修理実績

リフレット / Morris WJ-50

今回はおじさんが大好きなアリスのギター!

黒はベーヤンが使ってたな~。

 

私が中学生の頃はビデオ等ありませんから、週に一度「ザ・ベストテン」に出ているアリスを見て、一瞬映るか映らないかのべーヤンの手元を凝視してました。

「おー!フラットピックでスリーフィンガーやってるー。」と言う感じで。

 

 

情報が本当に乏しかったし、雑誌だって当時の私にとっては高価だし。

ほとんど弾き方も何もかも想像でギターに携わっていました。

頼りはコード譜の本とラジオとレコード。

それと演奏が一瞬映るテレビ。

「1週間でギターが弾ける本」は見たけど…弾けるようにはならなかった。

エレキなんかは、Vo10にすれば歪むと思ってたし、「なんで、ロックの音になんないの?大きくなるだけなの…?」

 

 


 


 


 

今の子達は羨ましいような気もするけど、昔は面白かったな。

先ずは中1の時、「音合わせって?」

「ピッチパイプっていうのでやるのか!」→「笛の音じゃん!分かんねーよ。」

私、音感なぞはありませんから、そのうち音叉と言う物を知り、めでたく音合わせを体得しまして、

自転車で行ける楽器店に出かけて行き、ピック2枚買って、お店のおにいさんにいろいろ教えてもらって。

お店のお兄さんもさぞ、子供相手に面倒くさかったことでしょうな~。

この場を借りまして、昔の大人の皆様ありがとうございました!

 

ピックガード貼り直し / Gibson J-45


一時期のGibsonのピックガードはフニャフニャしていた時期があって、ハミングバードのP/G等は偽物のような見た目でした。


その時期のものは何故かめくれてはがれやすくて、貼り直すとなるとやたらと面倒臭いのです。


先ずは両面テープで貼ってあるP/G全般ですが、P/G側、ボディ側双方の粘着テープの除去。

 

この粘着テープを除去する際に、ショップ店員さんや他の修理屋さん等は「親指がいたくなります。」や(粘着テープを浮かせるためにオイル使用)「オイルをボディの中にこぼしてしまいました!どうやって跡を消せばよいですか。」等々いろいろ伺いました。

これが大変で、魔法は無いので工夫しながらガンバルしか無いのです。

 

このふにゃふにゃP/G、柔らかいから貼り付いたら反発してめくれ無さそうに見えるのですが、強力両面テープでしっかり定着させなければまためくれて来ます。

そんでもって、フニャフニャだからいつもの当て木では杢目が付いてしまいます。

(それなりにツルっとしている当て木なのに)

なので、キズの無いアクリル板を使います。

 

これなら大丈夫かと言えば、しっかり圧着させたいのでクランプもそれなりにしっかり締めると強くクランプが掛かっていた跡が付いています。

なので、温めて跡が消えやすくなる様にしたりしますが、温まって剥がれやすくなってしまうのも嫌なので、いずれにしても跡が消えるまで時間が掛かります。

 


 


 

 

そしてこれは、将来的にどの位持つのだろうか。今も剥がれていないのだろうか。

心配なら作り直すしかないでしょう。

https://www.m-guitars.com/blog/3755/

メーカーは不良が出たら、「それじゃー、次からは素材を変えて作りましょ。」となるのだろうが、過去の不良も何とかならないですかね。

 

ブリッジプレート補修 / Epiphone Texan


 

 

ブログの趣旨としてはビフォーアフターなので、ビフォが無いのはブログにはならないのですが、

茶色テキサンはちょっと珍しいので、皆さんにも見て頂こうかなと、ただそれだけです。

在庫を持っているショップもありますが、現在では随分と相場が上がっちゃって、昔を知っている身としては「あ、そんなビンテージになられたのですね。」と言う感じでしょうか。

昔自分が使っていた、黒いJ-45然り、昔はただ黒いJ-45でしか無かったのに数が少ないカラーは現在は扱いが違うんですね。

 

こちらのTexsanはサドルが固定式に変更されています。

 

 


 

 

よくある改造ですが、アジャスタブルブリッジのアンカーまで取ってしまう拘りなら、穴も埋めてしまえばいいのに、将来的に戻しやすくしたのなら、付けておけば良かったのに…

修理や改造はよっぽどヘンテコリンな事をしない限り、別に正解がありませんので、それぞれの考えがあると言うところでしょうか。

 

