大きさがピッタリ決まったら水研ぎして磨いていきます。「元々ピカピカなのになぜ磨くんだろう?」と思われるかもしれませんが(僕も初めて皆川氏に教えてもらった時は思いました)そのままだとまるで買ってきた黒い下敷を切って貼っただけのような感じでオリジナルとは程遠い印象になります。ビンテージギターの場合は尚更、その違和感を感じます。
大きさがピッタリ決まったら水研ぎして磨いていきます。「元々ピカピカなのになぜ磨くんだろう?」と思われるかもしれませんが(僕も初めて皆川氏に教えてもらった時は思いました)そのままだとまるで買ってきた黒い下敷を切って貼っただけのような感じでオリジナルとは程遠い印象になります。ビンテージギターの場合は尚更、その違和感を感じます。
塗装がどれ位剥がれるのか、剥がれないのか、やってみなければ分かりません。
ヘッド正面の文字等、消えてしまう事が予想される場合はその旨どうするか決めておきます。
1消えても気にしない、2(デカール等入手して)再生する、3再生できない場合どうするか等。
塗装修正しない場合でも色が剥げずにきれいに仕上がったものを見て頂きたいのは本当のところなのですが、そればかりお見せする訳にはいきません。
塗装は修正しないのですから、ブランドや機種によって塗膜が厚かったり、薄かったり、無かったり、様々なケースを見て頂くには、このような仕上がり具合も修理例として貴重でございます。
へたっぴなホームリペアのように汚くなっちゃってるのは論外ですが、個人的にはこの
「直したぜ!」って感じは好きです。
初めて当方のサイトにいらした方の為に、改めて何故ネックリセットをするのか書きます。
ネックの角度が狂ってしまった場合にリセットします。
ではなぜネック角度が狂ってしまうのか?
①ネックジョイントが緩んでヒールに隙間が出来てしまう。→ この場合は単順に製造ミス。
(製造ミスと言うより手抜き仕事の為におこる状態)
②チューニングしっぱなし、弦を緩めない為。→ 何故、張りっぱだとネック角度が狂うのか?
基本的にアコースティックギターのボディの構造は薄い板で出来た箱です。
フォークギターのレギュラーチューニングでは約70Kgの張力が掛かっています、大人がぶら下がっているような重さ。
どんなに考慮され強度のある材料で作られたボディでもチューニングされた際には、ボディのネックジョイント部は大なり小なり張力によって潰れている状態にあります。
この状況が進行した未来がネック角度の狂った状態です。
ですので、弦は緩めましょう!と大概の楽器屋さんは言います。
絶対とは言えませんが、狂わない構造にするにはソリッドボディのエレキのようにボディが詰まっていれば心配は少ないと思います。
何年に1度ネックリセットをしなければならないというような事を書いた文をどこかで読んだ記憶がありますが、決してそんな事はありません。
時計のオーバーホールの様に考えているのでしょうが、全くデタラメです。
弾き易く調整出来ればそれで良いのです。
あとはオーナー次第です。
弾き易いがオーナーが考える音響上、画像の様に「サドルに高さが欲しい。」等々。
ネックリセットをしたら、リフレットをしなければならないかと聞かれる事もありますが、それは状態や事情等によります。
指板かフレットの状態が悪い、もしくは両方の場合はリフレットが必要な状態だと言えます。
あとは近い将来フレット交換の時期が来るのであれば、この際やってしまえば当方の場合はネックリセットとセットにすればリフレットが割安です。
こちらのギターはリフレットは無し、すり合わせで調整。
ネックを外した画像が撮れてなかったので、ずい分昔のブログなのですが過去のヤツを見て頂ければ幸いです。
https://www.m-guitars.com/blog/2009/
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ダブテールジョイントと同じように蒸気を使って外しています。(現在は蒸気によるネック外しは行っておりません。)
折角、ボルトオンにしてるのに作る側しか利点が無いです。
直す側はかえって面倒にされてます。
ボルトオンは直す時にセットネックみたいに大変じゃないよ。
と言う為かと思っていました。
マーチンのボルトオンネックを知るまでは。
最初にマーチンボルトオンネックを外した時(外している時)は何で取れないんだろ?と焦った事を覚えています。
これはたまたま接着しちゃったんだ。とその時は思った事も覚えています。
