ギターの品質を維持していくためには、ネック折れやブリッジのリペア、メンテナンスなどを行うことも重要ですが、塗装の役割や種類を把握し、うまく使い分けることも大切です。
「塗装」の役割とは?
塗装の本来の役割は、大きく3つに分けることができます。美しく見せるための塗装、防水・防錆・防カビといった特殊な機能を付与するための塗装、そして物体を衝撃や様々な劣化要因から保護するための塗装です。
ギター塗装の様々な種類
ギターはトップ材と共鳴させる楽器ですから、素材本来の鳴りになるべく近いほうがよいため、塗装も薄く仕上げるのがベストです。もちろん、塗装の種類・塗る人によってサウンドは異なります。
オイルフィニッシュ
オイルフィニッシュは、木材に油を浸透させることで水分から守るための塗装です。
混ざり合うことのない「水と油の関係」をうまく利用した塗装は、乾性油や不乾性油など様々な種類があり、塗装を施しても表面に被膜を作りません。木目の質感をそのまま活かす、ナチュラルな仕上がりが特徴です。
ラッカー塗装
ラッカー塗装は、オールドギターによく使われる塗装で、他にも輸入家具の塗料として使われています。
合成樹脂塗料の中でも特に歴史が古く、ソフトでなめらかな光沢を演出できます。光に焼ける性質を持っているため、経年変化による楽器ならではの趣を感じることができる塗装です。
ポリウレタン塗装
ポリウレタン塗装は、数ある塗装の種類の中でも最もポピュラーな塗装方法です。
プラスチックのような材質で比較的乾きが早いため、大量生産を行う際に取り入れられることも多くあります。温度や湿度の変化に強く、ラッカー塗装と比べると経年変化がかなり少ないのが特徴です。
セラック(シェラック)塗装
セラック塗装は、ラックカイガラムシの分泌液をアルコールなどと混ぜ合わせて塗装する、天然素材を使った昔ながらの伝統的な塗装方法です。塗膜を薄く仕上げられるため、ギターの振動がボディに伝わりやすいという特徴があります。
皆川ギター工房では、国内のお客様を対象としたアコースティックギターのリペア・メンテナンスを行っています。リフィニッシュ(塗り直し)、傷直しは基本お断りしていますが、ご事情がある場合やどうしても塗り直したい場合は、預かることもあります。アコースティックギターのピックアップ取り付けやフレット交換も行っていますので、ギターの修理やメンテナンスをお考えの方はお気軽にご相談ください。