ボディ(トップ、サイド、バック)

ボディ破損 / Gibson SJ-200 (続き)


バック板が平らに戻り、力木も上手く修正出来ました。


ライニングは全て新しいものに交換。


外側より内側の方がきれいに出来ました。


クリート(裏の割れ止め)は接着がしっかり出来ていれば必用はないのですが、有るとちゃんと出来てる感じが出ます。


バインディングも全て交換。

ここまで来るのも、試行錯誤でしたが、塗装もまた大変。


着色料を調色すれば色が合う訳でなく、色を剥いでない部分と同じ濃さに吹かなければなりませんが、マスキングしてしまうので、比較しながら塗装が出来ません。

なので、勘。


割れの跡が見えますが、どこが割れていたか分からないと言って頂けたので割れ跡も模様の一部にも見えなくもないです。


同じ様な写真ばかり撮ってしまいました。


ホント撮影が下手ですいません。


タイトボンドが使えれば割れの跡が黒っぽく、なりにくかったと思いますが場合により使い分けます。


昔からリフィニッシュはお断りしていますので、大きな面を吹くのは、あまり得意ではありませんが、ムラにならずに吹けました。

 

 


 

トップにも割れが1ヶ所ありましたが、スプルースなので、変な割れ方はせず真っ直ぐの割れでした、そちらは通常通りの修理。

このような大きな修理になれば、それなりの修理料金が掛かります、いろんな分野の修理業者さんがいると思いますが、こりゃ面倒だ、という仕事を請けちゃう修理屋は高額な修理になるほど、「割りに合わな~い。」と思います。

ならば請けなきゃいいのに。 と言われればそうなのですが、修理屋にもそれぞれタイプや事情など様々なのです。

 

預からない、預かれないとすれば、忙しすぎてやってられない場合。自信が無いので預かれないタイプ。習ったこと意外やらない向上心が無いタイプ。割りに合わないのを知っているしっかり者等、考えられます。

預かる修理屋の場合、預かる余裕がある(もしくはヒマ)。自信は無いがとりあえず預かる。向上心や興味が強すぎる。やらないと思ってすごく高い見積もりを出したが「やる。」と言われてしまった場合。自信も余裕もある場合、等。

預からない場合は問題は起きませんが、預かる場合は出来る確信がある人ばかりではないので、修理屋の人となりを良く見て、預けて下さい。

 

以前の私は、この”預かる場合”をほとんどやってます。

現在は断る事も出来るようになって、多少バランスも良くなったと思いますが、修理屋を信じないで下さいと言うより、私を信じないで下さいと言っておきます。

 

先ほど引き取りに見えた方が、質屋に売られたニュースを見て慌てて当方の事も調べたと言っておられました。

あんなバカは他にいないと思いますが、お預けの際はよい人に。

私の技術力の無さを棚に上げて言うのもなんですが、それより誠意を持って仕事をする方が遥かに重要だと思っています。

 

 

 

 

ボディ破損 / Gibson SJ-200


ボディ破損を中から先に見て頂いております。

ブログも長くやっておりますと、見せ方も工夫してみます。


ボディのボトム部(下側)左右。

板が割れているのが分かるでしょうか。

ライニングが取れています。


力木も派手にはがれたり、割れたりしています。


なんでこんなはがれ方になったか、この画像だけ見ても分からないと思いますが、下の画像を見るとある程度想像が出来ます。


これ位、ずれちゃってます。

何とか使える様にという、ご依頼で。


当方の場合、徹底して元にあるパーツを出来る限り復元します。


今回もその方針で進めましたが、今回ばかりはやっている途中で「間違ったかな。」と思ったりしました。


ネックも外して、バックは新たに作り直した方が返って面倒じゃなかったのか・・・

いやそれではコストが掛かり過ぎて修理予算を超えてしまう。

 


 

この画像は、すでに一旦外してから割れてずれた板と力木を直して、バックを貼り直すライニング(カーフリング)(のりしろになる部材)を交換してあります。

預かりの際は、経験からいろいろと想像して見積もり等、考えますがバックを外す際のイメージが端から違っちゃっいまして、思ったように全くきれいに剥がれない、割れたバック板の段差は中々平らにならず、隙間も戻らず、タイトボンドは諦めて・・・と、中々上手くいかない感じや失敗している感じも見て頂ければそれも面白いのですが私、一応プロですから、アマチュアのブログではないので、そこは割愛させて頂きました。

