2025年03月

you tubeの動画あります。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

※画像は、本編とは関係ありません。

こんにちは。

今回はいつもと指向をかえてブログを更新します。

テレビ東京の公式you tubeチャンネル「再生工房」の取材を受けましたので、そちらを紹介させていただきます。

昔、テレビの取材を受けた時は、仕事が欲しかったのでよろこんで受けまして全く反響無しで寂しかったのですが、今となってはお仕事も十分に頂けるようになりましたので、多少迷いはありましたが、記念に元気なうちに撮ってもらうのも良いかと思い受けました。

特にいつも同じような内容にも拘らず、当ブログへ欠かさず見に来てくださっている方へお送りいたします。

再生工房

よろしければ見てやってください。

ブリッジ厚み足し&ネックリセット /Martin D12-35(60’s)


スタッフの山口です。

今回は12弦ギターをがっつりと修理していきます。ネックリセットと薄くなったブリッジの修復、それとナット交換です。

ブリッジの高さに合わせてネック角度を決めるので必然的にブリッジ→ネックリセット→ナット交換の順番になります。

せっかくネックリセットをするのなら、とこの機会にブリッジを適正な厚みにしてあげるケースは多いです。


スロテッドヘッド、、。強敵です。

単純に弦数が2倍なのでどうしても6弦と比べて手間がかかりますが、修理料金は2倍にはなりませんのでご安心ください。

 

 


 んー、このブリッジ、いただけません。

限界を超えた薄さに見えます。サドルの高さももちろん低いですが、サドルの溝も深さ1mm程しかありません。


温めて接着剤を軟化させてから慎重にナイフを入れていきます。


ダメージを最小限に、いい感じに剥がせました。


大抵のブリッジは弦の張力に起因してこのように反ることが多いです。


今回は予算の関係とブリッジのウィングの厚みが残っていたため底上げで修復。


クランプして一晩おいてこんな感じです。


倍くらいの厚みにUP↑


元のブリッジのウィングの厚みが残っていればウィング上部を削れますので、形も本来の形に近づけることができます。厚みがないと整形しようとして削っていくうちに付け足した材がお目見えしてしまうためです。


反っていた底面を修正し、接着面を整えてからブリッジを接着します。

ブリッジ専用クランプもありますが、写真の通常のサウンドホールクランプ5本の方が使いやすいです。

接着時にピンホール内側の余計に溢れたタイトボンドを拭き取ったりできるので。


ブリッジが付いたらいつも通りのネックリセット開始。

「いつも通りネックリセット」と自然に発してしまうほど、いつもネックリセットさせていただいてます。


ブリッジと同じくこんな感じで。


ネックリセットの途中はこれまでのブログでもたくさん載せてますので今回はサッと。


記念撮影は忘れずに。


適正な仕込み角度にするために、ヒールはかなり削りました。と言っても1mm強くらい。


極浅の溝に一旦埋木をして、、


深いところで4mmほどの溝を新しく作りました。


最後はナット交換です。どこを修理するにしても、古い接着剤は取り除くのが必須です。


12弦はなんと言ってもこのナット作製が一番の難関です。


弦間のバランスと主弦/副弦の間隔に注意しないといけません。昔ですが完成間近で溝を掘りすぎちゃって放心状態のまま作り直したことがあります。


ナット調整の後はサドルです。

弾きやすい弦高を確保しつつこれだけサドルが出ていれば安心です。


6弦側、4mmあった弦高も2.5mmに、


1弦側も1.6mmほど。これは弾きやすい弦高といえますね。


ナットも新しくなり、


削ったヒール部分も綺麗に仕上がってます。


こっち側もOK。


派手な杢のハカランダ単板3ピース。


サイドも派手です。


派手を通り越してここはもう強烈な波紋状のエゲツない杢目です。


 

12弦ギターは需要が少ないせいか、比較的相場が安い印象があります。製作、リペアともに6弦より手間がかかっていますので少々違和感がある気もしますが、物の値段はそれだけで決まるものではないので理解はできます。