弦の穴を一旦くり抜いて、きれいな穴に直しています。

(鏡を2枚置いてブリッジプレートを写している状態です。)

過去にもいくつかブリッジプレートに関してのブログがありますので、そちらもご覧いただければ幸いです。

https://www.m-guitars.com/blog/5821/

 

Neck Reset / Gibson Dove (画像のみ)


 

本年もよろしくお願いいたします。

ブログに上げるものがいつも同じ内容ばかりで、書く事がもうないので同じことを何度も書いているかもしれませんが、そこはご了承くださいませ。

何を書いたら良いのか最近はホントにわからなくなっていますが、私のこの仕事へ携わる切っ掛けは、1987~1988年この頃にクロサワ楽器のお茶の水駅前店にアルバイトで雇ってもらった事です。

この頃のこのお店はアコースティックギターが中心で、それが今の私の仕事に繋がっています。

そこには、当時のクロサワの1番良いアコースティックギター(クラシックギター、フォークギター)が在庫されていたと思います。(新大久保店が出来るまで。)

そこには連日クラシックギターマニアのお金を持ってそうな、おじ様達がこぞって店長らとギター談議に花を咲かせておりました。

 

 

 

 

常連さん方から度々聞こえてきたのが、オールドギターの良し悪しについて。

製作されてから何年後位がピークで、何年後以降は落ちていく…そんな話。

パワーが無くなる。とか

100年で寿命だとか…

(ギターの歴史位だと思うんだが、材がどーのこーのだったような…記憶の遥か彼方)

そんなようなことを断片的に何度か聞く事がありました。

 


 


 

バイオリンってなんで寿命が長いのかなと?ふと思ったりしたことがあったのです。

バイオリンの寿命等聞いたことが無いし、バイオリンの100年物はまだオールド等とは呼ばれず、モダンと呼ばれてしまうそうなのですが、「なるほど。」

バイオリンはあの大きさに対してあの位の板の厚みがあるので強度も違い、楽器の成熟する時間も違うのかと自分なりに考えたりしました。

古くてどうしようもないバイオリンは一旦バラシて組み直すなんて事も聞いたことがありますので、だから永遠に寿命が来る事が無いのかと。

組み直せるんです。

 

 


 


 

アコースティックの弦楽器は接着でいろんなパーツが組み合わさって出来上がっています。

古くなり音が枯れる原因は、そこなんだと思っています。

接着剤のニカワがカスカスになってしまう物があります。

ギターは力木でバランスは取れているとは言え、あの板の厚みしか無く楽器はあの大きさがありますから、100年もしたらそれは枯れ具合は相当なものでしょう。

この仕事を始めた頃は、それが出来ればギターも寿命知らずになるなと考えたりしましたが、バイオリンの様には出来ないからギターはバイオリンのようには残って行かい結論なのか。・・・確かに。

おじ様達の100年寿命説はどっから来たのか、今考え始めてしまいました。

あの時のおじさん達の雑談に今、振り回されております。

そうなると100年物のギターなんてそれこそトーレスだったりは、かなり頑張って直しながらそこまで来たかと思いますので、寿命と言う表現を使う時期はもっと早いのかもしれません。

クラシックギター(スペイン式)はネックを外して直す事が出来ないので、弾き辛いギターはそのまま諦められて、弾き辛いまま音がどーのこーの、なのか・・・それならそれを寿命と言われるのは忍びない気がする。

 

今思えば、あの当時のクロサワに来てたクラシックギターマニアおじ様達の100年寿命説は、その常連さん達の話では無く、度々暇つぶしに来るあの声のでかい常務が言っていた事が「おじさん達談議」として私の中に残っていたのかなとも思ったりもします。

100年なんてどっから出して来たのだろうか、書きながら今思っていますが、きっとそれ位のギターを弾かれた経験がある方が言った事なのでしょう。

いずれにしよ、何年物だって枯れた音が良いし、その音が好きなら寿命などではないし、物足りなければそれを寿命と言う人もいる。

何につけ、言い切る事は出来ないのだと改めて思うのでありました。

 

 

年初めから画像とは関係のない話になってしまい、取り留めのない感じになってしまいました…。

こんな感じですが、本年もよろしくお願いいたします。

ネック折れ修理(塗装修正あり) / Gibson J-45


 


 


 

ネック折れをホームリペアでトライしたもののダメでした、と言うよくあるケースでございます。

 


再接着するに際にあたり、古い接着剤を取り除いている最中にが画像を撮っています。


白っぽくなっているのが接着剤です。

こちら側の接着剤はほぼ除去された状態です。

 

