2024年09月

ブリッジ交換(ネックリセット)/ Martin O-17

この多少形やバランスが悪くなっているブリッジを作り直して、ネックをリセットします。

ブリッジが出来ましたら、ネックを外し、

綺麗にして角度を調整します。

 

ジョイント内部に白いものが貼り付いていますが、紙きれです。

ネックをセットする際に絶対にヒールが浮き上がらない様にシムを挟んで調整しますが、シムに紙が使われています。

紙は木で作ったシムのように繊維が通ってない為、シムとして使う事は間違い(手抜き)です。

修理屋はおそらくこんなことはしませんので、Martin工場でやられた修理なのだろうと思います。

(Martinでは過去に紙をシムとして使っていた時期があります。)

過去ブログにいくつか掲載しております。

これだけ古いギターですと(1939年製)いろいろと修理が施されているのは当然ですが、修理者の中には真面目な人も不真面目な人もいろんな人がこのギターに関わって来たのだと思います。

紙のシムであったり、指板裏にはスプルースで厚みを調整してあったり…

ローズ指板、マホトップですから指板に下駄をはかせるならローズ系、でなければマホ系が好いと思いますが、トップ側は他にもメイプルのような板でも補修してあったりもします。

こんだけ指摘しているのですから、どう綺麗にしたか見せろと言われると思いますが、大たい気持ちに余裕がない時は画像も無い事が往々にしてあります。

ご了承ください。

 

 

ハカランダ材はなかなか入手出来ません。

もう在庫は僅かになりました。

オーバーサイズでなければ好いですが、古いギターですからオーバーサイズであっても雰囲気は好いです。

 

昔、Martin工場に見学に行った方の話では、ブリッジ修理は剥がさず壊して取り外して、オーバーサイズのブリッジに交換する、と聞きました。

Martinで修理するのだから何やったって公式なのだろうと思いますが…

現在は価値観が昔と違い、すごく細かい事を言う人も居ますから流石にMartin工場もやり方は変わったのではないかと想像しますが…

でも、前にNHKで福山雅治氏所有の大昔D-45をMartin工場で修理しよう!(タイトルは覚えていません。)と言う番組で修理には関係ないヘッドの突板まで交換しちゃっていたような気がします。

私の勘違いなら良いのですが、見ていたその時は、「何やってんの?」 もしそうなら福山さんはどうだったのだろうか、テレビでなければ流石の福山さんでも怒ったのではないかと想像してしまいます。

オールドギターの醍醐味、価値はそれぞれではあるかと思いますが、古いパーツや塗装が残っているからそこににロマンがあるのに…、しかもぷりおーまーちんなのに。

今では流石に、私の勘違いだったろうなと思い込んでいます。

 

 


 


 


 


 


 


 


 

このギターの修理のリクエストのひとつが「ニカワ接着」だったのですがニカワの扱いは全く慣れていません。

それ故、慣れないものは安易に使わない方が良いので積極的には使わなかったのです。

十七、八年前にタイトボンドのフランクリンから出ているニカワ接着剤がある事を知り、これなら誰がやっても同じ接着力になると思い、頼まれていないのに1度だけMartinに試してみたことがあります、記憶が曖昧ですが他にも一回リクエストがあった際に使ったかもしれません。

その際に感じたことは、「固まらない、すごく遅い」この理由から、その後リクエストもないし全く使う事はありませんでした。

そして今回、やはりすごく遅いので調べてみれば、消費期限は2年であることを知り、流石に古すぎでしたので、新しいフランクリンタイトボンドニカワを入手してやり直し。

新しく買ったって消費期限は後6ヵ月しか残ってません、もう一回ネックを取り外して、「さー付けるぞ!」と思いましたが、思いとどまり。

他で硬化具合を観察してからにしましたが、やはりだめでした。

むしろ昔の方がまだまし、すごく遅くても何とか固まりましたが、今回は気温次第で硬化が進んだり戻ったりしてしまうのでとても使えません。

でありますので、当方ではニカワの使用は今後一切ありません。

その際は、ニカワの取り扱いを熟知された方にご依頼ください。

ただ不思議なのは調べた際の評価では、とても良いとダメが半々位だったのはフランクリンであっても何かコツがあるのか無いのか、分かりません。

 

当方の基本接着剤は、フランクリンから出ている「タイトボンド」です。

ニカワのように修理が可能で、ニカワより接着力があり、ニカワのように劣化もしませんし、とても固く硬化しますので音響への影響も優れています。

よろしくお願いいたします。

 

追加画像


 

一つ画像が見つかりましたので、追加します。

こいつが例のフランクリン タイトボンド、ニカワです。

指板の接着面にはメイプルやスプルースが貼られていましたが、平らに修正してネック角度も決まり、シムも調整が出来、全て準備が整い、今回はこのニカワでございます。

という画像。

 

今後このタイトボンドニカワは使う事はありませんが、本物ニカワを自分のギターで試してみたいなと思います。

その後、リクエストがあった際は、お答えできるかもしれません。

 

ボディ破損 / Taylor 314 Left


 


 


 

ボディの割れを接着する際は、出来る限りずれないように接着したいのですが、割れが一筋(1本)だけであっても難しい作業であります。

こうなっちゃっていますと、かなり難しく全部きれいに揃える事はある程度諦めて、どこまで合わせられるか、どこを合わせたらどこが合わなくなるか、どの位ずれるのか、クランプは掛けながら接着出来るのかしら、そして接着本番の時には「あれ?仮止めの時はもっとうまく行ったのにー!」となる所まで考えておきます。

修理は昔から一人でやって来まして、それなりにやるしかありませんでしたが、気が付けばそこに山口の手X2があるでは無いですか!