この音色はやはり12弦でしか出せないので、実は1本は持っていたいと思う人も多いのではないでしょうか。弦の張力が強い分、12弦は状態が悪いものも多いと思われますので、オークションなどで中古購入される場合はリペア料金も見据えて購入されることをお勧めします。あ、でもこれは12弦に限ったことではないか。。

よくワンオーナー品、という言葉を目にしますが、そのオーナーが適正な保管方法を守って使用していたとは限らないので、「ワンオーナー品=状態が良いはず」と解釈するのは危ういと思います。おそらく車と同様、出所がしっかりしていて、修理履歴などがちゃんと把握できている個体、という意味で使われているのだと思います。

とりあえず、12フレットジョイントのハカランダ12弦ギター、とってもとってもナイスギターでした♪ 自分は12弦ギターを手にすると、どうしてもイーグルスのTake It Easyを弾きたくなってしまいます。^ – ^

今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

 

サウンドホール欠け / Gibson J-45 1969


激しく弾かれサウンドホール周りは


削られ薄くなり、口輪は剥がれ


欠けて無くなってしまっている部分もあちこち。

これはこれでカッチョイイとおもいます。

当方では傷直しやリフィニッシュ等、演奏性や強度に関わらない修理は基本お断りしております。

何がしのご事情があれば改めて伺わせていただきます。

 

凄く気を付けていても、使っていけばやはり傷はつくものです。

その直後はショックですが、その傷もそのギターの歴史の一部として愛でてもらえれば幸いです。

と、このように生意気にもお断りするのですが、場合と程度もございます。

 

 

 


 


 

欠損部分は、スプルースで作り直して雰囲気を合わせます。

 


天井を撮っているのではなく、中の補強の様子を撮っています。


正面


69年製 J-45 

69年製のGibsonは、60年代Gibsonでも70年代Gibsonでもない雰囲気のGibson なのです。

このルックスですから私が若い頃は全く興味がありませんでしたが、良さが分かった今では好きなギターのひとつです。

私が大好きな、あの方がデビュー直後に使っていた実物(69年、J-45)を数年前にリフレットやらせてもらいましたがホントにすごくよかったです。

 

ブリッジ交換(作製) / Martin D-28


スタッフの山口です。

今日はブリッジの交換です。写真はすでにブリッジを剥がしたところです。


ブリッジを交換する理由は主に2つ。

①割れてしまい接着で修理しても強度が保てない場合

②弦高を下げきれずサドルの出しろを稼ぐために上面を削って薄くされちゃっている場合

画像からわかるように、今回は②のケースです。


エボニー材に少し大きめに墨入れしてベルトソーでカット。

エボニーを見るたびに「これって炭じゃなくて木なんだよな、、すごいな。」と感心してしまいます。近年は上質なエボニーは枯渇していますが「そりゃそうなるだろう」と思います。


ブリッジの作製は個体に合わせて完全なハンドメイド。同じ機種でも寸法は同じようで同じじゃない場合が多いです。例え寸法が同じでもピンホールが微妙に前後ズレてたりします。


両面テープでガッチリ旧ブリッジと新ブリッジを重ねます。

この時点では新ブリッジは一回り大きいのが画像からもわかると思います。


作製手順は師匠から習ったわけではないので半分は我流です。皆川氏は随所随所のツボを教えてくれたので僕はそれを参考にいつからか自分が作りやすい方法で進めるようになりました。

この画像のようなマーキングは分かる人にしか分からないはず。企業秘密です。


自分の中ではここが最重要ポイント。ベルトサンダーで思い切って結構ごっそりウィングを削ぎ落とします。経験上、ここでビビって手前で止めるとエッジがあまり立たずで仕上がりに差が出ます。


今度はマーキングを外側にずらして上面にアーチを作ります。

 


ある程度寸法が決まったら後は番手をあげて整形しつつ表面を滑らかにしていきます。


マーチンのブリッジらしくなってきました。


一旦レモンオイルまたは蜜蝋で面構えを確認。


こっちからも。


ディテールにはとことんこだわります。「分かる」人が見てもオリジナルか交換したものか「分からない」レベルになるかどうかの負けられない戦いがここにはあります。

 


