修理実績

リフレット(フレット交換)/ YAMAHA FG-1500

ヤマハのリフレットです。

昔の国産のフレットの足にはスタッドがついていませんでしたので、足を何か角のあるもので叩いて、スタッドもどきを作ってあります。

叩いてつぶれた分、フレットの足より幅が出来ます。

現在は、勿論こんな事はやりません。


指板修正は削り過ぎないように。


フレットのエッジは丁寧に処理します。


国産オールドもなかなかです!

 

ネックの角度が狂う / ネックリセット

ネックの角度が狂ってしまうと、一旦外して修理しなければならなくなります(アイロン等での対処方法もありますが、お奨めはしておりません)ので使い終わったら、特にアコースティックの弦楽器は弦を緩めて管理しましょう。

個人製作家や大手メーカー等でも自分とこのギターは弦を緩めてはいけない。というような理屈を持っている方々もありますが、個人的には、薄い木の箱ボディのギターの弦を張りっぱなしにしたら、ろくな事がないと思っています。

一見ネック反りに見える角度の狂いは、アジャストロッドでは全く調整出来ませんし、ネック反りに関してもアジャストロッドは魔法の装置ではありませんので、何度でも使える物では無く、いずれ(程度によってはすぐ)限界が来ます。

弦を張りますと、ネックとトップだけでなくブリッジにも同じ様に負担が掛かります、ネックに不具合が出なければ、ブリッジが剥がれたり、ブリッジが剥がれなければ、トップが歪んだり、ネックに不具合が生じます。

今までも、何度か触れてきた「弦は、緩める、緩めない問題」ですが、今後も機会があれば書いていこうと思います。

ネックジョイントにおいて、このヒール部分はあまり重要ではないのですが、きれいに接地していないと見栄えが良くありませんが、

あまりこだわり過ぎると、削りすぎて角度がつき過ぎたり、センターがずれてしまったりしますので、注意が必要です。


サドルは出すぎず、低過ぎず。理想の弦高。


センターは正確に。


難しいことが多いです。

 

ネック折れ修理 / フェルナンデス

直球で申し訳ないのですが、”安いギター”(←オーナーさんごめんね。)の修理もよく依頼があります。

ネック折れ修理は他店より安いようなので、割と頻繁にお受けしますが、大体同等の新しいギターが買える位の修理費ですから、一旦考えて見て頂きます。

ですが思い入れがあったり、可能な限り修理して使い倒す、という方の気持ち私も良ーく分かります。

修理してよい点は、勿論使い続けられると言う事ですが、基本調整(ネックアジャスト、ナット、サドル調整)もされて完了しますので、新品より弾き易くなったり、バランスが良くなったりします。

※ただしネック状態が悪くない条件です。ネックが悪い場合はネックの修理も必用になってしまいます。


 


 


 


 

なるべくきれいに仕上げる場合は、「塗装修正あり」ですが、こちらのように気にしない、安く上げたい方は「塗装修正無し」、で仕上げます。

仕上げる際に塗装が剥げます、と伝えてありましたが、「すごくきれいです。」と言って頂いて、女性のオーナーでしたのでちょっとこれは嫌かなと心配しましたが、良かったです。

私も個人的には、この感じもカッコよいと思っています。なんでしょうか、思いを隠してないと言うか、出しちゃってると言いますか、そういう迫力が伝わります。

トップクラック(割れ)修理


クラッシックギターのトップクラック(割れ)修理です。


割れ目に汚れが入らなければ、ほとんど跡が残らず修理出来る事がありますので、素手で割れ部分を触ったりせず早めに修理に出しましょう。


ほこりが入らないようにテープを貼る方がいますが、塗装によってはテープに反応してしまうので、何塗装か分からない時のテープの使用はやめましょう。


こちらは、きれいな方ですが、少し筋が見えます。

 

ネックリセット / Martin D-41 70s’


 

こちらは、70年代の Martin  D‐41 のネックリセットです。

弦は緩めたつもりでも、ある程度の張力が掛かった状態であれば放置された時間が長い場合、チューニング時同様、ボディが歪み、ネック角度が狂います。

サドルでの調整が出来なくなれば、ネックを一旦抜いて、リセットするしかありません。

ヒールを削り、角度を修正しますが、実際のネックのジョイントに関しての強度にはヒールその物部分は重要ではありませんが、(強度で重要なのは内部のダブテールジョイント部の精度)接地面の密着具合はきれいに仕上げたいところです。

サドルに関しては、頻繁に触れていますが、出すぎず、低過ぎずにならないようにネック角度を修正まします。

その際、ネックとボディのセンターがずれないように修正していく事が重要です。

指板、フレットの状態いずれかが悪い場合は、リフレット(指板修正、フレット交換、他)になります。

基本的には、標準的な理想の弦高 1弦・・・12F・・・1.8mm位 6弦・・・12F・・・2.4mm位 に調整します。


 


 


 


 

 

サウンドホール(ボディ)割れ / ネック角度狂い


 

弦の張力に負けてサウンドホールがつぶれています。

これだけ割れて、ずれてしまっているのでジョイント周りの力木やネックブロックも剥がれています。

先ず、このずれを直してから、割れ接着、力木接着、ネックブロック接着、補強、ネックリセットの順番で進めていきます。

このズレを直した段階で、ネックの角度も丁度よくなる事もありますが、今回は割れてずれる前から角度も狂っていた為、十分な角度が無いのでリセットします。

 

