修理実績

ネック折れ修理(塗装修正無し) / Gibson ES-335

Gibson と Fender はいろんな部分で比較されがちですが、倒れたら折れるのがギブソン、折れないのがフェンダー。

ヘッドに角度が付いているGibsonはチューニングしてある状態であれば尚更、こうなるのは仕方ない事かも知れません。


折れた部分は、段差が出来ますので、整形して仕上げます。


その際に塗装が剥げてしまう場合でも、塗装修正無しのプランであればそのまま仕上げます。


塗膜の厚いGibson などでは、ほとんど下地が出る事無く磨けるケースが割とあります。

 


 

塗装修正は無くても強度には一切関係ないので、料金面、納期などから塗装修正無しのプランを選らばられる事が多いです。

補強の必要な修理の場合は、塗装無しと言う訳には行かないと思いますが、当方のネック折れ修理は、補強の要らない十分な修理ですので、一般的な折れ方や一般的なデザインのネックであれば、塗装あり、無しのプランが選べます。

ただし塗装無しの場合、塗装の残り方はそれぞれ違うので、見た目の雰囲気もそれぞれ違ってきます。

出来るだけきれいに仕上がればもちろん良いですが、折れを修理した跡が見えている事も、それはそれでかっこよいと思います。

 

ネックリセット リフレット / Martin HD-28


サドルをギリギリまで下げてなんとか、演奏面、サウンド面、我慢して使っていました。

ですが、ネックリセットして復活させます。


このような修理が出来る事を知らずに買い替えを考える人も少なくありませんが、Martinであれば修理する方が、全ての意味でお徳。


蒸気を使ってネックを外しますので、すき間からボディ内に水分が行かないようにタオルで塞いであります。


弦がピンの位置からサドルの頂点までの角度、弦とトップ板のクリアランスがサウンド面で重要なポイントの一つになります。


ネックジョイントの強度におて、ヒール部分はほとんど重要ではなく、重要なのは内部のダブテールジョイント。


ここに僅かでもすき間が出来てしまってる場合は、ダブテールジョイントの精度不足と見て良いでしょう。


今回はリフレットも。

 

ネックリセットの際、修理上リフレット(指板修正、フレット交換、ナット交換)の必用が無ければ、フレットはすり合わせで調整します。

ネックリセット + リフレットは、セットの料金ですので、フレット交換をご希望なら後からやるよりお徳です。

 


フレットのエッヂは1ヶ所ごと丁寧に仕上げます。


リフレットの際は基本、ナットは作り変えます。


象牙のナット等、残したい場合は底上げして調整して使います。


音に張りが戻り、弾き易く、復活。

 

ネック折れ修理(ヘッド分離/塗装修正なし) / H.S.Anderson

ネック折れ修理は、常にコンスタントに必ず依頼が続きます。

いつも言っております、当方のネック折れ修理は、補強要らず、低コストで強い接着。

 

タイトボンド等でのネック折れ修理は、補強をしなければ将来的に強度が保てませんが、当方の理にかなった、補強が無く、強い修理の理由はどこかに書きましたが、お越しの際に聞いていただければ、説明いたします。

 

欠けて無くなっている部分は、専用のパテで埋めて修正します。

段差は見た目も演奏上も邪魔になりますので、整形します。

塗装修正無しで仕上げますので、剥げてもこのままです。


塗装修正無しではありますが、塗装無し料金のまま簡単にタッチアップしました。


こちら側はプラン通り、塗装無し。


塗装が剥げても全く問題なし。


これでまた、爆音が出せます。

このようなエレキもお預かりしますが、当方電気修理をやりませんので、その際は外注となり、割高になってしまいます。

ご了承下さい。

 

今まで、師匠筋の方たちに沢山教えて頂いた事のひとつに、「ついでにやっておいた。と言うのは無いよ。」「やるのかやらないのか、やったならその分はちゃんとお金をもらう。」

「俺達は、プロなんだから。」 今でも響いている言葉ですが、まだこれが出来ずにいます。

塗装しなくてもカッコよいと思えばやりませんが、塗装する、しない以外の事も、「ちょっとこうしてやれば・・・」と最終段階に来た時に思ってしまいます。 

やっておいたと言う事で、今まで怒られた事はありませんが、この教えは出来るようにはならないかもしれない、と思う今日この頃。

 

ネック反り修理(指板貼り直し) / Martin D-28s


 

このMartin のようにアジャストロッドでは無かったり、アジャストロッドが一杯まで締めきってしまっている場合、反りを直す方法は2~3ありますが、その方法の良し悪しはオーナーの意向に副うのか否かです。

先ず、何も考えず使っている人が多いのはアイロン(ネックヒーター)。これだけに頼っていてはネック修理の50%以上は不可能になってしまいます。

アイロンは効果がある無しが、メーカーによって差が出てしまうので、アイロンを使ってのネック反り矯正は勧めません、先ずアイロンによる効果がどの程度のものか説明が必要です。

