スタッフの山口です。
今回はピックガード交換(PG交換)。MartinのD-35とHD-28を並行して作ります。写真はHD-28の方ですがD-35も同じ状態です。
PG交換依頼は縮んだり反ってめくれてしまったりイメチェンなど理由は様々。今回の2本はマーチンクラックと言われるピックガード起因のトップ割れは幸いありませんでした。
トレーシングペーパーでピックガード跡を写したら素材に貼り付けて跡に合わせて正確な大きさにしていきます。ある程度まで型取ったらサンドペーパーで地道に削っていきます。
削り過ぎて小さくなったら取り返しがつきませんので少し削っては実際に当てて確認、地道に何度も確認します。
尖りの部分がロゼッタとピッタリ合うか、PG跡がはみ出てないかなど意外と神経を使います。小さく作ってしまいPG跡が顔を出すのはもちろんNGですが、だからと言ってオーバーサイズで作るのも当工房ではNG。PGはギターの顔の一部となる重要な部分ですのでたった1mmでもオーバーサイズだと大分印象が変わってしまいます。
大きさがピッタリ決まったら水研ぎして磨いていきます。「元々ピカピカなのになぜ磨くんだろう?」と思われるかもしれませんが(僕も初めて皆川氏に教えてもらった時は思いました)そのままだとまるで買ってきた黒い下敷を切って貼っただけのような感じでオリジナルとは程遠い印象になります。ビンテージギターの場合は尚更、その違和感を感じます。
バフがけしてはペーパーの傷をチェック、消えてなければまた極細の番手で水研ぎ、を何度か繰り返します。オリジナルっぽく作るとは言え、せっかく新品に交換しますので弾き傷とは明らかに違うサンドペーパーの傷はなるべく無くしたいところです。
無事に温かみのある艶で仕上がりました。
繰り返しますがPGはギターの顔の一部となる重要なパーツですのでこだわらないといけません。
こちらはHD-28。両面テープは空気の入らないように、跡とズレないように、と一発勝負の要素が強いため予めマーキングします。
こちらはD−35。同じく角を二点以上マーキング。
いい感じに貼り付け完了。こちらはD-35。
跡が出ずオーバーサイズでもなく、ロゼッタの径ともピッタリ。艶もいい感じだと思います。
離れて見ても違和感無し。
こちらはHD-28。同じドレッドノートでも個々でPGの大きさは違います。新品時は同じだったのかもしれませんが何十年もそれぞれ違う環境に置かれているからか、個々で全然大きさが違うのです。
無事にこちらもジャストサイズ。
自分も習う前は「切って貼るだけだろうな」と簡単に考えていましたが、やってみるととても神経と手間が必要な作業だと痛感した記憶があります。
しつこいですがPGはギターの顔となるパーツですのでなるべくハンサムにしてあげたい!と思いながら取り組んでいます。
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。