修理実績

ネック折れ修理(塗装修正無し) / Gibson LP

当方ではネック折れ修理の依頼が非常に多いのですが、どれも似たような場所が折れて、似たような折れ方をしますが、どれも似て居て非なりです。

 

こうなった経緯の詳細が分かる場合、そして全く分からない場合もあります。

分かっていれば助かりますが、折れているギターを入手したので直したい…と言うご依頼も良くある事。

 

塗装修正無しのプランの場合、仕上がり具合が区々になります。

実際にやってみなければ仕上がり具合が分かりません、「修理実績」の中から塗装修正無しの仕上がりを見比べて頂いて、ご想像頂ければ幸いです。

 

ネック折れ修理の跡があっても、傷があってもカッコよいもの。

古ければ古いほど、付き合いが長いほど愛着が湧きます。

 

 

 

ネック角度修正 / Ramirez 1a


 

クラシックギターのネックジョイント(スペイン式)と言うのは、フォークギターのネックジョイント(ドイツ式)の様にネックを抜く事が出来ません。

ネックの角度が狂ってしまったらどうすれば良いのか、当方では指板の厚みを変えて辻褄を合わせています。

フォークギターでもスペイン式のネックジョイントの物もあり、初めてやるブランドはネックが抜けるのか抜けないのか調べなければなりません。

現在修理中のB.C Richの古いフォークギターのネックのジョイントがどうなのかいろいろ調べ、アメリカの修理屋のサイトで画像を発見、半信半疑の部分も多かったので詳細を確認したくグーグル翻訳を使ってメールで聞いてみた所、やはりダブテールジョイントでは無い事が分かったのですが。

このアメリカの修理屋さん、優しくて親切に修理方法もおしえてくれました。

それはそれで、「ほー!」と言う…またそのギターの記事の時に書きます。

 

ネックの角度を直すのにもいろいろ方法があり、どの方法もその人によって一長一短なのかなと思います。

安くやりたい、お金が掛かってもしっかりやりたいや、修理屋的にも慣れている方法、慣れていない方法があったり。

当方の場合はネックアイロンの扱いは熟知していても、お勧めはしないがオーナーの要望から修理者側の提案やリスクの説明を経て決まる場合もあり、修理方法に決まりは無いと言って過言ではないのです。

 


ネックの角度が良くなったら、指板も真っすぐに修正します。


指板が真っすぐになっったら、フレットは新しく。


新しいフレットに合わせてナットも作り直します。


ハカランダのボディはつい後ろを写してしまいます。

 

ヘッド(ネック)折れ修理(塗装修正無し) / Ovation CS257

折れてしまったら、しっかり接着する、補強はしない。

ホームページ内で紹介している修理実績を見て頂いて、ご自身のギターも同じような状態になってしまっていましたらお問い合わせください。

全て自信をもって修理してきましたが、私の判断ミスにより経過が良くないケースが出てしまいました。

今後は補強要の判断があるかもしれません。

 

 

 

当方のネック折れ修理は補強をしない修理です。

ネック折れ修理の接着剤にはタイトボンド等の接着剤を使う場合は補強が無ければ使用に耐えられません。

当方では補強をしなくても良い接着剤で接着します。

そのことにより、コストを下げられ、塗装修正が無しの仕上げであれば更にコストを下げられます。

補強をしない修理は、将来同じようなアクシデントがあった場合、近い部分が折れますので折れ方が複雑にならず同じような修理で対応できます。

ネック折れを修理した後、音が変わってしまうか心配される方もおられます。

ネック折れ修理で音が変わってしまう事はあまりありませんが、(理屈を言えば変わるのですが、聞き分ける人はあまり居ない。)補強をする場合、同じ樹種であっても別の材を埋め込んだりしませんので、補強が無ければ1番変化が小さい修理と言えます。

このような考えのもと、ネック折れの修理しております。

 

 


自身をもってやって来たものでも、何かあった時には謙虚に受け止めて。

 


何十年やってきても、こういう事があるのだなと勉強して。

(このギターは無関係。)


自分は、まだまだ未熟だと認識する。

 

このOvationのように過去の物も含めて紹介している修理例に問題は出ていません。

今後も変わらず、お問い合わせ頂ければ幸いです。

過去にクレーム0と、どこかの記事に書きましたので、今回は訂正いたします。

ネック折れ修理が上手く行かないのがありました。

 

ボディ割れ修理 / Koaloha

ウクレレは小さくて軽いので、返って落っことしやすいのかもしれません。

出来るだけ真っ平に戻るように、あれこれクランプしてみて、これで良しと思っても微妙に段差が出来てしまいます。

そのままにするか段差を研ぐか、悩みどころですが、平らに研ぎます。

 

 


塗膜が厚めならば、塗装が剥げずに違和感なく仕上がるのですが、剥げてしまったところは、色が薄くなってしまいます。


着色し直したところは濃くなるとワザとらしくなってしまうので、薄く、濃くならない様に。


肉眼で見ると良い感じでも画像になると粗が良く見えたり、見えなくなったり、難しいです。


落っことさない様に、気を付けましょう。

 

