付けなくてはならないのは、ネックの角度が十分であるか、十分でない場合もリフレットが可能か、どうやって可能にするかを考えて作業に入らなければやる意味の無いリフレットになってしまいます。

リフレットの際は、指板の調整がある事や第1フレットが交換前より高さが増す事が多く、そのままでは弦高が僅かですが上がりますので、弦高を下げられる余裕が無くてはなりません。

 

 


クラシックの時は、指板調整後、平らになっているか確認します。


指板はフレットを打つ前にチェックします。

打っちゃった後は、直せませんから。


どのポジションでも平らに。

 

 


リフレットするにも便利な道具が色々あって、私も試したこともありましたが、やはり昔からやっているやり方に戻ります。


トンカチでフレットをコンコン打つのが、結局納得がいきます。


今回は文字少な目でしたので、前々回 のブログも見て頂ければ幸いです。

 

ブリッジプレート修正+リフレット / Gibson J-50


ブリッジプレートの穴が大きくなってしまって、割れもあります。

穴が崩れてしまうとボールエンドが中へ食い込んでしまいます。

穴の周りを丸く削り落して修正しますが、スペースが足りない為、少し足してから修正します。

 


作業の邪魔になるものは外します。

古いギターのロングサドル等では、接着されているものがあり、外す際にもコツがありますが、それでも壊さざる得ない場合や、割れてしまう場合もあります。

 


丸く削り取る部分が足りないので同じ厚さのメイプルを後ろへ少し足してあります。

弦のボールエンドの向きは、どっち向いてても良いですが、私はいつもこちら向きです。

ブリッジプレートが崩れたまま使っている場合やサドルが低すぎる場合等は工夫したりしますが、しっかり留まっていれば事は足りていますので難しく考えなくても大丈夫です。

 

”弦交換” 関連では、ずいぶん前に、弦の巻き方でブログにした事がありますので、そちらもよろしければ。弦の巻き方

 

 

 

 


ブリッジプレートが終わって、リフレットする為、ナットとフレットを外します。

ナットは形が悪くても、材がなんでも基本問題ありません。


しかし、ナット自体が浮いて付いていたり、弦が乗る溝の位置、深さ、太さ、角度、底の丸い形、が悪くては良いナットとは言えません。


ナットが乗る部分は調整して密着させます。

深すぎる場合は、足して調整します。

 


但し、深すぎてもそれがオリジナルのデザインであれば、そのようにします。(モーリスとか)


このJ-50 はリフレットがメインでしたが今回は、ブリッジプレートとナットの回になりました。


ブリッジプレートは崩れっぱなしでも工夫して使われている方もいますし、こうしなきゃダメと言う事は一つもありません。


不具合を感じたら修理すればよいのです。

その場合は、当方での修理をブログや修理実績のページでご覧になれますので、参考にして頂ければ幸いです。

 

ボディの中の不具合は気づき難い上に、ほっといても演奏にはあまり関係ありませんが、良い事でもありませんので、ボディをタッピング(ドアノックの様に)して剥がれ音が気になる方は、ご予約下さい点検いたします。

 

※ 力木ハガレ等、ボディ内をホコリを掃除しないまま手を入れて、いじってしまうと接着に支障が出る事も考えられます。

コンプレッサー等を併用して確実にきれいにしましょう。

 

 

フレット交換 / Masaru Khono Special

クラシックギターのリフレット(指板修正、フレット交換、ナット交換、他調整)です。

よそでもきっとそうだと思いますが、クラシックのリフレットは珍しいです。

エレキやフォークギターの鉄弦は固く、特に高音弦側は小さなポイントで当たり続けて深く削れるので、いずれ交換が必要になります。

 

クラシックギターでも低音側の弦は金属が使われていますので、弾き手によってはフレットを交換する程減ってしまう事があります。

若しくはフレット交換が目的ではなく、指板修正が目的の場合があります。

今回は純粋にフレット交換ですが、その場合も新しいフレットを打つ前に指板調整をします。

 

これから新しいフレットを打つ所ですが、上の2本が新しいフレット。

下の2本はスタッドが無いフレットで、もともとはツルっとして出っ張りの無いタングです。

古いギターで使われてる事が多いです。

 

スタッドが無ければしっかりと溝に喰い付かないので、角のある固いもので打ったり、切り込んだりしてスタッドを作ります。

しかし必ずと言う訳でもなく、ツルっとしたまま溝に打ってあるギターもあります。

 

 


