Gibson L-1 トップ破損修理 スタッフの山口です。今回は写真の通り、トップ板が弦の張力に負けて破損してしまったGibson L-1の修理をアップしていきます。まずはブリッジを外しました。写真では分かりづらいですが以前にも同じような破損をしていたのかな、と思われる跡が見て取れます。厚いアクリル板とクランプをして熱で膨らんだ部分を平らに近づけます。中に白熱球を入れて熱を加えていきます。修理跡に見えたのはおよそ90年の間に幾度もブリッジを貼り直しをした結果、ブリッジ接着面が荒れて凹み、そこにマホガニーに近い木を重ねて貼り付けていたようです。グズグズの木でしたのでナイフを入れて取り除いてしまいましょう。トップ板の厚さが2mm程しかない為、結局写真のように崩落してしまいました。ブレーシングのラインで割れたようですのでブレーシングも外しました。 今回はブリッジプレートをかなりのオーバーサイズで作り替えます。音が云々と言う問題もありますが2mmのトップ厚では補強しなければ弱すぎて弦の張力に勝てません。写真はメープルの特大ブリッジプレート(右は接着の際に当てがうための合板です)。 補強兼ブリッジプレートをクランプして接着します。真ん中のブレーシング(力木)のラインでトップが割れて浮き上がっていましたので、一旦力木を外して一枚板のブリッジプレートで補強し、その上に力木を戻しました。グズグズだったブリッジの接着面を再生します。マホガニーで埋木完了。周囲と高さを合わせます。この写真の前に艶消しを吹きました。あとはブリッジを戻します。接着、クランプの画像から次の画像の工程までは最低24時間空いていますので、どんな修理も数日を要することがほとんどです。これもかなりかかりましたε-(´∀`; )無事に弦を張っても大丈夫な強度を与えることができました!木目に対して垂直に破損したのでどうしてもタッチアップでは誤魔化しきれず、跡が残ってしまいます。今回、補強も兼ねた大きいブリッジプレートに交換したことで再発はしないのではないかと思います。破損していた状態で工房にやってきたので元の音は分かりませんが、とてもいい音を奏でてくれました♫1930年前後に作られた90歳くらいのギターですが、これでまだまだ現役続行です。