修理実績

ピックガード交換 / Martin D-18

ピックガードの歪みは酷くなると元には戻せないので、交換するしかありません。

直貼りしてある昔のピックガードは剥がした跡がきれいです。

逆目の方向から剥がしてしまうと木がめくれてしまうので、順目の方向から剥がさなければいけません。

 

 

新しいピックガードは塗装の上から両面テープで貼ってある為、ピックガードサイドの割れ、いわゆる「マーチンクラック」は起きなくなります。

両面テープで貼ってあるP/Gを交換となった場合は、その粘着テープをきれいに取り除く事がもの凄く手間のかかる作業になります。

どこか良くすると、どこか悪くなる、物事の摂理でしょうか。

全てを良くすると言う事は、不可能なのでしょうか。

全て良く改良されたモノって何かあるのでしょうか。

全て良くなった場合、何か弊害が生まれるのでしょうか。

あ、私の仕事が無くなります。

 

 

 


あまりお金をかけたくない場合は、リプレイス用のピックガードも巷には色々あります。

但しその際にはサイズ感を確認しましょう。


折角買っても大きさが合わなかったり、厚くて野暮ったくなったり、カッコ悪くならない為には、それに合わせて作る事をお勧めします。


その都度作られたピックガードは、大きさは元とほぼ同じく、面取りして、水研ぎして仕上げます。


ピックガード材の保護テープを剥がしただけでは、ただの下敷きのようですが、水研ぎする事で、しっとりと塗装した様な雰囲気を醸し出します。

 

 

ボディ割れ修理 / KoAloha

ボディ割れの修理です。

剥がれた延長部分も割れています。


 

 

 

破片を取って置いて貰ったおかげで、それを貼り戻せます。

破片は、細かく砕けてしまわなければ、大概戻せますので見つかれば取っておいて下さい。

上手く戻るか否かは、状況による事もありますが、あった方がとても助かります。

 


元の破片で直した方が、当然ですが自然です。


割れ修理の跡は残りますが、


見る角度によっては違和感無いと思います。

 

ネック折れ修理(塗装修正あり)/ Martin OMC28


当方のネック折れ修理は、補強無しで心配の無い修理をします。

 


タイトボンドで割れを修理した場合は、再度同じ部分に亀裂が生じたり、それを防ぐ為に強度を補う補強が必要になります。

 


当工房では、ネック折れ修理に適した接着剤の使用で補強が要らない為、余計な手間を省き、コストを抑えた修理が可能です。

 


通常のネック折れ修理では、塗装修正をする場合と塗装修正はせずに仕上げる、2通りの見積もりを出します。


こちらの場合は、出来るだけきれいに仕上げる為、塗装修正ありの仕上げですが、塗装修正無しの仕上げならコストもグッと抑えられます。


杢目や色合いによっては割れ跡がほぼ目立たなく仕上がります。

 

 

 


 

塗装修正無しの場合も「修理実績」にて、いろんな例が見られます。

よろしければ、そちらもご覧頂いて検討頂ければ幸いです。

補強をしないメリットは他にも、同じ樹種であっても状態の違う物をはめ込んで将来的に狂いを出さない事や、再度アクシデントがあった場合に複雑化しない等が当方の考えであります。

これが正しいと言う事ではなく、これが当方の考えですので、補強を入れる事を基本としている修理屋さんもあり、どのような修理がご自身の要望に近いかと言う事です。

大昔に読んだ記事では、「楽器には楽器に相応しい接着剤(おそらくニカワの事を言っていると思う)があり、楽器は呼吸しているのだから強いというだけで接着剤を選んではいけない。可哀そうです。」と、まだ若かった私は叱られている気持ちになりましたが、今となってはそれぞれで良いと思っています。

 

 

ボディ割れ修理/ ウクレレ

落っことしちゃったようです。

修理跡は残るのは仕方ありませんが、割れだけは直しておきたい。

 

 


 

ウクレレは小さくて軽い事が、うっかり落としてしまいやすいとも言えるかもしれません。

ウクレレのストラップは両手を離すと落ちてしまうので、これもうっかりしやすい原因かもしれません。

ギターの様にストラップピンで留めるストラップであれば簡単に落ちる事は無いと思いますが、ギターではギブソン等の小さいストラップピンの場合、ストラップが外れて落ちる事があります。

私の場合、エレキを弾いている時に外れて何度も落ちかけた事があります。

エレキは重量があって、ストラップはしっかりかかっている事を確認したにも関わらず外れます。

恐らくストラップピンをかける穴が弱っていたのだろうと思いますが、お気に入りは使い続けたいですから、何らかの対応が必要になります。

いつもネック折れ修理をお返しする際に「倒さないよう気を付けて下さいね。」と伝えますが、ストラップにも注意が必要だなと改めて感じます。

ネックリセット / Martin OOO-18


 