接着剤の種類はおそらく何かしらの木工用の接着剤かなと思いますがタイトボンドなら、これだけ接着面が大きいので、ちゃんと接着していれば、もしかしたら再発せずに普通に使えたかもしれません。

但しそれは最初の修理の際の事で、2度目なら補強が必要だったと思いますし、再接着するならば古い接着剤は取り除かなければ補強があってもやはりだめだったかもしれません。

 

付着している接着剤を取り除くのに、こうなっているととてもやり易いです。

タイトボンドでのネック折れ修理は必ず補強が必要になりますが、当方では基本補強は必要のない接着剤にて修理します。

 


 


 


 

補強しなくて大丈夫なんですか!や、何故ですか?等々あると思いますので、しばらく書いてなかったので、改めて書いてみます。

 

「基本的に補強をしない訳(場合によって必要)」

1)補強の要らない接着力の接着剤で接着する為

2)再度アクシデントがあった際に近いところで折れた方が都合が良い為、何故なら補強があった場合は折れ方が複雑になったり、他の部分で折れてしまう場合や中途半端な折れ方になるとかえって面倒になる為

3)手間がかからなければ安く出来る為

4)「そのような接着剤で修理して音が悪くならないか」と言う意見もあるが、「元のネックを削って他から別の材を足す事の方が音に変化を与えてしまうのではないか」と当方では考える為、しかも折れた所同士であれば密着度が高く、平らに直された接着面より接着強度が高い為

(理屈から言えば修理後は音に変化はあるが、ネック折れの修理でそこまで音の変化を感じる人は少数)

5)通常使用でそれ以上の強度は必要ない為(タイトボンドの接着なら補強は必須)

以上のような理由がある為です。

 


 


 

出来る限り週一(大体土曜の定休日)にブログを更新出来るようにやっておりますが、本日、大晦日で、土曜日。

本年も誠にありがとうございました!

 

ナット交換 Gibson L-00

スタッフの山口です。

今回は修理メンテの基本、ナット交換です。まずはビフォーアフターからご覧ください。一枚目のビフォー写真、良く見ると弦と弦の間隔(弦間)が狭かったり広かったりバラバラです。

2枚目は完了後、アフター写真です。

1枚目と見比べると弦間がバランス良く改善しているのがお分かり頂けると思います。

せっかくナットの溝の精度や深さが良くてもこの弦間がバラついていては台無しです。


今回はギターの雰囲気に合わせてオイル漬けのナット材を使います。


古いナットを外したら指板や底面に残っている古い接着剤を除去します。


冒頭で触れた弦間を決めます。テンプレートを使ってマーキングしますが、溝を掘っていくうちに曲がって(ズレて)弦間がバラついてしまう、、というのは初めの頃はよくありました。


ナットの形はメーカーによって様々です。それぞれのメーカーや年代に合わせた成形を心掛けます。例えばギブソンなのにヤマハっぽいナットだったりするとカッコ悪いのです。逆もまた然り。多種多様なナットのディティールは未だに苦戦します。


ナットは演奏上とてもデリケートなパーツです。なんとなく弾きづらいと感じる場合、ナットに原因があるかもしれません。

又、音にも直接的に影響するパーツです。溝の深さ、幅、精度、角度、そして弦間や形、注意深く調整が必要になります。


ギターを初めて2ヶ月、「未だにFコードの音が出せない。」と嘆く友人がいて「皆んな初めは通る道だよ、その内いつの間にか弾けるよ」と返すと「全く弾ける気がしない」とのこと。まさかと思いギターを見せてもらったら、僕でもまともに音が出せないようなナット。調整してあげたら友人も綺麗にFの音が出せて拍子抜けした、なんてこともありました。新品のギターはナット溝が浅めのものが多いので弾きづらいと感じたら一度調整してもらう事をお勧めします。

その際は是非皆川ギター工房をご指名いただけると幸いですm(_ _)m

 

とりあえずオイル漬けナットが良く似合う、今回もナイスギターです♪

 

リフレット(1弦引っ掛かり)/ Gibson

弦を外しちゃったので、文で説明いたしますとフレットとフレットバインディングの隙間に演奏中に弦が挟まってしまいます。

そうなると演奏出来なくなってしまいますので、何かしらの対策が必要です。

ならば隙間に何か詰めて弦が挟まらない様にするか、交換してオーバーバインディングのフレットにするか、どちらかになります。

 