 


ズレを直して、割れを接着したら、サウンドホールとバスバー(力木)とその向こう(奥)にある平たい力木も接着します。


バスバーの手前にあった補強板を外して、割れを確認します。

奥の板も剥がれています、その奥にあるのがネックブロック。


とても作業がし辛く確認もし難いのでいので、しつこい位に接着剤を差し込んでクランプします。

 


補強は元より大き目に。

 


ボディの修理が済みましたので、ネックをリセットします。


サドルは高過ぎないのが、カッコよいです。

ですが、サドルを何ミリの高さに設定、と言うようなネックのセットは出来ませんので、調整はどちらへ転んでも良い感じになるように。


ですので、サドルが理想よりちょっと高い、低い時はあります。

サドルの高さにこだわる人が多いのは知っておりますが、そして0.5~1.0mmサドルを削ると見た目の高さの印象は変わるのも分かります。


0.5mm削るか削ないかでは、演奏性がかなり変わります(0.25mmの弦高差)ので、サドルの高さを決めてしまっては、本末転倒になります。

 

音の良し悪しは、人それぞれではありますが、サドルが高ければよくて、低ければ悪いと言うものではありません、現在お持ちのギターの良し悪しも原因の一旦がそれかもしれませんが決してそれだけではありませんので、その点ご理解頂ければ幸いです。

修理内容とは別に、サドルの話になってしまいましたが、こんな回もあります。

ペグ(金属パーツ)みがき

このブログをいつも読んで頂いている方に、たまには得する記事も書かなければいけません。

この曇りきった、ペグ、どうにか磨きたいと思っている方に読んでいただければ幸いです。

やりがちなのは、コンパウンドで磨いてしまって、金メッキまで落としてしまう。

この記事で1番知って欲しいところ。

コンパウンドは使用禁止!

 

 

では、磨く術は何かと申しますと、これ、→ ボンスター 。

スチールウールでは、キズが付いたり、メッキが落ちてしまうのではないかと思いますが、これ以外にはきれいに出来ないと思っています。

当方では、No.ooo という品番の極細タイプを使っておりますので、荒めを使う場合は一応気をつけてください。

 

 

 


 

ついでに、もうひとつ、以前にも書きましたが、ペグボタンの締め付けに関して。

特にこのグローバーのペグのつまみは緩み易いので、ついつい強く締めがちになりますが、この矢印の部分に入っている、ばねワッシャーが潰れるほど締めてしまっては、弦を巻く際も重くて疲れます。

ずっと潰されていますと、そのうちただの平ワッシャーになってしますので、機能を果たさず、更に緩み易くなってしまいます。

 

過去記事 こちらも読んで頂けたら幸いです。

 

 

弦アース / Gibson J-160E

こちらのギターを買った時から、弦を張り替える時には、1弦のボールエンドに繋がっているコードがあったので、面倒だったけど毎回同じ様に弦を張り替えていました。

なんだけど、最近ノイズが増えちゃって・・・

と言う事で、見てみたところその先がどこにも繋がっていませんでした、取れちゃってます。

J-160EにはP-90(ピックアップ)が付いていて、これのノイズが酷いので、弦アースを取らなければなりません、現行品のモデルでは弦アースは取られていますが、古いモデルにはありません。

弦を毎回取り替える度の面倒も解消したいと言うことですので、以前からやっている方法で弦アースを取ります。

どの弦のボールエンドもブリッジプレートで銅に当たるように貼り付けて、コードはハンダ付けします。

ジャックに付けてみましたが、もう少しコードが短くても良かったかな。

普段、電気仕事をやっていないのが、わかってしまいます。

 

 

ネック折れ修理(塗装修正なし) / Gibson Hummingbird

今回は、いつもとは少し違う趣で折れています。

塗装修正無しで仕上げます。

とても強い力で折られた様な感じに見えます。

破片が欠損しています。

Gbsonは割りと塗膜が厚めな物が多いので、割れ部分の段差を修正しても剥げずに済む事も多いです。

破片はオーナーが家で見つけて、送ってくれました。

三角に塗装が剥げている所。

破片部分の塗装がはげてしまいましたが、これでしたら塗装修正をした場合は、全く気にならなく仕上がると思います。

破片は使える事が多いので、あきらめず拾って持っていて下さい。

 

 

フレット交換(リフレット)/ Gibson J-45 ’50s

オールドJ-45のリフレット(フレット交換)です。

 

奥に半田ごてが見えます。

フレットを抜く際はフレットを半田こてで暖めて抜きます。


リフレットの際は、その精度を上げる為に指板(フィンガーボード)を調整してから新しいフレットを打ちます。

※オールド等、場合により一切指板の状態を変えずリフレットする場合もあり


その際に気をつけなくてはならないのは、指板だけで精度を出さない、必要最小限で調整する、削り過ぎない、こういった事を念頭に作業します。


オールドの場合は、オリジナルの状態を出来るだけ保存する(のこす)事も考えます。

 

 

 

このJ-45も所有する、オーナーのものではありますが、必ずと言っていいほど後世に受け継がれていきます。

楽器ですので、弾き易く、自分好みの状態で楽しむ事が1番の目的です、それが出来なければ持っている意味も半分以下になってしまいます。

オールドであれ思い切った事をやる事もありますが、何でも型にはまった様な仕事ではなく、私達修理者はその都度、何に重きを置いて接するかを考えなくてはいけないのかなと思っています。