そこから完成までのプロセスが流石と見て頂ければ尚更面白いのですが、そうなると尚アマチュアのブログっぽくなりますし、やっている時は「こりゃ見せらんねえな、お客さん不安になるだろうな。」と思っていたので、画像は自然と撮っていませんでした。

 

バックが貼れたら、バインディングを巻く準備に掛かります。

バックは一旦外してしまうと、元の位置には戻りません、今回は相当手を加えていますので大きくずれます。

ずれが最小限になる様に、バインディングの厚み内で雰囲気良く修正できる様に、いろいろと工夫をします。

始める前は、バインディングもライニングも疑う事無くそのまま使う気だった自分が哀れです。

 

完成は次回に見て頂きます。

 

今回は、「すごく苦労しましたー。」と言う事ばかり言っていましたが、プロと言えど魔法使いではありませんので、私が尊敬するあの人やあの人も絶対に同じ様な苦労があるはずだと思います。

先日感じたのは、ある方のギターが他工房でいろいろと理由があるようで中々直って来ず、修理屋に不信感を持ったその人が当方へ、相談に来た事があります。その際は腕のよいリペアマンですと、知人に紹介され依頼したのだから、信じて任せたほうが良いですよ、とお話しましたが、先日「1年位前・・・これこれこうで・・・」となんだかんだで未完成で引き上げたらしく、最初に依頼して断られた神田の某ショップで再度依頼して見てもらったようで、「これギターが壊されていますよ!」と言われ、訳を聞いた某ショップは「それならうちで預かります。」となり、当方へ画像持参で「これは、本当に壊されているのですか?」と訴訟も辞さないので第三者の意見が聞きたいのですが・・・と何故か話だけを聞きに毎回うちへ来ていただくのですが、話を聞いて、画像を見て、誰がどう見ても悪いのは修理屋なんですが、どんだけ苦労したかと思うと頭ごなしに悪くは言えなっかったです。

腕が良いと言われる人がこんな事してると思うと、相当苦労したんだろうと思ってしまいます。

プライドが高く、聞ける人が居ないのか、そんな事しなくても・・・

と、「修理に魔法はありません。」の回でした。

 

 

トップ膨らみ修正


ブリッジ下側が膨らんでポッコリと出っ張ってしまっています。


横から見ますと、これだけ前傾しています。


アコースティックギターのトップは設計上平らですが、使用していく上で真っ平らなものは殆どありませんので、少々のふくらみは修理しませんし、出来ませんが、これはやらなくてはなりません。

※少々のトップの膨らみや歪みを気にする人も多いですが、トップはサウンドボードと呼ばれるパーツで音に直接影響しますので、必要のない作業は極力やめましょう。

 


ブリッジプレートを鏡で写したところ。

過去に交換されています。


ブリッジを剥がした跡。

中心部、1弦~6弦部分は板が取れて穴が空いたと思われますが、その破片をまた貼り直してあります。


ブリッジプレートを剥がしたところ。

端は木部が大分めくれてしまいました。後ほど修正します。


トップの形に変形した、ブリッジプレート。

ブリッジとプレートを外したら、力木の剥がれや割れのある部分を接着しながら、当方の方法を用いてトップの歪みを修正します。

同時にブリッジの歪みも修正しておきます。


専用のパテで修正出来ない部分は、切り取って同じ木材で塞ぎます。


裏側も平らに修正します。


トップは平らになるようにキープしたまま、作り直したブリッジプレートを貼ります。


弦高を調整して弾き易くなり。


歪みも直り。


剛性も取り戻し。

後は弾くだけ。でも、弦は毎回緩めましょう!