こちらはフレット交換してオーバーバインディングにします。

隙間に詰め物をして挟まらなくなっても、そこの段差部分の違和感は残りますので交換してしまった方がスッキリしてよいでしょう。

このフレットバインディングと言うのは、見た目から手間が掛かって高級ギターなんだろうな、と言う感じは醸し出していますが・・・

やはり高級感だけの為のものなのでしょうか・・・

 

 

私、このあたりの理由や歴史的な背景が勉強できてませんので分からないのですが、なんのメリットがあるのでしょうか、分かる方は教えて頂ければ幸いです。

多分、たぶんですよ、マンドリンばかり作っていた時代、指板がやせた時にフレットが出てチクチクするのでなるべくチクチクならない様に考えたのがフレットバインディングなんじゃないかなー。

そしてそれは高級機種の証、なんて思います。

それがギターに引き継がれて、特に良い事も無いのが分かっていながら誰も「もうやめようよ。」と言う人が現れずに現代まで続いている・・・

だってGibsonの伝統なんだもん。

そういう事なんじゃないかなー。

 

 


 


 


 


 

伝統はいつも、尊重して、重んじて、尊んで、アンタッチャブルなのは、そこの年寄りが許してくれないからなんだよね。

若者を中心に仕事をやらせなければ、絶対に発展なんて無いのはわかっているのに(分かってないのかな…)、居心地が良い年寄りはそこから退かないんだ。

 

「あんた、そら違うよ!」と言う方は真実を教えて頂ければ幸いでございます。

 

ネックリセット ネックリフィニッシュ / Martin M-36


 

ネックリセットやネック折れ、ボディ破損等はビフォーアフターの絵面が良いので修理ブログでは、ついつい多くなってしまいます。

実際、当方ではネック折れとネックリセットは多い事は多いのですが、力木剥がれやトップクラック等、アコギに多い修理もいかんせん、画が地味…。

それに対して、このネックを取っちゃってるところなんて、”えぢから”あるもの!

それとかネックが折っ欠けちゃってる画なんて怖いでしょ。

絶対に自分のギターで想像しないもん。

幅広く画像残さないと…とは思ってはいるのですがつい・・・申し訳ないです。

 

 


1


2


3


4

1. この位が個人的に理想的なサドルの高さ、リフレットの際に指板を削り直したり、使用する弦の張力によってどんなネックの反り方、起き方になるか計算しなければならない(実際に計算式があるわけでは無い)のですがなかなか思い通りなサドルの高さにする事は難しく、少々どっちに転んでも良い感じなる様に調整します。いずれにしろ出っ張り過ぎないように気を付けています。

2.薄板で指板の厚みを足しているのですが、バインディングがあるのでバインディングも足さなければなりません。

3.フレット交換していますが、バインディングがありますので、フレットのエッヂ部の足はカットしてバインディングの上に乗るように加工しなければなりません。バインディングが巻いてあると何かと面倒になります。

4.新しいフレットなので、基本ナットも新しく。

 


 


 


 

ラッカー塗装にありがちなベタベタ劣化は、大分ひどい場合はリフィニッシュ。

リフィニッシュしないまでもの場合は、劣化したベタベタを辞去してオーバーラッカーします。

但しその場合、着色部分も往々にして剥げてしまう事があります。

 


 


 


 


 

サドルの話に戻りますが、折角ネックリセットするのだからサドルが低くてはお得感が無いとお思いの方が多ございます。

私の場合、出っ張っているサドルがカッコ悪く見えてしまうのでサドルは高く無くて弦高も低いのが理想なのです。

サドルは高く無くても弦高が低いのでそれでよいのです。

あとは弦をちゃんと緩めて管理すればネックの角度が狂ってしまう事は無いのですから。

 

[番外編]トップ交換/ Martin OM-42 [後編]


スタッフの山口です。今週も前回の続きOM-42のトップ交換[後編]です。

前回完成したトップ板が無事につきました。


大きめのトップ板のはみ出た部分ををルーターで削っていきます。専用のルータービットを替えてトリム&バインディング用の段差も作ります。


本来は42モデルだとアバロン貝なのですが今回はヘリンボーンのトリム。単純に好きというのもありますが、一目でコンバージョンと分かる方が面白いと思ったからです。

いい感じにギターっぽい顔つきになってきました♪

クリアーラッカーで塗装します。サウンドホールは風船でマスキングしています。


塗装が終わったらブリッジ。ブリッジは無事でしたので元のオリジナルを。トップ板側はラッカーを取り除き木地に接着します。


弦長を測ったりネックを仮付けしてセンターズレのない位置を見つけたり、意外と難しい作業です。


ピックガードも割れていましたので新しく作ります。OMのピックガードだけ形が違う理由は見た目でOOOかOMか判断できるように、かな?


