2024年12月

ブリッジプレート補修 / Martin d-35


弦の根元付近は太くなっております。

この弦の場合は赤い糸が巻いてありますが、この部分が上へ出てしまいサドルに触れているような場合は、


その裏を見ますと、ボールエンドはブリッジプレートに潜り込んでしまっています。

 

見えない部分でもありますので、気にならないのなら気にしなくても良いし、使い終わった弦のボールエンドを足して、場合によっては2個3個付けてやっても、それでも良いと思います。

 

 

弦は交換しましたので、赤い部分はありませんが、太い部分は上へ出なくなりました。

ボールエンドはしっかりブリッジプレートで留まっています。

 

 


 

ギターを使い込みますと、いろいろな部分が劣化していきます。

そうすると、人によっては演奏上違和感、不具合等が生じます。

その方はその際には、修理屋に相談されれば好し。

使い込んで劣化は見えても、違和感、不具合等を感じなければ無理にお金をかける必要は無し、です。

ギターは基本木で出来ている為、ある程度時間が経てば、ど新品時と同じと言う事はありませんし、個体差もあります。

正解、不正解が無い世界です。

ですが、問題無く使えるのであれば、気にし過ぎず使うのが正解かと思っています。

気になったならば、ご質問いただければ幸いでございます。

 

トップ割れ&リフィニッシュ(前編) / Ovation Custom Legend 1769


スタッフの山口です。

本日はオベーションの結構大変な修理です。


トップが広範囲で割れています。トップのウレタン塗膜が結構分厚くても、それによって強度が増しているわけではなく、むしろ分厚い塗装が悪さを働くこともしばしばあります。


サイドとの境目も隙間が空いてガバガバに。。こいつは時間かかりそうです。


口輪を慎重に外して割れているところをとにかく接着していきます。写真はないですがプラ板とクランプやジグを使ってあの手この手、です。


この口輪も可哀想な状態なので貝を並べ替えたり足したりして修繕します。オーナーさん自身で修理されたっぽく、接着剤が必要以上に付着していてボロボロの状態でしたがなんとか綺麗になりました。


ブレーシング剥がれも直し、サイドとトップを接着、、さらにバインディングも巻き直したり足したり、、。結構大変だったこの辺の肝心な画像がないのは一心不乱に作業して撮り忘れているということですが、、、悔やまれます。


素直に剥がれてくれないところはあたためて剥がしやすくしてあげます。


オベーションはバックがボウル状で不安定になるのでネックがついていた方が安定しますが、ここからはネックを外します。。


地道に手でサンディング。。


ゴシゴシ。。


うんうん、いい感じ。


塗装の前のマスキング作業はとても苦手です。。


苦手意識の強いマスキングが終わればもう半分終わったようなものです。まずは下地用のウレタン塗装を丸一日かけて繰り返し吹きます。


下地塗装が終わったら個人的には楽しい着色。3トーンサンバーストですのでまずは全体的に黄色、その次に写真のように赤のバーストを纏わせます。


雰囲気を確認するために口輪やブリッジを乗っけてみて、着色の範囲など確かめながら行います。


最後に黒でバースト塗装。同じく口輪とブリッジを乗っけてみて、、いい感じでしょうか。。(実を言うと2回やり直して3度目の正直です。)


満足のいく着色ができたら最後トップコートを丸一日かけて吹きます。


仕上げの番手の耐水ペーパーで水研ぎをします。


一旦曇りますが、、


コンパウンドをつけてはバフ掛け、を繰り返して美しい仕上げを目指します。

理想は一発で決めたいですが、サンドペーパーのスクラッチが完全に消えるように仕上げるにはなかなかそうはいきません。


ピカピカになりましたが今回はここまで。

トップ割れ修理とタイトルをつけていますが、サイドバックとの乖離やブレイシングの激しい損傷もあり、写真がないのが悔やまれますが実はスタートからここまで半年近くかかっています。今回のように重傷な修理の場合、他のお客様の修理と並行して合間合間で行わないと生業としてしんどくなりますので、お預かり期間を1年以上見ていただくこともあります。どうかご理解いただけますようお願い申し上げます。

次回は後編のネック組み込み〜完成編です。

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。

 

リフレット / Gibson J200 

見るからに低いフレットになっています。

永年弾いていて削れた訳では無く、

何度かすり合わせされたような感じです。

バインディングも一緒に削られてしまっていますので、すごくやり難くなります。

 

フレットの高さの好みや交換時期は、オーナー次第ですので、当人は何とも思っていないのに「もう、交換ですね。」等と言われても気にする必要はありません。

当人が不具合や改善点等を感じていなければ、無理にお金をかける必要はありません。

ただ、Gibsonの場合フレットバインディングと言う形状をしている為、演奏上不都合になる事があります。

画像の6弦側はほとんど問題は出ませんが、1弦側はフレットのエッヂとバインディングの隙間に弦が挟まってしまうと演奏が続けられなくなります。

隙間を埋めて問題無ければそれで好。

 

 

リフレットはフレットのエッヂをたてて仕上げる事により

指板の幅を有効に演奏可能になります。

フレットバインディングの利点は何もないと思う考えを過去ブログで書いた記憶があります。

 

エッヂをなるべく立てますと、手に触るチクチク感が強くなりますのでエッヂの角は出来るだけチクチクしない様に落とします。

今回の場合は、フレットが乗るバインディング部分が削られて狭い為、尚更チクチクします。

チクチクならない様に斜めにエッヂを落としてしまえば楽なのですが、それはカッチョ悪いので出来る限り立てて仕上げます。

但しこれが正解という訳ではありませんので、フレットエッヂはもっと角度を付けて落とす方が好きな方や私がやるとエッヂが丸い感じになりますので、それが嫌いな方もいるかと思います、お好みがあればその際は、お伝えください。

がんばります。