長年やってきて不思議に思うところが、どの接着剤を使ったもの、どの年代のどの工場のも、等で差が出るものではなく、メーカーによって差が出るような気がします。ただこれは断言出来ませんが、「やはりそうだ。」と思う事が多いと言う事です。

Martin の場合は、イメージ通りには行かない事が多く、上手くいったはずの物も後に戻ってしまっている物もいくつか見て来ているので、私の中ではMartinはアイロンが効かない事になっています。

ただしオーナー次第では、無理くり何度もアイロンをかけてとりあえず何とかやってみて、その後ダメならその時考える。という方もいなくはありません。

次が、指板(フィンガーボード)を修正して(削って)反りを無くす方法です。

この方法はとても確実で作業内容はリフレットですので、修理後の演奏性も良いです。

ただし、程度によっては修正部分がかなり削られてしまう事になるので、その点は注意が必要です。

 

もうひとつは、画像にあるように指板を貼り直して修正するやり方です。

アイロンで期待する効果を実際に手を加えて、欲しい状態を確実に作り出す作業です。

アイロンでは1度暖められた接着剤が冷えて再度硬化する事と比較すると、貼り直す場合は強度も期待できます。

ただし一旦剥がしてしまった指板は歪みますので、貼り直した際は両サイド、指板面も修正して、新しいフレット打ちます。

修理の費用と納期は紹介した順番に大きくなります、どの方法がベストなのかは、見積もり後の検討で最終的にオーナーが決めます。

 


古いギターは古いなりの雰囲気に仕上げます。


1番大事なのは、感触。


弾きやすさ。


良いものは直しながら使うもの。

このギターの修理を3回続けて見ていただきましたが、ここまでやるには、修理費用がどれくらい掛かったのか気になる方も居ると思います。

このギターはこの他にも力木(ブレーシング)の剥がれも修理しています。

気になる方はメールにて問い合わせ頂ければ、そういった質問にも回答差し上げます。

 

ブリッジ貼り直し / Martin D-28s

こちらのギターは前回と同じギターで、いろんな事をやりましたので、画像があるところはアップしていきます。

ブリッジを貼る際は、接着面を双方とも平らに調整します。

面は細かく磨いてしまわず、荒らしたままの状態。

接着材はたっぷりと、クランプはバランス良く5箇所掛けます。

 

ブリッヂにすき間がある場合、剥がさずすき間に接着剤を差し込んで圧着する人は多いですが、その場合、ブリッヂは反っている為、いくらがんばってクランプしても密着しませんので、無意味です。

”リペアマン志望の君が得するコーナー”が時折織り込まれるから、僕のブログは見逃さないようにね!


すき間に接着剤を入れて圧着しても、またはがれてしまうので、その場合はクランプはせずに、接着剤を十分に充填して、すき間を塞いでしまう他無いでしょう。


この後はアジャストロッドの無い、ネック反りの修理を後日紹介します。

 

 

ピックガード交換 / Martin D-28s

黒ガードはここまで歪む事は無くとも、張り直せる事がほとんど出来ませんので、作り直します。

マーチンクラックと呼ばれているP/Gサイドの割れ。

これも修理します。

割れ部分は段差が出来ない様に、出来るだけ平らになるように、接着します。

 


このP/Gは、つや消し塗装のリクエスト。

つや消しは初めて。


割れの内側は、クリート(割れ止め)を一応貼ります。

しっかり接着できた場合は、無くても大丈夫ですが、修理した証、みたいなものです。


ピックガード作製 ←の手順はこちらで見てみてください。

 

フレット交換 / 古い国産ギター


 

リフレットです。(フレット交換、指板調整、ナット交換、他調整)

ピックガードは浮いてしまっていたので、貼り直します。厚みのあるP/Gですのでリフレットの際は外してあると都合が良いです。

一見 Gibson のDaveですが、グレコのギター。

塗装がウレタンなので、やはり雰囲気は違いますが、ぱっと見Dave。良く作ってあります。

40年近く前は、Gibson 等は買えませんから、こういったギターが私達に夢をみせてくれました。

この方、GibsonのDaveも持っていて、グレコも大事にしている、素敵です。

物の価値は、携わり方で違いますが、思い入れのあるものは値段は関係ないです。

 

 

 

なかには、「二十何万円以下はギターじゃない。」等と言う同業者もいますが、では、それ以下は何なのか教えて欲しいです。

この人とは面識はありませんが、割と有名な同業者なので知っていますし、私の師匠筋の所にも居た人なので、間接的に繋がっちゃっていますが、これからも私と接点が無い事を願います。

