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ネックリセット / Gibson LG-3 1950s

 

スタッフの山口です。1950年代のGibson LG-3、ネックリセットを見て行きたいと思います。

写真では分かりづらいですがネック角度が狂ってしまっています。これではサドルを削ったりアジャストロッドで調整しても弾きやすい弦高まで下げられません。

サドルはこれ以上低いと音への影響も顕著になります。ネックリセットほどの修理代をかけたくない、かけられない場合はこのブリッジの上面を削って薄くし、サドルの出しろを稼ぐという方法もありますが、今回は貴重なオリジナルのハカランダブリッジが綺麗に残っていますので、削ったりせずにネックリセットで解決することになりました。

 

 


15フレットを抜いてヒートスティックを挿入する穴をあけます。黄色いマスキングテープは掘り過ぎないための目印です。貫通してしまったら大惨事です。


指板をトップ板から分離させるためにハロゲンライトで慎重に温めます。修理屋さんによって温め方や道具は様々ですね。


指板とトップの境目にナイフを入れて分離したら今度はヒートスティックでヒール内部のダブテイルジョイントを温めます。とにかくニカワでもボンドでも温めて接着力を弱めます。

 

 

 


写真が一気に飛びます(汗)

ネックヒールを削りネック角度が適正になりました。


クランプで固定しなくても弦に負けて外れないようにジョイントしなければ合格点は貰えません。センターもずれていてはNG。

ネック角度が適正になったことで指板が下がってしまう場合は、指板の底面に同じ材料を足して指板面がなるべく最後までまっすぐになるようにしてあげます。写真をよーく見るとトップ面との間に薄い層が見えますね。

最終チェックとシュミレーション後に接着です。手早く作業しないといけませんので緊張します。

 

 

 


無事接着し完全に乾燥(2〜3日以上)したらフレットのすり合わせをします。フレット交換も行なった場合はナットも作り直しますが今回は交換なしです。


サドルの出しろがいい感じです♪

このサドルを何ミリか高くするために結構な時間と労力、それと修理代がかかります。


弦をチューニングしっぱなしにすると張力でネックが反ったりトップ板が凹んだりブリッジが外れたり、ギターによって多種多様な不具合が出てきてしまいます。


オールドギターやビンテージギターは長い時間をかけて木が安定していますので、ちゃんと弦を緩めて湿度に気をつけていれば修理後の良い状態を長期間維持できると思います。もちろん新しいギターにも当てはまります。当工房オーナーも度々言っていますが、アコギは弾かない時はなるべく弦は緩めましょう。