ネックを外す為に熱を利用して接着剤を緩ませて外します。

以前は蒸気を使っていましたが、その場合確実にジョイントのポケット(あり継ぎの空間)に蒸気を送りこまなければなりません。

現在は、ヒートスティックと言う棒全体を熱せられるものを差し込んで温めますので、突っ込めば温まるのですが、やはりポケット部に熱源があった方が効率は良いです。

ですので、ヒートスティックであっても、ジョイントのポケットに貫通するように穴をあけます。

いろんなメーカーがこのダブテールジョイントを採用していますが各メーカー特徴があり、慣れないメーカーでは、ジョイントのポケットがどこにあるか分からず何度も穴をあけ直す事もあります。

画像のジョイント部ネック側、ボディ側両方に2本ずつ溝が付いています。

そこがジョイントのポケット、(隙間)です。

そこに半田ごてに付いた棒(ヒートスティック)が差し込まれます。


ネックリセットをする事で最大の問題はクリアしますが、より良い調整をする為には、リフレットが必要になる場合が多いです。


ナットも合わせて作り直します。


サドルの高さは好みが分かれますが、高すぎず低くない高さが理想ではあります。


ネックヒールの接地面はジョイントの強度にはあまり重要ではありませんが、隙間なくぴたっとついていた方が見た目は良いです。


ジョイントの強度で重要なのは先ほどの画像にある、ダブテールジョイントとの継手です。


そのダブテールジョイントを接着する前に、テンションをかけてもヒールに隙間が出来ないかチェックしますが、いくらジョイントの精度が良くても弦を張りっぱなしにしても良いと言う訳ではありません。

 

 

ネックの角度が狂う原因はジョイントの精度が原因では無いので、ここに隙間が出来てしまうのは問題外です。

ジョイントの精度が甘いものは、一所懸命ネックのメンテナンスに気を配ってもいずれヒールが浮いてきてしまいます。

ヒールに隙間が出来てしまったものは、ネックを外して根本的な修理が必要になります。

リフレット(フレット交換) / Gibson B-25


過去に何度かすり合わせをしている為、ずいぶんと低いフレット。


更に弦が当たった跡が削れています。


エレキでは、フレットレスワンダーなんて言うのがありますが、こちらは違います。


後で欠けも直します。


指板調整が終わった状態ですが、まだ途中ではないか、と思う人もいると思いますが、これでいいんです。


フレットが乗る部分が調整出来れば、それ以上は削り過ぎになってしまいます。


指板が凹んでいる部分を埋めてあるものを時折見ますが、やらない方が見た目は良いです。


弾いていて気になると言う人に会ったことはありませんので、埋める必要は無しです。

 


第1フレットの高さに合わせてナットも作り直します。


一応ハカランダで破片を作ってみましたが、色が少し薄いですがいいでしょう。


サウンドホールの削れは、ご友人に「直さないとだめ。」と言われたようですが、私が「ご当人が気にならないのであればこれもカッコよい。」と申しまして、そのままです。

 

フレット交換(リフレット)/ Martin OOO-42


非常に多い質問の一つに、「フレットは、まだ大丈夫ですか。」があります。

 


どのパーツにおいても、使えるか否かはそれぞれ感じ方に差がある為、判断はオーナーがすれば良いのです。

凄く減っても交換しない人、ちょっと減ったら交換する人、区々です。


私が弾き難く感じたり、ビリつきが気になってもオーナーが問題を感じなければ交換する必要は無いのです。


現状より良くしたい時に、どうすれば良いか考えればよいのです。

「もうちょっと弾き易くしたい。」や「音がつまり気味なのを改善したい。」等々。

 

 

車や機械は点検整備をしなければ、故障して危険があったり、周辺に迷惑をかけてしまいかねないので、それはプロが交換を勧めれば交換した方が良いのですが、楽器の場合は全く自由です。

楽器屋に「これは、~…しなきゃダメですよ~。」等と言われたという話をよく聞きますが、持ち主が問題無ければ「~しなきゃダメ」等と言う事は絶対にありません。

 

 


 

この辺りは楽器に対するの考え方の違いですが、私の場合は「無理に修理しなくても…」と言うスタンスです。

修理屋なのに。

力木は剥がれていない方が私は音が良く感じますが、力木が剥がれていた方がボディ全体が響いて良く感じる、と言う人もいます。

トップ(表板、サウンドボード)が効率良く振動するにはサイドバックがしっかりしている事が条件ですが、バックの力木が剥がれていた方が弾いていて気持ちよく感じる場合もあるようです。

