ブリッジ

ブリッジはがれ修理 / Ovation CC059-4


 

ブリッジが剥がれています。

見ればわかります。

手工品のギターではあまりこういった剥がれ方は見ない気がしますが、メーカー品や量産型のギターはこのように剥がれてしまっているものをよく見ます。

原因は一つでは無く、いくつかあります。

これの場合は、アラルダイトのようなとても強力なエポキシで接着され、接着部は剥がれていませんが、接着されている塗装の下から剥がれています。

タイトボンドやニカワ等は木部を出して接着面を調整しなければ接着剤の性能を発揮できませんが、エポキシの場合塗装面であっても強く、硬化後も体積がほとんど変わらないので多少凹凸があっても隙間なく、強力に接着する事が出来ます。

その為にこのように剥がれてしまう事もあります。

このように一気に剥がれてしまう原因としては他に、単純に接着剤が弱い為、接着剤が足りてない為、接着面の処理不良の為、等がすぐに思いつきます。

不備の無い作業工程で選択が間違えてない接着剤を使っていても構造上、剥がれてしまう事はある程度仕方がない部分もあります。

ブリッジも木で出来ていますので、張力のかかる方向へ木が反り上がり、その分隙間が出来る事があります。

防ぐ手立てとしては、弦は必ず緩める事。

・チューニングされたまま、もしくは弦は少ししか緩めていない…この状態にしない事。

ブリッジだけでは無くネック、トップ等、関わる全てに何かしらの影響が出るので、弾かなければ弦は必ずしっかり緩めてください。

 

 

 


 


 


 


 

 

ブリッジプレート補修 ブリッジ交換 / Gibson LG-O

経年劣化でブリッジは歪んで、ビス止め部分は折れてしまっています。

作り直したブリッジを貼り直す際には、塗装を剥がして木地を出します。

ギブソンの60年代のプラスティックブリッジは、4か所ビスで止まっているだけ。

ブリッジの裏側、ブリッジプレート。

通常はメイプルやローズ等を使いますが、これはスプルースか何か。

ブリッジプレートの穴は削れているだけでなく、裂けてしまっています。

 

 


 

 

 

 

ビス止め部分は真ん中に2ヶ所と弦の穴の両端に1ヶ所ずつ、計4か所。

 

ビス穴も弦通しの穴と同じように塞ぎます。

ブリッジは、似た雰囲気になるようにエボニーで作り直します。

 


ローズで交換する際は、その年代のローズブリッジの雰囲気になるように。


エボニーで作り直す際は、プラスティックブリッジの雰囲気に。


オクターブも図り直します。

サドル位置は、ほぼ同じ位置でした。


通常のサドルであれば後からサドルの位置を決められますが、アジャスタブルブリッジの場合は、いろいろ難しくなります。

 


 

 

 

良い雰囲気です。

 

ブリッジはがれ修理 / Martin D-18


ウィング部に少し隙間がある位でしたら、そこだけ貼れば良いと思いますが、この位剥がれてしまっていたら、調整して貼り直しましょう。


力木ハガレの次、位に意外と気づき辛いのが、ブリッジ剥がれかなと思います。

 


隙間になった分、ブリッジが反りあがっていますので、平らに直します。

https://www.m-guitars.com/blog/1568/

 

 

 


 

ブリッジを貼り直す際の注意点としては、先ずは上記の接着面の調整。

その前に剥がす際には、すごく気を付けて剥がす事。

逆目に向かってヘラを入れてしまうとブリッジを剥がさずブリッジの面積を超えてトップの木を剥がしてしまいかねません。

貼る位置は基本的には同じ場所へ貼り直しますが、ズレた位置で長期間落ち着いていた物はその位置が元の位置と勘違いしてしまう場合があるので注意します。

もっと正しい位置を決めるにはピッチを図り直し、サドルの位置を合せてセンターも修正する事が出来れば、位置としては正しいですが、接着面の跡が出てしまい見た目が悪くなりますので、やはり基本は元の位置。

貼り直した後、微妙にずれても見た目や、他に不具合や問題が無ければ良いのですが、アジャスタブルブリッジ(Gibson)の場合は、微妙なズレも問題になりますので、やはりいずれにしても元の位置にビタッと決める事が求められます。

 

