2024年02月
ボディ剥がれ / Ovation 1990
修理する箇所によりますが、この場合は邪魔になりますのでパーツ類は外して作業します。
丸いマイナスのネジ頭のようなものは、1/4ターンファスナーと言う呼び名の電池ボックスホルダー、1/4回転した所でオスメスが嚙み合って電池ボックスが固定されます。
その右上にちょこっと見えているのはプリアンプのパネルとVoノブ、これも当然外します。
このモデルは 1990年のコレクターズシリーズ Ovation 1990 で、オベイションが一番ノリノリだった時代。
16フレットジョイントで、24フレットあるデザインは1988のコレクターズシリーズから89、90と3モデル続きました。
丁度バンドブームの時代でエレキみたいにアコギを弾く人も沢山増えた時代っだった気がします。
スプルースやシダー以外の奇をてらったトップ材を用いたモデルとしては最初のモデルで、スーパーシャロウ199S-7、ディープボウルカッタウェイ1990-7の2タイプ。
杢目を強調した見た目ですから、みなさん良い杢目の物が欲しいんですけど、バーズアイがちょぼっとしか入ってないのもあって不公平感があるなと思う日々でした。
バッテリーボックスがまだ1/4ターンファスナーで留まっていた頃のOvation は自分の若かったころの思い出等と相まってとても好きな時代のOvation でございます。
ネックリセット /Gibson L-00
一目で分かるヴィンテージギターの風格です。このくらいの小ぶりなギターを自宅用にずっと探しておりますが、何せ良いギターにたくさん出会える恵まれた環境におりますゆえ、目移りして迷っているうちにどんどん相場が上がって手が出なくなってしまいました( T_T)\(^-^ )
そんなナイスギターを数多くネックリセットしてきた当工房ですが、皆川氏も僕もカウントしておりませんので一体今まで何本やって来たのかわかりません。しかしながら全国的にネット検索しても、うちほどネックリセットの記事をあげている工房は見当たりません。
「ネックリセット本数日本一!」の看板を自ら掲げなくとも、お客様がブログを見て「ここは日本一やってそうだな」と思って安心して預けていただければ幸いだと思っております。
「数をこなすよりも大事なことがあるぞ」、とどこかから聞こえてきそうなので今日はこの辺で失礼します。
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
ボディサイド割れ修理 / Gibson J-45
上の画像でも分かりますが、割れはずれて段がついています。
割れ修理の際には、このズレを出来る限り無くして接着したいのです。
トップの割れを接着する場合は、平らなもので挟んでクランプしてやればほぼズレは無く接着が出来ますし、然程力が必要無ければ強力磁石で挟む事も出来るのですが、このようにサイドやバックの場合はそれが出来ない事が多いです。
接着するには割れ部分に接着剤が行き届かなくてはなりませんが、「接着剤を付けてから、割れ部分のずれが無いようにちゃんとそろえて、クランプ、あ、ちょっとずれたから直さなきゃ…」何てことやっている暇はないのです。
一発でズレ無くクランプ出来れば問題無いのですが、そんなことは出来ないので、ズレていない状態を作ってから接着します。
「ピタッとしていたら接着剤が入らないではないか。」とお思いの貴兄、スーパーグルーを使うのです。
所謂、瞬間接着剤の類です。
コツはありますが、これの粘度の低いものなら毛細管現象の原理で接着出来ます。
Gibsonのラッカー塗装はスーパーグルーの付いた跡が研いても消えずに残ってしまう場合がある為、ボディの内側から接着剤を入れられればそうします。
割れの筋が目立たないようにするには塗装を木地まで剥がして塗り直しますが、今回はそれは無しです。
楽器が新しければ新しいほどキズや修理の跡が悲しいですが、ずっと使い続けて行くうちにキズも増え、修理も必要になる事が出てきます。
キズや修理跡も使い続けた歴史の一部と思えば更に愛着も湧いて来るのではないでしょうか。