一人でやろうとしますと手が二つしかありませんから、どうすれば上手くクランプ出来るか、順番はどっちからどうするか、何かジグ作らないとダメかしら?、等々…どうやってったら良いか分かんなくなる時があります。

一人じゃないってありがたい!

 

 

 


 


 


 

この時の見積もりは忘れましたが、塗装はしてありますが色合わせしてないところ見ますと出来るだけ面倒は省いて仕上げたのかな、と思います。

 

 


 

トップが無事だったのは、不幸中の幸い。

トップ板の事をサウンドボードと呼びます。

左弾きの方にとって左用のギターは貴重ですし、まして気に入った物となればなかなか見つかりません。

何につけ、左用の道具は貴重です。

 

左利きの人の中でも、道具は右利き用を難なく使いこなし、そして利き腕は左と言う方もいます。

そう言うバランスって、羨ましいです。

 

 

 

ネックリセット / Epiphone FT-120 Excellente 1960s


スタッフの山口です。

今回もネックリセットですがかなり珍しいお宝ギターの登場です。

EpiphoneのExcellente、FT-120。現行のリイシューも売ってますが、所謂当時の本物は僕も初めて見ました。


アジャスタブルサドルも限界近く下げてますが弦高は高いですね。

皆川ギター工房の出番です。


いつも通り進めていきます。ネックポケットを温めたら指板とトップの間を切り離し、、


ヒートスティックで温めて、、簡単に外れたみたいに見えますが、Gibson系はやはり苦労します。


Gibson系のハカランダは本当に貴重です。


ネックは7pcs。


テープである程度の目安まで印をつけます。ヒールを1mm削るだけでも角度はかなり変わります。


センターズレに注意しながら、なるべく均等な力でヒールを削ります。


塗装がチップしすぎていないかチェックもします。


チップしていたらラッカーを盛って修正します。


今回は組み込む前に記念撮影。


一発勝負のつもりで迅速に組みます。


しっかりと最後までダブテイルが接着できているかの確認もします。何度かシミュレーションをしているので問題なし。


ネックがついたらダブテイルに通じる指板の穴を埋めます。


今回フレットはすり合わせのみ。

 


無事にリセット完了です。


サドルの出方もいい感じに。


弦高もいい感じ。


1弦側もヨシ。


ヒールも無事です。


反対側もOK。


カスタムセルにエボニー指板、サイドバックはハカランダです。


ネックもキルトメイプルが贅沢に使われていますね。スゴイ!


ヘッドストックは工場で一番大きな白蝶貝をドカッと入れました!みたいな感じです笑


 

当時は兄貴分のGibsonを凌駕してしまうような高級仕様で話題になったというこのモデル。

ライバル社であったエピフォンをギブソンが買収した当時は、材やパーツなどはほとんど同じものが使われています。ここからは僕の想像ですが、、当時Gibsonに買収され、Gibson工場に泣く泣く赴任してきた元Epiphoneの職人たちが「Gibsonより良い物を作ってやるんだ!」という気持ちで作られたような雰囲気がこのギターには漂っています。60年代でハカランダの枯渇問題も出てきた頃、Epiphone出身者がGibsonを超える渾身のハカランダの高級機を出す、まさにエクセレントなプロダクトだったのではないでしょうか。ちなみにExcellenteのスペル、最後にeがつくのですが、調べたらフランス語になり、意味は同じで「素晴らしい」とのこと。なぜフランス語のスペルなのかは分かりませんが何か意味があるのかな。

今回も最後までありがとうございました。

 

フレット交換(ナット交換) / Gibson J-45


オールドJ-45の


リフレットを


いたします。

 

お客さんからのご要望は出来る限り答えられる様にやっておりますが、無理な場合は無理になります。

「ブログで見られるのは半年位後ですね。」…→「今書いているのは順番に、3年前位のをかなり薄まった記憶をたどりつつ書いています。」

昔は週1か週2のペースで、しかも山口の分もありませんでしたので、半年~1年前の記録が順番で巡って来ましたが、気が付けば3年分位記録が溜まっております。

「もっと頻繁に書けばいいのに。」と人は言うでしょう。

やってらんないのでございます。

なので、動画などやっている人は、尊敬いたします。

 


 


 

「えー!そうなんですかー」もっと早く見たい~とのご要望がありましたので、忘れないうちに上げます。

但しこのままにしておきますと、3年後に順番が来ると忘れてもう一度アップしていまいますから、このブログが上がりましたら掟により、この記録はDSカードから消します。

 

 

3弦の溝

真正面から写さないと溝が丸く写らない。

4弦の溝

若干歪んでしまいます。

 

今回何故このような画像があるかと申しますと、ナットの溝って難しいんです。

と言いたい為。

弦に対して溝の幅、角度、そして意外と気にしない人が多いのが溝の形。

巷に溢れているギター用ナット溝専用ヤスリって、がんばっても溝は真ん丸にならないんです。

私がヘタなだけかもしれませんが、ツルっとした真ん丸にならないのです。

なので、途中まではナットファイルでやっても途中からは丸棒ヤスリで溝を作ります。

3弦用の丸棒ヤスリは細くて上手くやらないとすぐ折れてしまいます。

ヤスリも安く無いので悲しくなりますが、ツル丸ナット溝の為にはそれを使うしか無いのです。