スタッフブログ

ネックリセット / Gibson Humming Bird 1964


スタッフの山口です。

今回もネックリセットにお付き合いください。貴重なビンテージギターのネックリセットを任せてもらえることに感謝の気持ちを忘れず、初心を忘れず、進めていきます。


アジャスタブルサドルは限界まで下げられていますがこの弦高です。

6弦12フレットで3.5mm以上、


1弦で2.7mmほどでしょうか。これではどんなに良いギターでも弾きづらくて余計な力が入り良いサウンドを奏でることが難しいのではないかと思います。

 


毎回このアングルでネック角度不良の具合を伝えたいですが、、うまく撮れたことが無いです。


15フレットを抜いて、、


ダブテイルポケットを狙い撃ち。


次は指板をトップから引き離します。


トップに余計な傷をつけないようにナイフを入れました。


ギブソンはセットネック後に塗装してありますのでヒール部分とボディサイドの境目に切り込みを入れておきます。これをしないと境目がグズグズになることがあります。

ちなみにMartinはネックとボディは別々で塗装して組み込みますのでこの作業は必要ありません。


専用ジグを装着して温めます。


時間はかかりましたが無事分離。

古い接着剤を取り除いたりシムを剥がしたりクリーニングします。


元々のセンターズレを修正しながら狂った仕込み角度を修正します。

ビンテージギターのセンターズレは決して珍しいことでは無いのですが、元々ズレてたのかネック修理でズレたのかはわかりません。

ネックリセットしたらセンターがズレて納品されちゃった、、という方はぜひ皆川ギター工房にご相談ください。


ネックの角度が正常になるとトップに乗っかる部分の指板の厚みが足りなくなりますのでそれが極端な場合は指板の厚みを足します。


ネックバインディングがあると結構手間ですが、特にそれによる追加料金はいただいておりません。


ドライヤーで温めながらL字を作る場合もありますが、


元のバインディングが貼り合わせならそれに合わせます。


改めて、、結構手間のかかる作業です。


仕込み角度やセンターズレ、指板の修正を終えたら、いざ接着です。ヒール周りの塗装に問題がある場合は接着前に塗装修正を行います。今回はなくて大丈夫でした。


サドルの出しろが復活です。

 


ヒール部分もOK。


1弦側も綺麗ですね。


 

 

サドルの出しろは高ければ高い方が良い、という人がたまにいますが、それは今後弦高がまた上がってしまうような不具合が出ることを前提にしている人の意見だと思います。普段弾かない時は極力弦を緩めて、湿度管理など適正な保管を心がけていれば、ほぼずっと同じサドルの高さ、もしくは基本調整レベルだけで快適なプレイアビリティとサウンドを長期に渡って維持できます。

また、サドルが高過ぎてしまうと弦の力がネック方向に強く働くため前傾して、ブリッジの割れや変形の原因になってしまいます。

つまり低過ぎず高過ぎずの適正な高さがベストであり、また見た目もその方がカッコいいのです。今回のアジャスタブルサドルにもそれは言えることですね。

今回も最後までありがとうございました。