このように、弦を張りっぱなしで置いておいたギターは、ネックに支障が出ない場合は他の部分に支障が出ます。

 

トップクラック(割れ)修理


クラッシックギターのトップクラック(割れ)修理です。


割れ目に汚れが入らなければ、ほとんど跡が残らず修理出来る事がありますので、素手で割れ部分を触ったりせず早めに修理に出しましょう。


ほこりが入らないようにテープを貼る方がいますが、塗装によってはテープに反応してしまうので、何塗装か分からない時のテープの使用はやめましょう。


こちらは、きれいな方ですが、少し筋が見えます。

 

サウンドホール(ボディ)割れ / ネック角度狂い


 

弦の張力に負けてサウンドホールがつぶれています。

これだけ割れて、ずれてしまっているのでジョイント周りの力木やネックブロックも剥がれています。

先ず、このずれを直してから、割れ接着、力木接着、ネックブロック接着、補強、ネックリセットの順番で進めていきます。

このズレを直した段階で、ネックの角度も丁度よくなる事もありますが、今回は割れてずれる前から角度も狂っていた為、十分な角度が無いのでリセットします。

 

 


ズレを直して、割れを接着したら、サウンドホールとバスバー(力木)とその向こう(奥)にある平たい力木も接着します。


バスバーの手前にあった補強板を外して、割れを確認します。

奥の板も剥がれています、その奥にあるのがネックブロック。


とても作業がし辛く確認もし難いのでいので、しつこい位に接着剤を差し込んでクランプします。

 


補強は元より大き目に。

 


ボディの修理が済みましたので、ネックをリセットします。


サドルは高過ぎないのが、カッコよいです。

ですが、サドルを何ミリの高さに設定、と言うようなネックのセットは出来ませんので、調整はどちらへ転んでも良い感じになるように。


ですので、サドルが理想よりちょっと高い、低い時はあります。

サドルの高さにこだわる人が多いのは知っておりますが、そして0.5~1.0mmサドルを削ると見た目の高さの印象は変わるのも分かります。


0.5mm削るか削ないかでは、演奏性がかなり変わります(0.25mmの弦高差)ので、サドルの高さを決めてしまっては、本末転倒になります。

 

音の良し悪しは、人それぞれではありますが、サドルが高ければよくて、低ければ悪いと言うものではありません、現在お持ちのギターの良し悪しも原因の一旦がそれかもしれませんが決してそれだけではありませんので、その点ご理解頂ければ幸いです。

修理内容とは別に、サドルの話になってしまいましたが、こんな回もあります。

トップ割れ(クラック)修理

割れ(クラック)の修理は写しても伝わり難いので、あまり写さないのですが、これ位段差があると分かり易いです。

割れの修理をなるべくきれいに仕上げるには、修理前の対処の仕方が一番大事です。

・なるべく早く修理に出す。

・割れている所を手で触らない。(ほこりをつけない)

割れている所を汚さないと言う事ですが、修理に出すまでここにテープを貼っちゃう人の気持ちも分かりますが、ラッカー塗装の場合はテープに塗装が反応してしまうので、それもやめましょう!


平らになるように何度か仮止めをして、確認してから、接着します。


トップはクランプが入るので、接着は割合やり易いですが、両側から挟んで平らになる様にクランプが出来ないサイド、バックは難しいです。

うっすらと汚れが筋になって見えます。


クリート(割れ止め)を付けてあります。

接着がしっかり出来ていますので、やらなくてはならない事ではありませんが、保険の意味合いでオーナーさんの安心感の為に。

でも、このオーナーさん「乾燥したらまた割れるんでしょ?」って、ちゃんと分かっています。

 

ボディサイド割れ修理 / Martin


 

ボディサイドの割れの修理です。

始めに撮り忘れて、すでに着けてしまっています。

ボディ(トップ、サイド、バック)割れを接着した際は、しっかりと接着剤が割れ部に入れば、補強は無くても構わないのですが、かなり広範囲で割れていて、割れ部も中よりですので補強を入れて完了させます。

ボディ割れを接着する際は、段差が出来ない様に気をつけますが、戻りきらない部分があったりと割れ修理の一番難しいポイントです。

補強があると安心感があるためか、補強の有無を気にする人も多いですが、割れの状態や、場所によって割れ自体の接着が難しい事があります、その際の補強には意味があり、その場合は補強と言うより接着出来ない代わりと言う感じですが、安心感も欲しい場合補強を入れることがあります。