そうじゃなかったんですね~。やってもやっても全部接着してあるんだから。
マーチンは他にも雰囲気が違うネックジョイントがあります。
ホント気を付けないと無駄に時間が掛かったり、失敗したりする原因になります。
またそれは追々。
テイラーのボルトオンネックは、個人の感想ですが1等賞だと思います。
後追いで同じような感じにしてるメーカーもありますが、最初にやったテイラーは流石。
ボルトンネックって作る人も、直す人もセットネックみたいに大変じゃないでしょ。と言う事ですから。
その中でも1番考えてあって、すんばらしいと思います。
だからなのだと思いますが、チューニングはそのままで!と言っているメーカー推奨の理由は。
ネックの角度が狂わない。と言っているのではなくて、狂ってもすぐ直せます。
と言っているのだと思います。
弦はしっかり緩めないとネックの角度は狂います。
アコースティックの構造である限り仕方ないのです。
そんなテイラーなのですが、気を付けなくてはならない部分があります。
見た目の事なので、別段気にしなければそれでよいのですが、ヒールと14フレット以上の指板部分(トップの上)。
要するにネックとボディが接している部分、トラディショナルな構造であればのっかっているだけなので気にせず作業しますが、テイラーは掘り込んだ所にはまっているので、元から入っているシムの厚みの範囲で角度を調整しなければ指板と掘り込みがズレて隙間になったり、ヒールのはまっていた部分が見えてしまったりします。
そしたら、ヒールはマーチン等のように削れば良いではないかと言う考えもあります。
やった事無いので分かりませんが、削るとヒールは幾分細くなりますので、やはり掘り込みの溝が隙間になってしう気もしますし、ボルトのアンカーも入っているのでそれも面倒です。
なので、時折あるようなスンゴイ角度の狂い方してる場合は多少この部分の見た目は変わって来るんじゃないでしょうか。
これ位接着面が大きくて、接着面が複雑なスカーフジョイントのようになっていれば、タイトボンドでも持つのではないかと思ったりもします。
ですが、ネック折れ修理にタイトボンドを使う場合は+補強、は必須ですので、いつものそれに見合った接着剤で補強は無しの修理をします。
こちらは塗装修正無しのプランなので、接着部の整形の際に剥げた部分はそのままですが、仮に塗装修正ありのプランだったとしても割れ跡は目立たなく出来るような塗装は無理かなと思います。
(目立つか否か、良いか悪いかは主観なので絶対に無理かと言われれば無理では無くそれなりに出来るかもしれません。)
塗装修正ありの修理例を見て頂けると分かりますが、どの塗装も元より少し濃い目に吹いています。
こちらの様に明るい色のネックの場合、割れ跡との色の差が大きいので目立たなくすることが難しくなります。
割れ跡が目立たなくするためには濃く色を付けなければならなくなり、かえってネック折れ修理を強調する事にもなります。
但し、見る人の主観が全てなので良し悪しではありません。
こちらのように色が明るいシースルーは割れ跡が目立ちますので、塗装修正する場合はどのような方向で修正するか、ご依頼人のイメージがあればご相談ください。
出来るかもしれませんし、出来ないかもしれませんが、出来る事は一所懸命がんばります。
クラシックギターのほとんどはダブテールジョイントでは無い為、ネックが抜けません。
ですので、過去にも修理例で挙げておりますが、こちらも同じ方法で進めます。
この方法は昔クロサワ楽器の山口さんに聞いたやり方。
「クラシックのネックって抜けないじゃないですか、どうやってリセットするんですか?」
「ん?リセットできないから指板でやるしかないんじゃないかー。」と教えてもらいました。
山口さん今も御達者でおられるでしょうか。
ネックは抜けませんので、指板を剥がします。
いい感じになりました。
持ち込まれたギターを「直す価値ありますか?」と聞かれることがよくあります。
価値はその方の思い入れの部分なので、私には分かりません。
オーナー以外、誰にも分らないのです。
※ただし、ラッカー塗装の場合は粘着テープで塗装が反応(溶けて)してしまいます。
くっ付けておく必要は無いので、他の方法でお願いいたします。
色が無いところは簡易的に筆で着色する事もありますが、かえってみっともなくなる事もあるので塗装修正しないならそのままの方が潔くてカッコいいです。
出来るだけ毎回言います。
タイトボンドでは補強無しでは持ちませんので、タイトボンドは使わず補強の要らない接着をします。