 

 

ネックリセット / Ovation 1688-8


アダマスの12弦ギターのネックリセットでございます。

修理するだけでなく、いつものように補強出来る部分は補強します。


この空洞部分が潰れてネックの角度が狂います。

少しでも強度が補えるようにエポキシパテを充填します。


空洞はずっと奥まであるので、ある程度適当に詰めますが、詰めた部分はギュッとね。

 


しかしこの空洞があっても無くても、チューニングしたままではネックの角度は狂っていきます。

 

製作家やメーカーが理論や計算を積み重ねて強度を上げてもアコースティックギターのように空洞のボディにネックが付いている以上、長期間チューニングしたままではネックの角度は狂ってしまうでしょう。

ですがそうした作りての、いろんな思いが今のバラエティーに富んだブランドを生み出しているんでしょうね。

メンテナンスフリーのようなアコースティックギターが作りたいと思っても、そうするとアコギらしさから遠ざかってしまう。

音もデザインも良くしたい…かと言って、トラディショナルなギターをより良く作るんだと言ったって、そりゃ大変。

こんなに難しい事は無いです。

 

 


修理のついでにグリスアップ。


ワッシャーも追加します。

目一杯、アジャストロッドを締め込んであったものは戻しても効き巾が狭くなっていることがあります、その際はワッシャを追加すると多少効き巾が出来ます。


ボルトオンネックは、ダブテールジョイントの物と比較するとチューニング後のネックの角度の変化量が違います。


アダマスのハイポジション部の指板は、初期の物は接着しておらず、こちらは内側に接着剤が充填してあります。

「接着して無いのかな?」と言うような接着がアダマスっぽい雰囲気。


Ovation のネック角度を調整する場合は、ヒールは削らず、シムで調整します。

本来のギターの調整としては違うのですが、カマンバーと言うロッドがネック、ヒールに仕込んである事や、メーカー自体この調整方法の為、それに倣って調整しています。


Ovation のヒールでも削って角度調整している方もいるようですが、本来であればそちらが正解なのかと思いますが、当方ではOvationらしくやっています。

 


最近また、Ovationを弾く人が増えて来たような気がするんですが。

 

 

ブリッジ修理 / Takamine


ブリッジが剥がれて前へずれてしまっています。


スーパーグルー(瞬間接着剤系)で貼ってありますので、剥がれる時はポンと剥がれます。

大きな四角の空洞にピックアップが収まります。


この類のブリッジの接着は、接着剤が満遍なく行き渡っていない事が多いので、強く貼り付いているところと弱いところがあります。

 


剥がれているところは接着し直して、欠けて無くなってしまったところは、エポキシパテで埋めます。


こちらのブリッジの接着にはアラルダイト(エポキシ)を使用しますので、木地は出す必要はありませんが、塗装がしっかり定着(密着)していなければなりません。

 


通常ブリッジの接着にエポキシは使いませんが、スーパーグルーで貼り付いていたブリッジは、同じような修理を繰り返さないようにエポキシを使用する事は、しばしばあります。

 


アラルダイト(エポキシ)は硬化した後も縮まず、接着力も強く、大変優れた接着剤ですが、扱いは面倒です。

 

ネック反り修理 / Gibson LP custom

指板を剥がしておりますが、何をやろうかと申しますと、ネックの反りを直します。

 

いつものように途中の画像は一切ありませんが、完了形です。

締めきっていたアジャストロッドも余裕が戻りました。

 

通常ネックの反りを直すのであれば、アジャストロッドで調整したり、アイロンで矯正したりすのではないかと思います。

もしくは、状況によってはリフレットして指板を修正するのも手だと思います。

反りがひどい状態でも、仮にアイロンが効いたとすると、その後は指板を修正(リフレット)もしくは最低でもフレットのすり合わせをしなければなりません。

ネックアイロンは不確かな修理方法の為、ある程度修理代をかけても、反りが戻る可能性も残ります。

このギターのように反り具合がひどく、過去の修理も良い成果が出ていない様であれば、仮にアイロンが効いたとしても、今回も良くない予想が付きます。

 

長年の経験では、アイロンが有効なものとそうでないものが、ある程度メーカー等で分類できるような気がしています。

Gibson等はアイロンは1番有効なブランドではないかと思っています。

 

何故、熱でネック反りが修正(矯正)出来るのか。

接着剤は熱で柔らかくなるので、矯正してある状態で熱したら、冷ました時に貼り直されているようなイメージではないでしょうか。

 

 


ですから、貼り直す事と同じであれば接着力も落ちてくるのではないかと考えてます。


各メーカーで使用する接着剤の種類やブランド、製作の方法やパーツのデザイン等でアイロンの効き具合も変わってくるのではないかと想像しています。


指板等、大きなパーツは一旦剥がすと、木ですので動いて元の位置には戻りません。

ちょっと出っ張ったり、引っ込んだりしますが、そこは削って合わせるしかありません。

 


6弦側がちょっと出っ張ったから、こっちは多少凹んだだかと思えば、なぜか丁度良い位。

 


リフレットしましたから、ナットも作り直します。


Good!