書いていて、分かりづらくなりましたが、いろいろなのです、音は聞き分けられるほど変わらないと思いますが、耳が良い人等は、なるべく変わらないようにと要望があれば、補強は入れ無い事もあります。


かなりな安心感をかもし出した、補強になりました。


どんなに平らに着けたつもりでも多少なりに段差がありますので、平らにしてから補強は貼ります。


外側も同じ様に平らに修正します。


塗装修正はしていませんので筋を確認できますが、見ようによってはほとんど気にならないと思います。

 

もう1本、別のギターのサイド割れがあります。


こちらは場所的にやってもしょうがないので、補強は無しです。


接着出来れば、問題なしです。


塗装の修正はありませんが、然程気にならないと思います。

 

ボディ破損修理 / アコースティックギター


 

お世話になっているショップからの依頼です。

何らかのアクシデントにて破損してしまったそうです。

破片とバインディングの一部は、その際に無くなってしまったらしいです。

修理は毎回毎回、特にこういった、破損の場合には、考え考え始めるのですが、今回は取り掛かるまで、いつもより時間が掛かった気がします。

破損はこの一部ですが、なるべくきれいに直そうとすると割れの延長線上広範囲に及んでしまいます。

それも仕方ないと言う条件を踏まえつつ、いろいろ考えます。

考えが決まり作業が途中まで進み、上手く行かなかった部分をリカバリー出来ず、貼った木を剥がして捨て、再度やり直して、なんとかゴール。

 


ゴールなのですが、最初に採った木目の方が寄り近かったかな、と言う思いを残しつつ・・・


完了。


修理部分の接着材の跡が黒っぽく染みていますが、割れ跡等、痛々しい感じはありません。

 

トップ剥がれ / Ovation 1687- (Adamas)

80年代後半から2002年までOvation の代理店(中尾貿易)で修理をやっておりましたので、こちらもそうですが90年代のOvation は全て見たと言ってしまいます。

木のトップとは違い、硬いのでトップは割れず、バインディングを突き破って、トップが剥がれています。

弦を緩めず、テンションを掛け続けた為に、ボディが分かり易く歪んでいます。

当方では、楽器をお返しする際は、必ず弦は緩めて管理して下さいと伝えてお返しします。

メーカーや、製作者が、弦は緩めないでくださいと言われる場合がありますが、空洞の弦楽器は、弦を緩めなくて良いと言う理屈はあまり当てはまらないからです。

このままでは修理できない事と、90年代 Adamas のトップの接着剤は怪しいやつは分かりますので、迷わず剥がします。

トップは割れませんが、あれだけボディがひしゃげれば、力木は剥がれます、接着が悪ければ、力木は全部剥がれて取れてしまうようなものもあります。

これはバインディングが突き破れたためか、思った程では無いです。

ボディが酷く歪んでいますのでトップがはまらず、ご覧の通り大変です。

何度も組んでは、削るところは削り、クランプ等の位置や力の掛け具合を変え、バランスを考えてはめていきます。

 

この画像はどのタイミングの撮影か忘れましたが、接着する際は、仮止めの時と若干雰囲気が変わりますので、それも想定してその時にまた考えます。

接着剤には、「アラルダイト」と言うエポキシを30年来Ovation の修理の際は使っていますが、思わぬ所で固まってしまわないように、ベタベタ処理はとても大変ですが、入念にします。


いつものようにネックジョイント部ボディの隙間を充填して補強します。


このような補強等、中尾貿易時代に先輩修理屋の佐伯さんに教えて頂いた。


日本最古(?)のオベイション専門修理屋。佐伯さん。


そうなら、私は2番目に古い。

割れたバインディングは直せませんので、作って雰囲気だけでも合わせます。

力木を直し、トップを貼り直したAdamasは,いい!

初期のAdamasの様な鳴り方になりました。

 

Framus 5-024 / ボディ修正

ジャックの穴だと思いますが、ずいぶんと大きな穴です。

予め中からパッチを貼って塞いでおきます。

アメブロに中の画像あります。

塞いだら色を合わせますが、元通りにはなりませんので、雰囲気がなんとなく合えば良しとします。

ピックアップが取り付けてあった部分が加工されていますので、こちらも修正します。

こちらも雰囲気がなんとなく合う感じに。