前回3回に分けて紹介いたします、と言ったHummingbirdですが、4回になります。
今回ともう1回。
この割れている部分には大きな力が掛るので、耐えられなくなると、力が掛る方向へ割れてずれてしまいます。
弦を張りっぱなしで放置しなければこのような事態は発生しないのですが、仮にこの部分が割れたりしなくとも、他に不具合が発生したと思われます。
このギターの場合はトップが割れてずれている程ですから、当然ネックアングルもおかしくなっています。
過去の割れ修理で貼ってあったクリートを外します。
(途中まで取り掛ってる所です。)
クリートは気休め程度のもので、付いていてもまた割れる時は割れますので、それより割れや力木の修理そのものが重要です。
トップに段が付いて割れているのですから当然、力木も剥がれいます。
修理し辛い場所ですが、力が掛る部分なので見落しの無いよう注意します。
段差が無くなるように、ネックを外す前にネックを引っ張って段を戻して割れを修正します。
段差を戻した分のネック角度で、ネックアングルが正常になる場合もあり、ネックリセットの必要が無い場合もたまにあります。
割れと剥がれ修理の後に一応クリートを付けておきます。
付けないと、なんとなく手抜きしているように見られても困りますので、「やったよ!」と言う印です。
このギターは次の更新のネックリセットで終わります。
クリートと呼ぶ人は少なくもっと分かり易く、割れ止めと呼ぶ場合が多いかもしれません。
このクリート、あっても無くてもと書きましたが、確かにそうなのですが、割れの接着が難しい場合、接着剤がしっかり奥まで入らない可能性がある場合等はクリートも個数を増やして、補強の役目を担いますが、きっとそれも希望、願望、期待…。
しっかり接着をしていれば、わざわざ補強は要らないのですが、しっかり接着がしてあるトップのセンターの継ぎ目から隙間が出来てしまう場合もあり、これも仮にクリートがあったからと言って防げるか否かは神のみぞ知ると言うところです。
ネックや他の事に関しても、まずはそうならないように、日頃の一寸の気遣いが大事です。