2022年03月

ネックリセット / D-18 Golden Era


 

半田ごてでネックジョイントを温めますので、以前のように隙間から蒸気が噴き出すことが無く、数年前から塗装のダメージを心配しなくてすむ様になりました。

ですが多少、ジョイント内部へ蒸気の効果も欲しいので途中で穴に水を差し込みます。

見えているスポイトで満タンに準備して半分~1/3余る位です。

マーチンであれば然程時間が掛からずネックが抜けてくれますが、他のギターでは時間が掛かりますので注意が必要です。

蒸気の様に直接塗装に熱は掛かりませんが、中から熱がかかって来ます。

あせらず、じっくり、もたもたせず、きをつけて、やります。

※指板に空いている穴は、ダブテールジョイントの底部につながります。ボディトップに空いている穴とは関係はありません。

 

 

 


サドルは、高過ぎず、低過ぎないように。


半田ごてを突っ込む穴が大きいのですが、エボニーであれば目立たなくなって好いです。


リフレットしてませんが、ナット交換。

 


 


 


 

メンテナンスやネックリセット等、時計のオーバーホールの様にやらなければならないと思い込んでいる人もいるようですが、日頃弾いていて気になる事が無ければ、無理にお金をかけなくても良いです。

それを弾く人によって、不満や不具合が無ければそれで良いのです。

みんなそれぞれ、十人十色ですから。

 

ネックリセット Martin D-28 (1965)


スタッフの山口です。D-28のネックリセットを見ていきます。いつも通り15フレットを抜きダブテイルジョイントを温める為の穴を開けたところの写真です。


指板をトップから剥がすために接着剤を温めます。温める為のライトはLEDではない山田照明の旧型Zライトです。LEDはエコかもしれませんがこのような用途には使えません。ちなみにこの工程はラーバーヒーターを使う人もいます。


ダブテイルジョイントを温めるのはヒートスティックと呼ばれる専用工具。この工程は蒸気を使う方法もあります。


接着剤が温められ軟化し、少しずつヒールが動いていきます。


無事にネックが外れました。写真はベタベタの古い接着剤を綺麗に取り除いた後です。


ヒールを削って仕込み角度が決まったら指板を少し足してあげます。これをしないと角度がついた分ハイフレットが下がってしまいます。


ネックが元通り接着できたらサドルも新しく作ります。サドルが高ければ高いほど弦高が下げられる余地があるのでその方が良い、と思われる方もいると思いますが、出過ぎたサドルは少々残念なネックリセット例の一つと見る人もいます。

程良く、さりげなく、丁度いい高さがやはりカッコよく、そして音もいいのではないかと思います。


「しばらく弾かない時、もう今日は弾かないと思ったら弦は必ず緩めましょう!」とお客様にはご案内します。師匠の長年の経験上、修理が必要になる原因の多くは弦の張力に負けてしまったことによるもので、弦を緩めておいたことに起因する不具合の方が圧倒的に少ないとのこと。

僕も短い経験上ですが本当にそう思います。

一回一回チューニングするのが面倒くさいというデメリットもありますが、チューニングの腕が上がるという意外なメリットもあります。チューニングが素早く手慣れている人はミュージシャンぽくてカッコイイですね。

 


 

ハカランダのサイドバック。いつかは欲しいと思いつつ、相場は上がり続けどんどん手が出しづらくなって、最近は一生買えないのではないかとまで思うようになってきました。

もちろん、ナイスギター!

 

 

 

 

バインディングはがれ / Martin D-28

バインディング剥がれは割と気が付き難かったりしますが、このようなケースもあります。

外れてしまったり欠けてしまったパーツは出来るだけ取って置いてください。

こうやって戻ります。

バインディングから剥がれずに一緒に剥がれているトリム(内側の細い黒白)であればそのまま付けたまま作業すれば良いのですが、トリムがバインディングから剥がれている場合は、縮み具合が違うので、それぞればらして貼り直さなければなりません。

 


縮んで足りなくなった部分は後から足します。


無くしてしまった部分は後から足します。


足りなくなった部分は足します。

隙間になった分、縮んでいます。

バックのバインディングは、ヒール下で継いであり、トップ側は指板の下まで入っています。

トップのバインディングが剥がれてしまった場合は、ネックを外さなければ剥がして詰められないので出来る限り頑張って圧着します。

ですが、無理な場合は、ネックを外すか、ボトム部まで剥がして切り離します。

その後は、バック側でやったように隙間の部分に足します。