真っ平にしなければならない指板修正は意外と難しく、全面を1度に平らにしようとすると、擦っている時にどちらかに力が寄ってサイドが落ちたり、薄っすらアールが付いてしまったリします。


指板は上から下まで(フレット上)真っすぐに調整されなければなりませんが、どのポジションでも平らでなければなりません。

 


ネック(指板)はサイドのラインを見て判断する事があるのですが、アールの付いている指板では、両サイドが落ち過ぎて気持ち悪い指板を見る事があります。

恐らくそこばかり気にし過ぎて削り過ぎてしまったのではないかと想像します。

 

 

※指板は調整上、フレットの並ぶ位置が真っすぐにつながる事と、指板の削れ等(押弦する部分)は無視した状態で平らに出来ていれば良いです。

エレキやフォークでは、指が当たる位置の指板が凹んでいるものやスキャロップした指板やキズ修正か何かでそこだけ凹んでいる指板を見ますが、修正する際は、こういった部分は無視します。

削り過ぎない事が鉄則です。

 

 


新しい第1フレットに合わせたナットを作り直します。


フレットが短くなった部分の処理が結構面倒です。


メイドイン都心です。


日本代表のギターの一つです。

 

大昔、黒澤楽器のお茶の水駅前店でアルバイトしていた時代がありました。

昔の駅前店は、現在と違いアコースティックの店で、当時の黒澤の1番良いオールドを置いた店でした。(新大久保店になる前)

店に入って手前がフォークギター(+エレキ)そして店の奥側半分弱がクラシックギターのスペース、そこにはお金持ちのお客様や当時の常務や店長(山口さん)がいつも当時の私には難しい話をして盛り上がっておりました。

ただ、聞こえてくる声は、常務のでかい声ばかりですが、それでも色々勉強になりました。

そして製作家の方なんかも時折いらしていたのではないかと思いますが、澄雄先生(黒澤澄雄)以外知りませんでしたから、河野さんなどもいらしていたのかなと想像しますとなんともったいないことをしたと今更思ってしまいます。

一度、製作家の方とちょっとだけ周りに誰もいない時、話をして頂いたことがありましたが、誰だったんだろう。

当時は修理屋の今井さんが神様でしたから、製作家の方にはあんまり興味が無かった…。

 

ネック折れ修理(塗装修正無し) / Epiphone FV Bass


スカーフジョイントで継いである所が折れてます。

ネックの強度を上げるためにこの手法を取り入れるようになったと聞いたことがあります。


ですが継いだ所の接着が弱いのか、ベースなので張力が強いのか。

何れにせよ、倒れたりすればタダではすみません。

 


私の仕事仲間はネック折れ修理は、当方と同じく補強の無い修理ですが、サンダーバードには補強を入れると聞いてます。

ですが当方では、これも接着のみです。


補強が無くても、再度折れた報告はありませんので、基本補強無しにこだわって行きます。

 

ネック折れ修理に関して、補強をしない理由など過去のブログで幾度となく書いていますので探してみて頂ければ幸いです。

こんなのや→ 大分前のブログ こんなのとか→ 割と最近のブログ

他にもありますので、よろしければ。

 

 


メイプルやスプルース等、白い木は割れた所が汚れてしまうと目立ってしまいます。


出来るだけ掃除はしてから接着しますが、ある程度筋は残ってしまいます。


割れた所をついつい触りがちですが、汚れますので触らずそのままそ~っとしておいて下さい。


擦って磨いて色も大分抜けました。

塗装修正無しですので、これで完了です。

 


 

自慢では無いのですが、「またヒビが入ったぞ。」や「ぶつけてないのに折れたぞ。」等のクレームは一切無いのですが、もしかして、「やっぱ、補強無しじゃダメじゃん。」「やっぱもう頼めないな。」等、報告が無いまま見限った人はいないかと心配が無い訳ではありません。

修理後も以前と同じように扱っても全く問題無く使用できますが、万一全く何にも無いのに修理箇所にヒビが入ってしまった等があれば必ずご連絡下さい。

但しハードケースに入っていても転倒した際には、折れる事はよくありますので、ケースに入っていても倒れ無いよう気を付けてください。

そして、接着部分はとても強いので、倒れた際には接着部の隣から折れる事があります。

その場合は、接着部が再度折れたように見えます。

 

優しい方は、「とてもいいですよ!」等メールをいただく事もありますが、連絡は無くて当たり前ですので、便りが無いのは良い知らせ、だと思っています。

ですが、「皆川~ダメじゃん。」と思った場合は、必ずご連絡下さい。

よろしくお願いいたします。