リペアマンを目指す人は、このホームページのブログをチェックしていると、時々得しますよ!
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ネックアイロン。ネックヒーターによるネックの不具合の矯正は基本的にお奨めはしません。
必ず効果が出て、その後持続するとは限らないからです。
「念のため一応1回やってみて。」とご要望があればやってみます。
反り方によって、アイロンの掛け方は毎回違います。
(アリアのアイロンもありますが、こっちの強力なヤツを使うことが多い。)
結局このマーチンもアイロン効果なし。
1回は仕上げましたが、ジワジワと戻ってしまいました。
結果、指板修正(リフレット)で反りを直します。
マーチンの場合、アジャストロッドが入っていないものも多いので、反った場合は何らかの修理が必用になります。
反りが酷い場合は、指板を一旦剥がして、貼り直すこともあります。
統計を取った訳ではないので何%がこう、とは言えませんが、今までやってきてアイロンを使って良く出来たイメージとしては、Martin の場合は3割位。ただしその3割位もその後はわかりません。
最初より良くなったから、良しとするしかない場合も入れて5割以下位・・・そんなに無いかなー。
Gibsonは余程状態が酷くない限り、他のメーカーと比べる良く効くかもしれません。
それ以外のメーカーでは中々比較し難いですが、唯一分かるのはYamaha、コレに関しては絶対にお奨めしません。
あと、Ovation(カマンバー以外)が意外と効果があって意外なのです。
自分のグレンキャンベル(ネックアイロン、リフレット、ブリッジ交換・・・見積もったがお客さんがギターをそのままくれた。)アイロンで修理してずっとよい状態を保っています。
管理の仕方にもよりますが、過去にやったOvationも良いんではないかと想像します。
このようにメーカー(おそらく使う接着剤や接着方法等)や個体差(過去にアイロンの使用あり無し等)で結果に差が出るので、やるのであればダメ元と考えるしかありません。
大昔はアイロンも、修理の有力な方法と考えていましたが、現在はどうしても安く上げたい場合の選択肢で、結果余計にコストが上がってしまうという位置付けの選択肢と当方では捉えています。
私のアコギ修理の大先輩の村山さん(村山工房)はアイロンは持っていないと、おっしゃっていた記憶があります。
エポキシ系の接着剤(特にアラルダイト)は接着剤としてはかなり強力で優秀な接着剤ですが、強すぎる故に修理の際、剥がし難い(場合によっては剥がせない)事と、このはみ出した余分な接着剤の拭き取りに非常に時間を要する事が難点。
このベタベタ接着剤を拭き取る際はパーツのきわに残らないように丁寧に何度も拭き取りますが、そこばっかり見ていると思わぬ所につけていたり、拭き残して硬化してしまうと簡単には取れないので、その点が扱い難い接着剤です。
特にパーツのきわに残ると、きれいな接着と言い難い見栄えになります。
私以外にもお三方、修理屋さんが居て、現在はそれぞれ個人でやっていますが、数ならば私が1番やっている思っていますよ。このブログを見てくれている人にアピールします。
皆さんも「私!わたし。」と言うと思いますが、数えられれば間違いなく私です。
この4人で1番なら、世界中で見てもOvation 触ってるNo.1と思います。何故なら当時、営業さん達の抱えているバックオーダーが山ほどあって、2~3ヶ月ごとに100本位の入荷があり、それを2~3日で検品して出荷する、それを何年か続けた訳ですから、修理品だって古いものから新しいものまでイヤっていうほどあるわけです。
自分が代理店で関わった頃のOvation はついつい懐かししくて、いろいろ思い出してしまいます。
1930年代のMartinのネックリセットです。
過去の時代時代に何度と無く、ネックが外され修理されてきた様子が分かります。
この部分を剥がす際に、サクサクっと気持ちよく行ったので、これはきれいに剥がれたと思いましたが、・・・こんなでした。
私が二十歳の頃、高~い古~いクラシックギターを沢山在庫していたショップでバイトしていた頃、現在の私位のおじさん達(店長含め)の会話を思い出してみると、古過ぎるギターはパワーが無くなっちゃっている。・・・人で言えば年寄りと言う事なのでしょう、そういう音も個人的には大好きですが。
バイオリンなどでは2~3百年前の楽器も現役で使われています。100年位のものでは、モダンと言われてしまいます。
アコースティックの弦楽器は、主に接着で出来ているので、古くなってカサカサ、パサパサになったニカワを取り除き、組み直す事によって振動効率を戻す。
ギターの場合、ボディを組み直すにはボディ材が薄く、サイズが大きいので技術的には難しく一般的ではありませんが、決して不可能な事ではありません。
新しいロッドに交換しました。
このロッドは、単純に交換するだけなのでロッドの交換そのものは、とても簡単です。
ネックの角度が狂った場合は、ネックを一旦外して角度を直しますが、これに関しては指板を剥がして、ジョイントが露出しましたので、ヒールにくさびを打って半強制的に角度を修正します。(丸部分、ダブテール下はおまけ)(くさびに使ったスペーサーはOvationのシムなので、硬くてつぶれたりしない。)
