スタッフブログ

ネックヒール隙間(ネックリセット) / Martin D-41


スタッフの山口です。

今回はMartin D41のネックリセットですが、実はネックリセットしたばかりとのこと。手直しというか、完全にやり直しですが、そのためにウチに回ってきた「訳ありさん」です。


ヒールとボディの間をよく見ると0.6〜0.7mmほど隙間ができています。

調弦しても弦の張力で隙間が広がりませんので、ネックリセット時にすでにこの状態で接着された可能性が高いです。


センターも少しズレていますね。

いずれにしてもこのリセットではウチでは納品できません。

 


ヒールキャップ付近から隙間がありますね。左の方は塗装が傷んじゃってます。


よく見ると指板とネックにも隙間が空いています。木工精度が悪い状態で力ずくで組み込んだからでしょうか。


こちら側はボンドで隙間を埋めようとしたことが何となく分かります。


木工精度が悪いのでボンドが熱で軟化しちゃえば楽勝で外せます。


恒例の、、パシャリ。


隙間がなくなるよう、指板がネックから剥がれないようあれやこれやと、、写真撮り忘れて組み込み完了です。


隙間がなくなっています。


もちろんこっち側も、問題なし。ヒール部の塗装の剥げや塗膜割れもラッカーをうまく使って綺麗になりました。


おそらく前回すり合わせされてるのでフレット精度はあまり問題ありませんでした。


ネックバインディングに細かい傷や汚れが散見してたので綺麗にしました。


サドルの出しろも良い感じですね。


ストラップピンを戻して完了です。

ヒール周りも綺麗に修正できています♪


 

前回ネックリセットをした人をここで責めるつもりはありませんが、こうして他の工房の元へ再度出されて手直しされてしまうというのは「悔しい」と自分だったら思います。

ちょっとした隙間だし、ボンドでガッチリ接着されていますので、とりあえずは演奏性も問題ないし、もしかしたら気がつかない、そもそも気にしない人も中にはいるかもしれません。クレーム来なかったらラッキー!みたいな考えで納品したのかもしれません。

でもそれではダメです。

自分が修理したギターがいつ、どこで、どんな人に見られても恥ずかしくないと思える仕事をしなければなりません。これは師匠の皆川がいつも言うことですので当工房のポリシーの一つと言えます。

どんなにやり慣れた作業でも手を抜かず、毎度しっかり向き合い続ければ、その度に新しい気づきや学びがあるものです。そしてその積み重ねがスキルアップと実績、そして信頼に繋がると思うのです。

今回も最後までありがとうございました。