 

 


接着面が真っすぐに調整されていなければ、隙間が出来てしまいます。


いくらクランプを締め付けても隙間は隙間なので、拭いても拭いても隙間から接着剤が染み出てきます。

ブリッジに限らず、張り付ける前には色々と確認と準備をしなければなりません。

Martin OOO-21 / ブリッジ交換、ネックリセット

ブリッジがちょっと薄いのでネックリセットにつき、ブリッジの厚みを戻します。

年代的にはロングサドルですが、ショートサドルで作り直し。

ハカランダの在庫は、まだ少しあります。


ブリッジが出来ましたので、ネックリセットします。


後ろが剥がしたブリッジ。

交換せずとも個人的には十分と思いますが、色々拘りがあります。


通常のネックリセットより多少高いサドルです。

 


 


 


 

リフレットして、ピックアップを付けます。

完全にご自身が使いやすい、好みの状態を想像しての修理依頼、という感じです。

個人的好みではサドルは高く出ていない方がカッコよく思っていますので、通常はもうちょっと低くなる様に角度を直すのですが、サドル高目がよろしければ言って頂いて全然かまいません。

但し、たまに見る現行品ですごくサドルが出てる、イヤミの出っ歯(アニメおそ松くん)みたいなのは勘弁してください。

そのリクエストは、他の修理屋さんでお願いいたします。

修理画像を過去にどこかで見た記憶がありますので、やって頂ける所があるはずです。

 


 


 


 

今回はサドルが高目になるように狙って調整しましたが、最終的に弦を張って調整してどちらに転んでも良いようにネック角度を直しますので、結果いつもより高目なサドルになる場合もあります。

 

 

ブリッジ剥がれ修理 / Rosso Arumard

大概ブリッジは反ってしまっているので、接着面は平らに直して貼り直します。 

勿論トップ側も平らに直して隙間無く貼ります。

 

 どちらも平らでピタッと戻るのであればそのまま貼って良いかと言えばダメなんです。

古い接着剤はきれいに取り除かなければ接着力は半減してしまいます。

 


いつも言っている事なのですが、弦は緩めましょう!


緩い分にはいくら緩くても大丈夫です。


ほとんどの皆さんは、ネックの事を心配されます。

しかし、その70Kg以上の張力は他の部分にもかかっているのです。
 
 
 
 

 

お世話になっているギターショップで、当方以外にも修理屋が入っているのですが、そちらでネックリセットしたMartin が弦を緩めたにも関わらず半年でまたネックが起き上がってしまった、という事らしいのですが・・・

その修理屋さんは良心的ですから、それは何かあるかもしれない、と無償でやり直すらしいです。

仮にうちの仕事でしたら、うちももめるのは嫌ですから、渋々 同じ様にしていると思いますが、多分その人は緩めたつもりでちょこっとペグを動かした程度なのだと思います。

弦を緩めておけば、ネック角度が狂う原因は無いのですから。

皆さん、いろんな考えがあります。

ペグを1回転緩める、半音下げる、緩めてはいけない、等々、緩めないよりも良いですし楽器によってはどれかが当てはまるかもしれませんが、アコースティックギター(ボディが空洞)なら弦はしっかり緩めましょう。

経験上、当方ではこのように言っております。

ブリッジ剥がれ+ネックリセット / Martin HD-28


この穴埋めをやった人は、分からなかったのか、分かっていても面倒くさかったのか。


将来修理をすることを考えればこのようにはしないのですが、何らかの理由があったか。


傷つかずに外せて、一安心。

 

上の画像はブリッジを貼り直す為に剥がしたところです。

まず、はがす為にブリッジを温めました。

そしてオクターブのピッチを直す為にサドルの溝の位置を直した跡が浮き上がりました。

さらに新しいサドルの位置とピンの位置が近すぎてしまう元の穴の跡も浮き上がりました。

ブリッジがしっかり温まったら隙間からへらを差し込んではがします。

…何故か剥がれません、何か引っ掛かります。

あーもしや!やはり穴の位置をずらす為に埋めた丸棒がブリッジプレートまで貫いて埋めてあります。

6ヶ所柱が立っていたら外れる訳ないのです。

どうやって外すか、トップ側にキズは付けたくないのでブリッジは壊して新しく作り直すか、そうすると料金が大分上がってしまうし…。

どうにか薄いノコで切り取れないかと、0.1mmのノコギリをネットで見つけて、そのノコギリの柄を外して切り取った所です。

ここまで来るのに、0.1mmは見つけたけど、トップに傷つけずにとれるのか、やはりブリッジは壊した方が良いか…考えが行ったり来たりして、ここまでたどり着いた所が上の画像。