現状はちゃんと伝えないといけませんけど、大事にしているから修理したいのに、悲しくなる様なこと平気で言う人が居るんです。

でも昔、アメリカの中古バイクに乗っていた時は、そこの店主も辛口でずばずば言うが腕も良いので、納得していた自分を思い出せば、頼りがいがある気持になるのは分かる気もしてしまいます。

毒舌、辛口だとその方が 「この人、ちょっとすごいのかな。」等と考えてしまいます。

 

 


フレットのエッヂは、一本ずつ丁寧に角を取ります。


リフレットの際は、基本的にナットは作り直しになります。

(流用する場合もあり。)


リフレット後、多少弦高が上がることがありますので、状態を見て、弾き易い弦高がキープ出来なくなるようでしたら、リフレットは出来ません。


何年か前のギブソンより、こっちの方がよっぽど、Gibsonらしいピックガードです。

 

ブリッヂはがれ修理 / Gibson J-160E

ブリッヂが浮いて隙間が出来てしまったので、貼り直します。

ブリッヂと一緒にめくれて凹んでしまった部分があります。

ブリッヂの底面同様、凹んだトップ板は足して、ブリッヂと密着できるように平らにします。

アジャスタブルブリッヂの場合、サドルの動きがきつくならない位置を確認する事を忘れてはいけません。

 


Gibson のブリッヂにはボルトが打ってある事が多いのですが、これはありません。

ブリッヂピンの両サイドに丸のインレイが付いていればそれがボルトの目隠しです。

(最近はボルト無しのインレイ付きもあり)


こちらは、エレキ弦を使いますので1、2弦のポールピースはこの高さになります。

フォーク弦を使う場合は、1、2弦のポールピースをうんと下げてバランスをとります。


当方と1番古い付き合いのショップ店長から聞いた話しだと、ゆずの北川さんの67年か8年のJ-160Eは売った時はとてもきれいだったらしいのですが、弾いてあんなふうになったそうです。

ずっと、エイジング加工してある新しいギターだと思っていました。

あれは、かっちょいいですね。

 

ネック折れ修理 / 塗装修正無し→塗装あり


ネックにヒビがありますが、こちらはすでに塗装修正無しのプランで修理済みです。


跡は残る事は了承済みで一旦完了したのですが、やはり跡は出来るだけ目立たないようにしたいとの事でこの後、修正します。


何故なら、売り物なので出来れば安く修理したいが、高いオールドですのでヒビが目立っては売りにくくなってしまいます。


売り物であれば、きれいな方が、ちゃんと直しているアピールは出来ますね。


仮にヒビが目立っても、塗装が剥げていても強度には差は無いのですが、心情的にはこの方が安心して買いやすいでしょうし。


売りやすいのですね。

 

ネックリセット / Martin D-18


 

ネックをリセットします。

前回とは打って変わって、全く通常通りの外し作業です。

ネックリセットも、今となっては何本やったか数える事も不可能になるほどやりましたが、そうは言っても大変な修理には変わりません。

心配性であがり症の私は、当然ながら今でも、すんごい緊張感の元、勇気を持って携わっているのです。

前回ちょっと触れた,十数年前のGuildは、まともに外す事が出来なかったですし、エクステンションが付いたJ-200 では普通に抜ける構造ではなかったり、どうがんばっても、外れない、外せない場合が何度かありましたが、そこでやめて戻すことは出来ないので、方法を変えて外す事を考えなくてはなりません。

「いい加減慣れたでしょ。」と言われれば、流石に修理屋家業ぅん十年、慣れたと言えばそうかもしれませんが、慣れてこれです。15フレットに穴を開けるときにやっと最近ドキドキしなくなったかもしれません。

人様の大事な物、本当はこんな事したくないのですが、なんで修理屋になったろうと思う時、ビビリだから丁度いいのかもしれないと思っています。

 

であれば、販売店や製作家になればよかったかと言えば、それはそれで苦労があるはずですから、隣の芝は青く見えるものなのでしょう。

お客様は神様では無いので、お互いが尊重しあうものだと思っていますが、ショップではお客を半神位の扱いしなければならない場合もあるでしょうし。

製作家だって、私が羨ましいと思うような人は一握りだと思いますし。

やはり落ち着くところに落ち着いているのだと思います。

 

 


いつも言ってます。

サドルは出過ぎず、がカッコよいです。

 


わざと出し目にというリクエストもありますが、こんな感じが、がかっこよいです。


指板やフレットに難があればリフレット(指板修正、ナット交換込み)します。


「サドルがいっぱい出てないと、何回も調整出来ないじゃない。」と言う人もいますが、1日終わったらちゃんと弦を緩めて管理すれば、そんなにコンディションが変わらず使い続けられます。


当方の常連さん方、私のギターも実証済みです。


お返しの際は、いつも同じ事を言います。

弦は、緩めましょう!