大昔は指板を14フレット(ジョイント部)から切り取ってこのようにクサビを打って角度を修正する方法もよくやられていたように思います。
おそらく現在より専門のリペアマンが少なかったのかなと想像しますが、これでしたらネックを外すよりいろんなリスクが少ないですし、手っ取り早いです。
ただしその場合、指板を切り取ってしまうので、跡が残ります。
正しい修理方法は有るが、万人にとって正しいかと言えば、そうとは限らず・・・見た目はとりあえず、弾き易く、なるべくお金が掛からず、ギターにとっては強度が保てればよい場合があったり、勿論お金がかかってもなるべくきれいに、ギターにとっても正しくやりたい人もいる。
こちらのギターは、ロッドを交換してまたこのギターを使えるのならば修理したいとの旨、角度は割りと悪いのは分かっていましたが、これ以上お金を掛からない様に、私が忖度した修理。
余計なお世話だと言われてしまいそうですが、この修理で結構な料金が掛かかってしまう事と、指板は全部剥がしますから切り取らずに、この方法で対処できると見込んで。
原因も幾つか考えられます。
オーナーも依頼前に原因を教えてくれる事がありますが、ほとんどの場合、当たっていた事はありません。
この時期(乾燥する季節)は部屋の環境によってかなり差があります。
常に乾燥状態の部屋に置かれている場合、木製品であるギターも乾燥してネックもボディも縮みます。
その際、ボディは縮んで内に落ち込んで行く為に弦高が下がってします。
ですので、季節が変われば大概の場合、次第に元に戻っていきます。
これもその楽器を作った環境や材料のシーズニングの具合などによって症状ので方も変わってきます。
結構な乾燥した部屋に長いこと置いといても、縮んだり割れたりせず状態を保っているギターもあります。
日本の場合、四季によって空気が変わります、その度に若干なり膨張収縮を繰り返して力木が剥がれたり、ギターもある程度影響を受けることは仕方ありません。
「そーゆー事か!」とこの記事を読んだ人はラッキー!1つでも多く知っているとギターの見方が変わってきます。
そしてついでに、弦は緩めましょうね、緩い分にはいくら緩くても良いですよ。
同じ様な修理は重なるもので、この少し前に FALSETTOS の大黒さんのThunderbirdのネック折れを大急ぎでやったのを思い出しました。
ステージやリハーサルで倒して・・・と言うケースが多いので、皆さんお気をつけください。
D-45のリフレット(フレット交換)です。
指板を修正して、新しいフレットを打ちます。
このギターの場合、過去のオーナーの好みか、職人の癖か、指板のアールがマーチンにしては付き過ぎていますので、アールを少し戻します。
アールは削られて変更されていますので、戻す方向にしてもまた削らなければなりません。段階で言えば2段階位戻ればマーチンらしくはなりますが、あまり削らず雰囲気をマーチンらしく修正します。
指板のアールとサドルのアールは基本的には同じアールでそろえます。
下の画像は、指板修正して、フレットも交換済みの状態です。
サドルのアールはまだ元の指板のアールのままですので、サドルを修正します。
Ovation 1985-1 のリフレットです。
久しぶりに出してみたら、音も出ず、弾けなくなっていたという事で、ネックリセット他オーバーホール中のリフレットです。
フレットを抜く際に指板が欠けてしまわないように、半田ごてでフレットを暖めながら抜いていきます。
このオベイションのエリートと言うモデルは、アダマスと似ていますが前にアップしました方法とは違い、ネックはついた状態で、私なりの方法で打ちます。
構造上トップ部分(ハイポジション、指板エンド部)のフレットは強めの力で、打ったり、押したりしない方がよいので、長年でたどり着いた方法で打ち込みます。見せないけど。
フレットの溝を多少広くしてやれば、フレットを打ち込んだり、押し込んだりしなくてもフレットは”着けられる”のですが、フレットはしっかりと溝に食い付かせたいので、”私なりの方法”で打ち込みます。みせませんが。
指板のアールの確認。
大体同じになってますので、このアールを崩さず指板(フィンガーボード)を調整をします。
調整する際の注意は、端が下がってしまわない様に、フレットを削る時も同じ注意が必要です。
指板もフレットも端が下がるとカッコが悪いです。
(この画像の指板は悪くはないですが、多少下がっています。)
端が下がってカッコ悪くなる事と、もうひとつの形がフレットのエッジの形。
左は新しく打ち直した方、右は抜き取った古い方。
左はエッジが立っていますが、右はエッジが斜めに奥まで削られています。
エッジの処理は斜めに削ってしまったほうが処理(整形)に時間が掛からなくて作業的には楽で良いのです。
ですがこの分、弦が内側に乗るようにナットを作ります。
別にこの辺は好みであったり、気にしない方も多いのでかまわないのですが、個人的には弾き難く、何よりもヒジョーにカッチョ悪く見えてしまいます。
私も大昔から大好きな方の春からのツアーで使用予定のギターです。
その人を感じられるほど、弾き込まれたギターではありませんでしたが、このギターで歌っている姿を想像いたします。
このように、弦が多少でも張られた状態で放置されますと状態が悪くなります、お気をつけください。