 

 

 

ブリッジを貼り直したら、ネックリセットをします。

ネックリセットの方が仕事としては大仕事なのですが、ブリッジ仕事が今回は珍しかったので、修理実績のカテゴリーはブリッジ仕事に入れました。

 

どのブランドもダブテールジョイントと言うわけではありませんので、ネックを外す際には分からないブランド等ではネックジョイントがどのようなジョイント方法なのか知る必要があります。

そしてダブテールジョイントだからと言っていつものように外れるのかと言う不安もあります。

このブリッジの様に将来の事を考えずに、エポキシでジョイントをみっちり充填してあったら…。

以前には、ダブテールと溝の底の隙間にタイトボンドがたっぷりと入っていたことがあります、そこはそのまま隙間で良い部分なのですが、タイトボンドは硬化して体積が縮みますので、そのジョイントの底面部は接着されずに済んでました。

これがエポキシだとしたら、大変なのです。

本当に大変で、昔、Guildのギターで当たっちゃった事があります。

新しいものは分かりませんが、昔のOvation のカマンバーが入っていないネックのジョイントがそうです。

ジョイントが緩いので、エポキシ系の接着剤でガッチガチに固めてあります。

 

 

跡が目立たない様に修理前の様になじませます。

サドルの高さは、たかーくならない様に。

個人的好みなのだと思いますが、サドルがすごく出ているのは、カッコ悪くて嫌なのです。

サドルを高くしておかないと、将来弦高が上がった時に下げられなくなってしまう、と心配する方もいますがこれ位あれば十分ですし、ちゃんと弦を緩めておけばまたネックの角度が狂ってしまう事はありません。

新品ギターのサドルがやたら高くなるようなネック角度は、弦を緩める習慣の無い人の場合、ネック角度が狂っていくごとに弦高を下げられるよう見越してのセッティングなのでは、と思っています。

 


ネック角度を直した後は、ジョイント以降が下がりますので、指板に厚みを付けます。


そして指板修正すればかなり満足なストレートなネックになります。


指板修正すればフレットも新しくなります。


フレットが新しくなれば、ナットも新しフレットに合わせて新しく。


ヒールに隙間が出来てしまうものがありますが、その場合はそこを接着しても問題の解決にはなりません。

問題はダブテールジョイント部分です。

 


ですので極端な話、この部分には接着剤はいらないのです。

「我々の木工技術は素晴らしいよ。」と言っているローデンは実際にここは接着していない。


ローデンにしても現在の大手メーカーは、NCルーターで作るのでしょうけど、Martin はなぜ隙間が出来てしまうのでしょうか。

 

ブリッジ修理 / Takamine


ブリッジが剥がれて前へずれてしまっています。


スーパーグルー(瞬間接着剤系)で貼ってありますので、剥がれる時はポンと剥がれます。

大きな四角の空洞にピックアップが収まります。


この類のブリッジの接着は、接着剤が満遍なく行き渡っていない事が多いので、強く貼り付いているところと弱いところがあります。

 


剥がれているところは接着し直して、欠けて無くなってしまったところは、エポキシパテで埋めます。


こちらのブリッジの接着にはアラルダイト(エポキシ)を使用しますので、木地は出す必要はありませんが、塗装がしっかり定着(密着)していなければなりません。

 


通常ブリッジの接着にエポキシは使いませんが、スーパーグルーで貼り付いていたブリッジは、同じような修理を繰り返さないようにエポキシを使用する事は、しばしばあります。

 


アラルダイト(エポキシ)は硬化した後も縮まず、接着力も強く、大変優れた接着剤ですが、扱いは面倒です。

 

ブリッジクラック / Webber Guitars


 