いつものネックリセットと同じ要領でネックの仕込み角度を決めたらいよいよ合体です。


最後はリフレットです。


40番台だからかは分かりませんが真っ黒で良質なエボニーです。


トップはボロボロでしたが幸いネックとヘッドが無傷でした。


 

ようやくOM-42(CV.)の完成です。仕事の空いた時間に少しずつ進めておりましたので完成までなんと2年近くかかってしまいました。

完成してから思ったのはヘリンボーンにしたことでジョンメイヤーのシグネイチャーモデルのOM JMに似ているな、と。良く言えばですが縦ロゴだったりポジションマークやブリッジのインレイが入っている分少し豪華版な感じでしょうか。

音はアディロンダックのスキャロップドブレイシング、ちゃんとMartin、だと思います。工房に展示しておりますのでお越しの際はぜひ弾いてみていただければと思います。

買取価格と材料費、手間賃を計算しても販売価格ではペイできませんが、とても勉強になったので思い切って買い取って良かった!と思います。コンバージョン、世界に1本だけのOM-42と考えたら何だか達成感もあり、リペア学校を出ていない自分としては卒業作品みたいなギターです。

、、かといってまだまだ未熟な部分も多く、皆川ギター専門学校卒業には全く至りませんので、これからも日々精進して参る所存でございます。

番外編、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

ネックリセット / Gibson J-45

スタッフの山口です。今回もネックリセット、Gibson J-45です。

ネックリセット依頼の多くはビンテージギターです。その理由は長い年月が経ってネック角度が狂うから、というよりも修理費をある程度かけても採算が取れるから、だと思います。新しいギターでも保管方法によっては数年でネック角度は狂ってしまいます。

 

写真だと非常に分かりづらいですが元起き+順反り。

色んなケースがありますので一概には言えませんが、ネックが起きることで弦の力がかかる方向が上に向かいネックも反りやすくなるのではないかと思われます。ネック角度を元通りに直してあげれば弦の力もネックと平行気味にかかるようになり、反りにくくなることが多い。ちょっと説明が分かりづらいですが、、、ネックリセットして角度が元通りになるとネックの反りもいくらかマシになる、ということが多い気がします。


指板とトップ板から切り離してから専用ジグをかけます。


ダブテイルジョイントのあるヒール内部を温めて接着を弱めます。


無事スポっと抜けました!

記念撮影。

ヒールを削ってはネックを戻して角度を見ていきます。

アジャスタブルサドルとノーマルサドルでは仕込み角度が異なります。

センターズレはないように。


塗装のクラックがあるとヒール部分のラッカー塗装が欠け(剥がれ)易く、欠けてしまったら修正することもあります。今回はラッカーを盛る修理方法で直す工程が必要でした。


Gibsonの60年代、たまに写真のように指板側面まで色がついちゃってる個体があります。当時のGibson工場の塗装担当がマスキングを忘れちゃったのか、これがかっこいいと思ったのか、単に手抜きなのかは分かりませんが、こういうところが「Gibsonらしい!」という人もいますね。


ノーマルサドル同様アジャスタブルサドルの出しろも出過ぎるとカッコ悪いです。このくらいの出しろで標準弦高になれば理想的ではないかと思います。

ハカランダサドルは好き嫌いが分かれますが、僕は最近好きになってきました。


 

ネックリセットは時間も費用もかかりますが効果も抜群です。一度ネックリセットしたギターは当工房オーナーが推奨する「弾かないときは弦を緩める」を守っていただければまたリセットが必要になることはほとんどないと思います。

ちなみに今現在僕が担っているギターは少し変わったネックリセットをしています。一度ネックリセットした際に角度を付けすぎてしまったらしく、サドルが恐ろしく高くなってしまった状態を適正に戻す、言うなれば逆リセット。ヒールを削りすぎてしまっているため逆にヒールを足すという修理です。いつかそちらもアップしたいと思いますが写真のストックがまだまだあるので忘れた頃にアップすると思います。

最後に一応、、ネックリセットは経験豊富な当工房、皆川ギター工房にお任せください。

今回も閲覧いただきありがとうございました。