師匠のチェックをパスしたら接着です。


いい感じです。「ふぅ。」という自分の声が写真から聞こえてきます。

さっきの画像を見直せば分かると思いますが、左右でマーキングがずれていたのは6弦側と1弦側で厚みが異なるためです。


弦長(スケール)を測定します。

NHKのMartin特集番組で長年Martinに勤めたOBの職人さんが「計測は二度、切るのは一度」みたいなことを言っていたのが印象的だったのでそれ以来、どんな時も二度計測する癖がつきました。


溝切りが終わったら新旧二つ並べてみます。


はい!バトンタッチ!


ロングサドルの溝切りをカッコ良く遂行するのはとても難易度が高いです。

やってみれば分かります。


いい感じです。

ウィングにはみ出し過ぎているロングサドルよりこのくらいがスマートです。


凛々しい面構えに乾杯。(自分はあまり酒が飲めないのでジンジャーエールで)


 

王道のアコギD-28のロングサドルは迫力があります。まさに戦艦ドレッドノート。

ブリッジはサドルに伝わる弦振動を広げながらそれをサウンドボードに伝えるとても重要な役割があります。極薄のブリッジから本来の厚みのあるブリッジに交換すると、思った以上に音が良くなります。良くなるというより本来の音になる、という方が正しい表現かもしれません。ブリッジ修理をする中で、何度かそのような劇的にいい変化をモロに感じられたことがあって「ブリッジは安易に削らない方がいい」と個人的には思っています。

「ブリッジを削ってサドルの出しろを確保し弦高を下げる」というのは修理にそれほどコストをかけられない場合のあくまでも応急処置的な修理です。修理というよりは処置。

もちろん、当工房のポリシーはお客様至上主義ですので予算に合わせて修理にするのか処置を施すのかを説明し、オーナーさんに選択していただくことになります。その説明をせず、あたかもブリッジを削るしかないかのように処置を施してしまうような修理屋さんがいたらあまりよろしくありません。ギタリストにとってギターは体の一部みたいなものですので、医者選びもそうですがちゃんと相談できて信頼関係のある修理屋さんに出したいですよね。

そしてその信頼と実績を積み上げることこそが修理屋として一番大事なことだと思います。

今回も最後までありがとうございました。

 

 

 

ネック折れ修理(塗装修正あり) / Martin OOO-1

見慣れてはおりますが、

オーナーのショック計り知れない。

今回のように、ある程度面どうしで接着出来る状態の割れ方であれば、あまり悩まず接着が出来ます。

割れの凸凹に合わせて、はめ込むように合わせる場合は、しっかり合わさるまで手間がかかります。

どちらの場合にしてもヘッドが分離している為、接着の際にずれないように気を付けなくてはなりません。

 

 

塗装修正ありのプランで仕上げ

割れていた跡はシースルーである限り見えてしまいます。

シースルーの場合はどうしても跡は見えてしまいますが、こちらのような濃い目の色で杢目も黒っぽいものでしたら、割れ跡は目立ち難くはなると思います。

明るい色の下地の場合は、どうしても目立ってしまいますが、塗りつぶしの着色なら修理跡は隠すことが出来ます。

但し、塗りつぶしになる場合は、色合わせが難しいという難題がございます。

 


 


 

ネック折れ修理は、師匠筋から引き継いだ修理方法を当初から変更なく行っております。

ネック折れ修理は特にと言ってよいほど、方法など修理者により区々です。

You tubeやお預かりしたギター等でも非常に関心する修理も拝見する事もあり、勉強になる事もよくあります。

ですが、長年変わらずうちはうちでございます。

これが一番と思っております。

 

自分の場合、ブログに関しては山口君のように途中経過も無く、ビフォーアフターでなるべく簡単に済ませたいと思っている位なので動画を撮ってアップする等という、ゆとりは到底無い訳ですが見る事はよくあります。

毎日のように見ますが本当に面白くて、素晴らしくて勉強になる人からそうじゃない人まで、いろいろあって見飽きる事がありません。