楽器の場合は、通り一遍等に「こう。」と決める事は、なかなか難しいと思っています。

 

 

 

力木(ブレイシング)はがれ接着 / Wash Burn D-46

これは何かと言いますと、バックの力木の剥がれを接着している所でございます。

力木ハガレは修理前後の見た目がつまらないので、記事も少ないですがたまには書いてみます。

ジャッキをかけて圧着しています。

広範囲に剥がれいますが、ジャッキの位置は端に1本かけます。

2本以上かけてしまうと相殺してしまうので1本です。

 

 

では、その延長部分はどうやって圧力をかけるかと言いますと、外側からかけます、そうする事でジャッキの圧力も増す為、効率良く圧がかかります。

 

 


このギターは然程心配ありませんが、古いラッカー塗装の場合は、クランプの跡が付いてしまわない様、気を付けます。


クランプは力任せにかけるのでは無く、丁度良い力があります。

バランスが大事、密着すればよいのです。


ローズ系のボディであれば割ときれいに拭き取れるのですが、それ以外はシミが残りやすいので、一所懸命拭き取ります。

 

 


ボディの中の作業をする場合に気を付ける点は、ホコリやゴミをしっかり掃除してから作業に入る事。

ホコリはコンプレッサーでサウンドホーから、しつこく吹き飛ばします。


剥がれている部分にホコリが入り込んで接着剤の効力が落ちたり、ゴミが噛んで密着しなくなってしっまっては修理の意味が無くなってしまいます。

 

 


修理する場合、材料は何か、接着剤は何か、パーツはどこ製か等は勿論大事ですが、それ以前にもっと大事な事があるのです。

 

フレット交換(リフレット) / Ovation 6768


30十年位前には、あんなにOvation を使っている人が居たのに、現在では大分減ってしまいましたが、その一方でずっと大事に使い続けている方もまだまだいます。


このフレットの減りっぷりを見て下さい。

低音側もこんなに減ってる。

使い倒しているのが、伝わります。


なんの道具も楽器も使って価値がある、の見本のよう。

使えなくなったパーツは取り換える、壊れたら直す、そうやって使い続ける。

私の大好きなスタイル。

 


古いフレットを抜いたら、指板を修正。

指板を修正しない例もあります。


新しいフレットを打ったら、精度良く調整。


フレットのキズは、ビブラート、チョーキング、音質、演奏性にも影響します。


美しく仕上げる理由が、ちゃんとあるのです。

 

 

過去のフレット交換の記事でもいろいろ書いております。


フレットのエッヂも1ヶ所ずつ丁寧に仕上げます。


リフレットの際は、基本的にはナットは作り直します。


使い続けるものを、いいもの(いいギター)と呼びたい。

 

ロッド交換 / Gibson ES-335

ネック割れ修理とロッド交換します。

ロッド頭が折れた場合にロッドは交換せずに、中へ掘り込んで、通常より深い位置(奥まった位置)にロッドナットを取り付ける方法があるのですが、折れるほど締め込んだロッドにナットを取り付けてもほとんど締まらないでしょう。

 

Gibson はトラディショナルロッドですので、埋木を削ってロッドを掘り出します。

仕上がりまでの間の画像が全く無いので、こちらで雰囲気をご想像下さい。

 


割れと削れた部分を直して塗装。


黒のような濃いこげ茶のような、微妙な色合いです。


指板を貼り直した後は、ある程度削って合わせますので、塗装は必要になります。


指板面の歪みを修正してリフレットします。


フレットバインディングはオーバーバインディングでリフレットになります。


オーバーバインディングの方が変な不具合が出ないので、理にかなっています。


リフレットしましたので、ナットも作り変えます。


先ほどの深い位置と言うのは、通常のこの位置は折れて無くなってますので、ナットの下あたりまで掘り込んでそこへナットを付けます。

そこへナットを取り付けるだけでなく、そこから更にネックの修理をすることが前提であれば、ある程度有効な方法かもしれません。

但し、アジャスト出来るように修理できるか否かの判断があってからの方法と言えますし、方法によってはロッド交換とそれほど差が無い料金になります。

 

 

 


 

 

 

 

 

 

アッセンブリーは、お客様がご自身でとの事ですので、作業はここまで。

当方ではアコギと同様の内容でしかエレキはお預かり出来ない為、引き続き当方でやる場合、この先はエレキ専門のすごく上手い人に外注になります。