今回、補強も兼ねた大きいブリッジプレートに交換したことで再発はしないのではないかと思います。破損していた状態で工房にやってきたので元の音は分かりませんが、とてもいい音を奏でてくれました♫
1930年前後に作られた90歳くらいのギターですが、これでまだまだ現役続行です。
割れは大概、外側(上側)に盛り上がっているのですが、Ovation の場合はそれが固くて平らな感じには戻りません。
塗装膜がポリウレタンで分厚い為か、なぜかは分からないのですが平らな感じにはなりません。
力木もファンブレイシングで、C型のクランプでは挟むところが限定されることが多く、このように上から押しつぶして接着します。
Ovationの場合、ボディが木ではない為に歪みがトップに出やすいと聞いたことがあります。
詳しく考えたことが無いので、鵜呑みにしています。
多分そうなんだと思います。
多湿度の季節と乾燥の季節があり、膨張と収縮を繰り返し、木は居心地の良い方へ動いてしまいます。
全体が木であれば、トップやサイドバックがお互いの変化にある程度合わせられるが、Ovationではそうはいかない…
そしてこのギターは、リフレットも行いました。
指板の調整は、フレットが乗る溝の部分が真っすぐに揃えば良いので、その他のフレット同士の間(弦を押さえる所)は歪んでいても問題はありません。
なので、多少カッコ悪くてもナットの前が削れていなくても問題ありません。
しかし、ヘッドの出っ張りを触らずにやる場合は、ヘッドに行かない様に1フレット目で削る手を止めますので削れ方が少なくなります。
1フレット目から真っすぐになっているか確認し、ダメなら辻褄が合うように改めて調整し直します。
この状況は何と言えば良いのでしょうか。
以前1度聞いた事が…ショルダー部が潰れてリンゴのようになってしまう…アップル何とか…
こんな感じ→ https://www.m-guitars.com/blog/2118/
ネック(指板)がサウンドホール側へずれてしまって、弦高もかなり高くなってしまっています。
ズレを修正して、割れを接着しますが、1番重要な作業はこの修正箇所周辺の力木の剥がれをしっかり接着する事。
ズレを戻せばネックの角度もある程度は戻りますが、かなりな見た目の状況ですのでネックを抜いて角度を修正する事も予定しています。
ボディのズレを戻しただけで、角度も十分良い状態になってしまいました。
修理代も見積もりより大分安くなりましたー。
割れ修理は勿論大事ですが、それより力木の剥がれを見落としちゃいけません。
ちからぎっ!とは、よく言ったもんです。
指板(ネック)の状態は良くありませんでしたので、修正して新しいフレットに交換。
新しいフレットに交換したら、新しい第1フレットに合わせてナットも作り変えます。(もしくは調整します。)
このような事も勿論ですが、あんな事やこんな事いろんな事が起きなように、弦は必ず緩めましょう!
335のように中心にブロックが入っていたり、厚い板にネックが付いているギターであればそんなに心配しなくても大丈夫かと思いますが、
製作家の先生や、有名なメーカーが緩めない事を推奨してもそれが「アコースティックギター」であればしっかり緩めましょう。
いつの頃からか、クラシックギターをクラギと呼んでフォークギターをアコギと呼ぶ人が出てきましたが、どっちもアコースティックギターでございます。
次の画像に行くまでの間は、ブリッジを剥がして、エポーレットを剥がして、ネックを取って、割れを直して、塗装面を調整して、はがしたエポーレットを直して、と言うようなことをやっております。
今回の修理で最もやりたくない作業は、次の画像の塗装、その後のエポーレット貼り。
なるべく元の感じの、どす黒い感じで、サンバーストの幅が割と大き目なそんな感じを目指してやってみます。
どす黒さを目指すと黒くなってしまいます、薄めにどす黒くなる様に回数重ねてみると杢目がみえずらくなってしまい、何度か塗っては消してやり直し。
塗装が下手、調色が下手、苦手意識に拍車がかかります。
どす黒さが再現出来ず、割と多くある1768-xらしい色でやってみる。
サンバーストで失敗したら、またやり直しになります。
エポーレットの接着は、ピックガードの様に両面テープでは全く持ちません。
アラルダイトを使えばまず心配はありませんが、どれだけ時間をかけてもきれいには拭き取れません。
ならばタイトボンドならどうか、それなら硬化後も拭きとれます。
風呂で考え、布団で考え、寸前に考え、やはりアラルダイトで接着。
タイトボンドでも大丈夫のような気がしますが後々めくれてきたらと考えると…誰か…教えてくれ…
ビフォアフターはいつもと同じですが、今回は最小限バージョンで。
こんな感じでやってみると分かり易くて、とても楽なので、時々はこんな感じも試しながら続けて行ければよいと思います。
最初の頃はこんな感じだったと思いますが、だんだん色いろ書くようになり、画像も多くなってきて、毎回毎回書ける新しい事も無いのですが、基本は毎回今、書いている物を見て当工房を知ってもらえる最初のページと思って書いています。
にも拘わらず、毎回見て頂いている方々の為にも出来るだけ、思い出した事柄や考えている事や、ちょっとした知識等、書き加えていければ良いのですが、そう都合よく書ける事も無いので、あった時は「当たり!」と思って、なんか良い事がありそうだと思って頂ければ幸いです。
預かる時に言ったもん! きれいに直んないですよ。って。
ならば、私なりにやるしかないんです。
今までもいろんな修理資料を本や、パソコンで見てきましたが、みんな上手くてどうやっているのか分からないのですが、あーやって仕事が出来る人はいい修理代取るんだろうな、とは想像がつきます。
単板ボディであれば戻せたところで勝負あり!になるが、このギターは合板ボディなのである程度戻せたとしても削って整形する事がほとんど出来ないから戻しても意味無いか…。割れてる部分は交換しないと…。
! 表面だけはぎ取って、変えればいいんでない? 合板なんだもん。
ひらめいちゃったな~!と思いましたが、完璧に密着させないと出来上がった後、浮いてる所は押すとプカプカ、フニフニ、してしまいます。
でも、もうそれしかアイディア無いので、それでいきます!
この方法は、やった直後は達成感に満足するのですが、翌日見ると気持ち悪くなります。不自然過ぎて。
やった直後は「うまいな~。」と自画自賛出来ているのでその場合は、冷静に見てはいけなかったのだと思います。
「こんなことにあんなに時間をかけたのか…」と、昔2~3度やった記憶があります。
ですので杢目を描き込む修正は一切やらなくなりましたが、なんでも経験しておくものだと思いました。
その時の教訓が多少生きたと思います。
ウクレレは小さくて軽い事が、うっかり落としてしまいやすいとも言えるかもしれません。
ウクレレのストラップは両手を離すと落ちてしまうので、これもうっかりしやすい原因かもしれません。
ギターの様にストラップピンで留めるストラップであれば簡単に落ちる事は無いと思いますが、ギターではギブソン等の小さいストラップピンの場合、ストラップが外れて落ちる事があります。
私の場合、エレキを弾いている時に外れて何度も落ちかけた事があります。
エレキは重量があって、ストラップはしっかりかかっている事を確認したにも関わらず外れます。
恐らくストラップピンをかける穴が弱っていたのだろうと思いますが、お気に入りは使い続けたいですから、何らかの対応が必要になります。
いつもネック折れ修理をお返しする際に「倒さないよう気を付けて下さいね。」と伝えますが、ストラップにも注意が必要だなと改めて感じます。