 

ネック折れ修理(塗装修正あり) / Gibson LP

何度修理したか分からなさそうです。

何度も倒れてしまったのか、何度直しても割れてしまうのか。

倒したり、ぶつけたり、投げたり、踏んづけたり、してないのに割れてしまっては修理した甲斐がありません。

 


塗装修正までやって出来るだけきれいに仕上げるプランですが、どこまで出来るか。


修理の際は、アジャストナットと半月のワッシャーは外して修理しなければいけません。


古い接着剤は出来る限り取り除きます。

何につけ、貼り直す際には古い接着剤は取り除き、密着するか確認と調整が必要です。

 

多少、濃い目に着色して割れ跡を目立たなくしました。

いつもの方法ですが、いつも試行錯誤します。

 


ヒール側が多少濃いめの色なので、そちらに寄せた感じの着色になるように。


ライトが当たらないと大分濃くなります。


ナイス! プレーントップ!

 

 

リフレット / Orville Les Paul

このギターがどうだったかは覚えていませんが、指板へのオイルは程々にしましょう!

オイルなのだから、きっとやればやるだけ良いと思い込んでいる方がいるようですが、オイルも水分ですのでやり過ぎは返って逆効果です。

表面が乾いてきたら塗って、塗ったら拭き取りましょう。

それ位で十分です。

今回のようにリフレットの場合は、指板修正しますのである程度改善しますが、現状ですり合わせをしたい時や塗装の際のマスキングに困ります。

中まで浸透している指板は、溶剤で拭き取っても拭き取ってもマスキングテープが貼り付かないのです。

 

 

オイリーフィンガーボードは、サンドペーパーはすぐ目詰まりしちゃうし、しないと後々面倒なので意地でもマスキングテープをしたいのですが、剥がれてしまいますし、貼り付かないから、すごくイライラしてしまいます。

 

 

 


オービルさんは最初からオーバーバインディングでした。

 


私はやりませんが、私の仕事仲間でエレキの事で頼りになる人は、ギブソンのフレットバインディングを温存してリフレットする技があるそうです。

・・・アメージングでございます。


ギブソンのあのフレットバインディングって言うのは、何ででしょうね。

見た目の良さを追求したのでしょうか。

果たしてあれが見た目が良いかは私にはわかりませんが。
手間がかかる上に、演奏上障害になる場合がある事は知ってます。

 

 

 

 

ちゃんとディープジョイント。

プレーンなトップもGood!

 

ネックリセット / Martin D-45


 

ネックリセットした際、指板やフレットもネックをトータルで直さなければならない事の方が多いのですが、特に必要が無い事も当然あります。

指板が歪んでおらず、フレットの浮き等無く減りも大きく無く、ネックに反りがあってもアジャスト調整可能である場合。

これ位の条件が揃えば、リフレット(指板修正、ナット交換込)せずにリセットのみ(フレットすり合わせ、サドル交換、他調整込)で完了出来ます。

ですが、ネックを抜かなくてはならない事態にまでなっている場合、やはりリフレットも必要になる事が多いようです。

もしくは、出来るだけコストを上げたくない場合等は、多少の事は我慢してリフレットをしない。

 


こちらのギターはリフレット無しで調整できるので、サドルの高さは然程悩まず決定出来ます。

リフレットが必要ならば、指板修正後を考慮してサドルの高さ(ネック角度)を決めていきます。


ネックに角度を付けると、指板エンドが下がりますので、厚みを付けて下がらない様にします。

フレットの高さは好みがありますので、新しければ良いというものでもありません。


ですが、大概はリフレットすればやはりコンディションは良いと感じますし、リセットと一緒にリフレットしてしまえば、料金的にも割安になるので、近い将来のフレット交換が予測出来ればセットでやる方がお得です。

 

 


MartinやGibsonなどはヒールが接いでおらず、贅沢な材の取り方をしております。


ですが、継ぎ無し1本ネックでなければ高級ギターではないと言えば、そんなわけでもありません。


伝統的なクラシックギターの工法ではほとんどと言っていいほど、ヒールは継いでいます。

 

ここからはまた私の想像ですが、ヒールを継がない理由を最初は、ダブテールジョイントの為かと思ったりしたのですが、あまりそこに理由は無いような気がします。

やはり正解は、ヒールもヘッドもネックを丸ごと成型してしまえば、生産効率が上がるではないか、と言う事ではないでしょうか。

結果的に時代が経つにつれ、贅沢な木の使い方になったのではないでしょうか。

実際は分かりませんが贅沢な、と言って無駄が多いかと言えば他の工法と比較しても、ちゃんと考えて取っている(木を使っている)と思いますし、然程無駄は多くはないと想像しています。

想像です。

本当の正解を知りたい方は、ご自身でお調べください。

そしたら教えてください。