ブリッジの剥がれた隙間に接着剤を差し込んで接着する場合も無くは無いですが、その場合は圧着せずに充填接着します。
何故、圧着しないかと申しますと、ブリッジが剥がれている場合、接着面は反っている事がほとんどなのでクランプしても密着しないのです。
無理にクランプしてくっ付けてもブリッジが反っていますので、いずれ剥がれてきます。
剥がさず部分接着するならば、あくまで簡易的な修理と考え、圧着はせず充填接着します。
ブリッジが反っていなくて隙間が出来ている場合もありますが、接着剤はスーパーグルーで、その量も足りていない場合に反らずに剥がれている事が多いように感じます。
弦を緩める理由はネックへの負担だけでは無く、ブリッジ、トップ板、等いろんなところに弊害が出る事を予防する為です。
山口君もブログを書いてくれるようになって、修理の手順なんかも書いてくれますので、私の方はますます文字が少なくなってビフォーアフターの画像のみになってしまいそうです。
山口君には出来るだけ、あーやれこーやれ言わない様にしていますので、私と同じようで違う所もあります。
このリフレットにしても、最近は「ネックジグ」なる道具も駆使して仕事の精度が上がるよう努めていますが、ネックジグの使い方もわたしと若干違うようです。
あーやれこーやれ細かく言ってたら、うまく行ってもわたしと同じ程度にしかならないって事になってしまいます。
師匠とか先生等と言われてる人は、私のとこに来た以上は、私程度より上手くなる(する)には…と、難題に苦慮しているはず。
折角いいボール投げたり、打ったり出来るのに、フォームいじっちゃって、わけわかんなくしちゃうのは1番やっちゃダメ。
怪我しない様にする事が先ずは、教える人の仕事。
そうは言っても、怪我しちゃうんだよな。
「怪我の功名」なんてのもあって、話が終わらなくなりますので、また今度。
お世話になっております。スタッフの山口です。今回は貴重な1930年代のGibson L-00のネックリセットです。
少しずつブログを意識した写真が増えてきましたが、今回は修理前の弦高を撮っておりました。
サドルはギリギリまで削っているのに4mm以上の弦高です。一般的なアコースティックギターでは6弦側12フレットで2.5mmくらいが好まれますのでネックリセットで改善したいと思います。
逆にうんと拘って塗装もして、予算もかけて出来るだけ元の様に戻したいという場合もありますが、そこまで必要無いと思われる方が多いのでしょうか「塗装あり」でのリクエストはとても少ないです。
もしくは当方では、キズ直しやリフィニッシュは基本お断りと言う事で常々、「キズは気にしないで。」「リフィニッシュはやめてね。」等と修理依頼者にとっては、「なんだ?この修理屋!?」的な事を言いますので、見た目も(を)うんと拘る方にはうちは選ばれないのかも。
スタッフの山口です。1950年代のGibson LG-3、ネックリセットを見て行きたいと思います。
写真では分かりづらいですがネック角度が狂ってしまっています。これではサドルを削ったりアジャストロッドで調整しても弾きやすい弦高まで下げられません。
スタッフの山口です。今回はGibsonのLG-3のフレット交換です。角度が悪いので本当はネックリセットしたいところですが、先方の予算を踏まえ今回はアイロンで角度をできるだけ修正してあげてからフレット交換することになりました。
大概、分かれた後ろの方は中々緩まずにくっ付いていますので、外すのが大変です。
以前の蒸気を使っていた方法も現在の半田ごてを使う方法も同じですが、高熱を扱いますのでなるべく早く外してやる事が大事です。
特に蒸気だった頃は、熱湯が噴出してきますので出来るだけ早く外さないと塗装へダメージをきたします。
少々の火傷ならガマンガマン、隙間からボディに噴き出す蒸気を布で拭きフキふきフキしながらやらねばなりません。
熱を掛けているだけではジョイントが緩んでくるまでに時間が掛かってしまいますので、ジョイント部が緩む時間を短縮出来るようにネックをつかんでヒールを押す方向以外からも力を入れます。
ただし、こんなふうにヒールが途中から分かれて、ネックが外れてしまうと持つところが無くなっちゃうから、こうなると残った方を取るのがけっこう大変なんです。
蒸気が吹き出ない半田ごてで熱する方法なら、時間が掛かっても押す方向だけの力で外せば良いかとも思うのですが、いずれもジョイント内部から高温で温めていますが、こちらは気を付けないとヒール塗装面がアッチッチになるので(塗装面を冷まし冷まし)こっちはこっちでなるべく早く外してやる必要があります。
「あ、でも時間が掛かって塗装がやられても、早く外そうと思ってヒールが分かれちゃっても、いずれにしても何らかの修正が必要なんだな。」
「でも、蒸気がボディにはかからないからそこは心配いらない。」
「なら、時間をかけてやればよいのか⁉ 」
「いや、押す方向のみの力では、いつ外れるか分かんないよなー。」
「この厚くて固い塗装修正するのはめんどいよ~、ギブソンみたいなわけいかないんだから。」
いつもブログは、まとめてから書き始めるわけでは無いので書きながらいろいろ気付いたり、分かんなくなったりします。
ヤマハにはヤマハなりの良い方法がきっとある、と思いながら…
つづく
残暑見舞い申し上げます。スタッフの山口です。
今回は手工品のooo−45モデルのネックリセットを見ていこうと思います。
珍しく修理に取り掛かる前に写真を撮りました。よく見るとヒールに隙間が出来ています。
近年の本家マーチンでもたまに見られる不具合です。原因はダブテイルジョイントの精度が悪かったり、シムに紙が使われていたりでこうなることが多いです。
今回はどうやら精度が甘く長年の弦の張力に負けて隙間ができたようです。
本物のマーチンと雰囲気は違いますが、高級感とヴィンテージ感は本家に負けないギターですね。もしかたらマーチンの工場で働いていた職人さんが独立して作ったとかでしょうか。専門学校生の卒業作品の可能性もありますが、どちらにしてもウン十万円はしそうですね。
今日修理が完了した12弦ギターはネックリセットし終え、フレットのすり合わせも終わっていましたが、想定していたよりサドルが低めに仕上がってしまいました。そのまま納品するか迷いましたが、師匠に相談したところ「納得が行かないならやり直した方がいい」とのこと。
よし、と、もう一度、一からネックを外し、リセットし直しました。今日やっと完了。サドルの出もちょうど良く「納得」できる仕上がりになりました。ネックリセットは接着後にフレットはすり合わせなのかリフレットなのか、リフレットなら指板修正はどの程度か、アジャストロッドの有無や調整幅など、多くのことを想定しながらやらなくてはなりません。経験と想像力を頼りに戦う修理ですので、納得のいく仕上がりの時は喜びもひとしお。大変ですが達成感があり好きな修理の一つです♪