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アジャスタブルサドル戻し Gibson J-45 BLK(1969)


スタッフの山口です。

60年代Gibsonといえばアジャスタブルサドルですが、ノーマルサドルに変更されていることがよくあります。ピックアップを仕込むため、単純に音の好みなど理由は様々です。今回はショップの依頼ですので「ノーマルサドルからアジャスタブルサドルに戻した方が早く売れるから」という理由でしょうか。


初めにブリッジを剥がす必要がありますが、その前にこの厚型ピックガードを剥がします。これがあるとブリッジを剥がすのに大変邪魔になります。

この厚型ピックガードはいつも修理の邪魔をしてくるのです。


そしていつもこのベタベタ取りに苦労するのです。


ピックガードを退けたおかげでいい角度でナイフを入れられました。裏側から見ると本来のアジャスタブルサドルの溝が埋められているのが分かりやすいですね。


埋木が甘かったので10分ほどで本来の姿に戻りました。それに比べてピックガードのベタベタ取りは1時間近くかかりました、、、。修理箇所の近くのパーツで苦労するのは修理あるあるかもしれません。


アジャスタブルサドルがちゃんと収まるのを確認し、接着面をキレイ且つ少し荒らしてブリッジを接着します。


いつかまた誰かが苦労するであろうベタベタになるであろう両面テープでピックガードを戻します。両面テープは一発勝負。位置がズレないように空気が入らないように慎重に貼り付けます。


アッパーベリーブリッジの方がGibsonらしいですが、このベリーブリッジのアジャスタブルサドルタイプは過渡期の1968年後半〜1969年のわずか1年〜2年弱しかありませんのでこちらの方が希少性が高いとも言えます。


1960年〜1970年のGibsonは過渡期。それこそがオールドGibsonの魅力でもある、と言う人も多いのではないでしょうか。

 


 

当時はきっと色々な事情があって都度仕様変更がされていったのだと思います。単純に構造的改善を求めた結果だったり、経済的な事情であったり。きっと今現在も進化し続けているのだと思いますが、結局売れ筋は60年代までのリイシューモデルばかりで「古き良きGibson」なんて言われたりするのはメーカーとしては心苦しい部分もあるかもしれません。

ちなみに師匠の皆川とよくリイシューモデルがほとんど無い70年代のGibsonは過小評価され過ぎているという話をします。ネットで調べると酷い言われ方をされている記事や知恵袋が散見されますが、それらに囚われずに一度心をフラットにして弾いてみればとても良いギターだったりします。

自分が弾きやすくて音が好きで弾いていて楽しいのであれば、たとえそれが10,000円のギターであってもベストギター、「運命の相手」なのだと思います。なるべく情報やウンチクやアレコレなどに囚われずにギターと向き合っていきたいですね。

でも確かに古いギターは「おおー!」となるものが多いのも事実です。それはきっと木製楽器の宿命かもしれません。

ベリーブリッジとアッパーベリーブリッジのことを考えていたら話が全然違う方向に行ってしまいましたが、、今回も最後までありがとうございました。