ロングサドルのブリッジで割れる事が多い部分ですが、こちらはショートサドルで同じような割れがあります。

何度修理しても繰り返すので、再発しないようにと言うご依頼。

力がかかるここの部分は接着だけでは到底持ちませんので、元より強くなるように修理します。

これしきのクラックがそれほど問題なのかと申しますと、現状でもサドルが前傾している事が確認できますが、将来的に確実に割れが広がり、溝から前へ倒れ込んで折れてしまいます。

そうなったら修理すればよいと言えばそれでも良いのですが、この場合はそうなる前の方が手間がかからなくて良いと思います。

 

 

 

 

溝自体も歪んでいるので一旦埋めて、割れ部分を掘り出します。

エボニーで埋めます。

 

 


ピッチも図り直して少し下がったので、更に強くなりました。

位置が変わるのならば、割れはいちいち埋めなくても良かったか、と思わなくも無いのですが。


サドルやその土台は大変な力に耐えなければなりません。

大昔は、なぜロングサドルが主流だったんでしょう。

作るのも面倒だし。


強度も音響的にもこっちの方が理にかなっているように思うのですが、デザインはロングがカッコよいです。

道具の関係上仕方なかったのだと推測しますが、昔から何となく疑問が続いています。

 

 

ブリッジ剥がれ修理 / クラシックギター 


国産のクラシックギターですが、このような剥がれ方をする事がしばしばあります。

ブリッジ側、トップ側接着面を調整して貼り直します。


塗装がブリッジの外側まで剥がれれてしまっている部分は基本的にはそのままです。

きれいにするにはリフィニッシュするしかないでしょう。


全部塗り直さなくても、そこだけ色を付けて、そこそこ良くすれば良いと考えもありますが、良くなったか否かは主観によります。

 

塗り直しではなく、そこだけ細かく修正する場合は、修理者の達成感の割りに大したことが無い事が多いような気がします。

修理者自身も、直後は達成感に満ちているのに、翌日見るとゲンナリします。

 

 

ブリッジプレート修正+リフレット / Gibson J-50


ブリッジプレートの穴が大きくなってしまって、割れもあります。

穴が崩れてしまうとボールエンドが中へ食い込んでしまいます。

穴の周りを丸く削り落して修正しますが、スペースが足りない為、少し足してから修正します。

 


作業の邪魔になるものは外します。

古いギターのロングサドル等では、接着されているものがあり、外す際にもコツがありますが、それでも壊さざる得ない場合や、割れてしまう場合もあります。

 


丸く削り取る部分が足りないので同じ厚さのメイプルを後ろへ少し足してあります。

弦のボールエンドの向きは、どっち向いてても良いですが、私はいつもこちら向きです。

ブリッジプレートが崩れたまま使っている場合やサドルが低すぎる場合等は工夫したりしますが、しっかり留まっていれば事は足りていますので難しく考えなくても大丈夫です。

 

”弦交換” 関連では、ずいぶん前に、弦の巻き方でブログにした事がありますので、そちらもよろしければ。弦の巻き方

 

 

 

 


ブリッジプレートが終わって、リフレットする為、ナットとフレットを外します。

ナットは形が悪くても、材がなんでも基本問題ありません。


しかし、ナット自体が浮いて付いていたり、弦が乗る溝の位置、深さ、太さ、角度、底の丸い形、が悪くては良いナットとは言えません。


ナットが乗る部分は調整して密着させます。

深すぎる場合は、足して調整します。

 


但し、深すぎてもそれがオリジナルのデザインであれば、そのようにします。(モーリスとか)


このJ-50 はリフレットがメインでしたが今回は、ブリッジプレートとナットの回になりました。


ブリッジプレートは崩れっぱなしでも工夫して使われている方もいますし、こうしなきゃダメと言う事は一つもありません。


不具合を感じたら修理すればよいのです。

その場合は、当方での修理をブログや修理実績のページでご覧になれますので、参考にして頂ければ幸いです。

 

ボディの中の不具合は気づき難い上に、ほっといても演奏にはあまり関係ありませんが、良い事でもありませんので、ボディをタッピング(ドアノックの様に)して剥がれ音が気になる方は、ご予約下さい点検いたします。

 

※ 力木ハガレ等、ボディ内をホコリを掃除しないまま手を入れて、いじってしまうと接着に支障が出る事も考えられます。

コンプレッサー等を併用して確実にきれいにしましょう。