スタッフブログ

フレット交換 / Ovation 1868-5

オベイション エリートのリフレットです。

何十年前に作ったカバーを、まだ使っています。

 

1~2回前のブログでアダマスのリフレットを見て頂きましたがアダマスの場合、エリートの様にネックを付けたままフレットを打てない理由を書きました。

エリートの場合は、通常通りネックは付けたまま打ち換えます。

Ovation はフレットを接着剤で固定しているのですが、年代によってその接着剤が異なる為、交換前の溝の掃除の仕方にも違いがあります。

古いやつから90年代後期位までは、カサカサの接着剤が詰まっていて、掃除がしやすくてこれをきれいに掃除してしまうとフレットがゆるゆるになってしまいます。

溝が広がらない様に接着剤を残して調整します。フレットは上手く溝に喰い付かせて更にその後、接着剤を毛細管現象を利用して流し入れて固定します。

コレクターズシリーズの1998だったと思いますが、このあたりからフレットの接着剤が重ーい、かき取れない(ドレメルで掃除しても、粘ってビットに絡みつくだけ)接着剤になります。

これは時間をかけて何とかきれいにしないとフレットが打てません。

この後、何年もせずに重さがそれほどは無くなったけど固ーい接着剤になったような気がします。

これも時間が掛かりますが、きれいに掃除しなければなりません。

2002年にOvationの代理店を離れてしまいましたので、その後の仕様変更等は分かりませんが、どのメーカーもどのギターも打ち換えるフレットの足に合わせた作業が必要です。

 


オベイション特有のこの部分は面倒で、気も使います。


その他の部分は、通常のギターと同じです。


リフレットしてナットは練り物から牛骨に作り変えますので、音が締まります。

 


 

 

 

 

Ovation は長く関わったので、最近まで何とも思いませんでしたが、一回りしてまた良いなと、思うようになりました。(OP24までがいいな。)

 

ナット交換 / Gibson Hummingbird


スタッフの山口です。今日はGibson Humming Birdのナット交換を見ていこうと思います。


ナットは消耗品ですのでチューニングや弦交換を繰り返すだけでも溝が深くなり過ぎてしまうことがあります。


軽く叩くだけで素直に取れてくれるとホッとします。消耗品ですので取れなくなってしまうほどガチガチに接着してはいけません。次に修理する人にちゃんとバトンを渡してあげるのが大切です。


基本的には牛骨を使ってナットを作成します。


ネックバインディングが縮んでいる場合もありますが、これはピッタリ指板とネックに接しています。


ある程度形を作っておきますが、左右のツラは大体この時点で合わせます。


溝を掘る前に養生します。テープの粘着力は弱めておきましょう。


今回は既存のナットを参考に溝を掘ります。弦間を広くしてほしいなどご要望にお応えすることも可能です。


まずは1弦と6弦を決めます。基本的に端から弦の中心まで2.75mmを目安にすることが多い気がします。


1弦6弦の位置は既存のナットと大きく違うとお客さんも違和感を感じてしまいます。ただ元のナットがあまりにおかしい場合はあえて変えることもあります。


弦間をバランスよく。


溝がある程度掘れたら一旦外して磨きます。

 

ピカっとなったら再度つけて最終調整。


弦間チェック。ここがバラバラだったり極端に内側に寄ってると残念な感じになります。


ナットの深さは弦高を調整のために掘るものではありません。サドルがこれ以上下げられないからといってナットを掘っても開放弦がビビるだけです。


ナットはギターにとって音にも弾きやすさにも直接影響するパーツです。こちらのギターも喜んで鼻歌(Humming)を歌っているに違いありません♪

今週も閲覧いただきありがとうございました。

 

 

ネック折れ修理(塗装修正無し) / Gibson J-45


 


 

折れ、割れ等の修理は、塗装の状態等により仕上がり具合がそれぞれ雰囲気が違いますので、出来る限り沢山見て頂けるよう、ブログの更新頻度を以前より増やしています。

修理に関した事などについては、過去のブログで読んで頂ければ幸いです。

 


 


 


 

 

フレット交換 / Ovation 1687-2

アダマスのフレット交換します。

 

このトップ部分の指板のセッティングと形状が独特なのでネックは外した状態でフレットを打つ方が安全です。

エリートと言うモデルも同じような指板の形状なのですが、アダマスのトップは強度はあっても薄く、指板を密着させずに浮かしてある為、フレットを打ったり押し込んだりするには心配があります。

浮かした指板の隙間にしっかり接着剤が充填されていればエリートの様に打てなくも無いのですが、やはりネックは外して作業する方が安心です。

 

初期の頃のアダマスのこの部分は隙間が無い印象ですが、隙間があれば詰めておきます。

この部分に弦の張力が掛かって押しつぶされるのですが、少しでも強度の足しになるようにエポキシパテを詰めます。

ここが押しつぶされればネックの角度が狂います。

弦の張力は、70キロ位あるそうです。

 

1日、弾き終わったら、弦は緩めましょう。

しっかり、緩く、緩めましょう。

 


 


 


 

 

指板(ハイポジション部)がフローティングされているのですが、ここは上へはねたり、下に折れたり曲がっている事が多く、ネックをセットする際に1F ~最終フレットまで通りが良くなるようにハイポジション部のフローティング具合を作ってやらなければなりません。

何もせずに真っすぐな場合は苦労は無いのですが、大概いつも上から押さえたり、下から持ち上げたりして指板の通りが良くなるようにフレット交換前の指板を修正します。

そのような事によりネックの角度や、指板の厚み等で個体により隙間(フローティング)の大きさが区々になります。

最初期のアダマスは接着無しの完全なフローティング状態がオリジナルですが、音詰まりする場合は已む無く接着したり、共振を押さえる為に指板の先端だけ緩衝剤でトップにくっ付けられてある事もあります。

完全オリジナル状態を維持したい場合は、少々の不具合は我慢しましょう!

何事も思い通りにはならないのであります。

 

 


 

 

 

ネック折れ修理(塗装修正無し) / Gibson Les Paul


 


 

 


 


 


 


 

折れたり、割れたりの修理の場合、塗装修正して仕上げる場合、塗装せずに仕上げる場合、濃い色の場合、シースルーの場合、等々仕上がりの雰囲気がそれぞれ、その都度違いがあります。

出来るだけ沢山見て頂けるよう、アップの回数を増やしていこうと思います。

修理やそれに関する事などは、過去のブログに遡って読んでいただけたら幸いです。

 

 

ロッド交換、ネックリセット / Gibson J-45


 

いつもお世話になっております。スタッフの山口です。最近僕の担当回はGibsonが続いていますが今回もGibsonです。60年代J-45のロッド交換とネックリセットというかなり大掛かりな修理を見て行きたいと思います。

ロッドが限界まで締め切られていて効かなくなっています。角度も狂っていてネックも順反り、ロッドも効かない。ネットオークションなどではあり得ますが、定評のある某ギターSHOPがこのまま売るわけには行かないコンディションと言えます。ということでご依頼に感謝して進めて行きましょう!


まずは指板を剥がさなくては始まりませんので3箇所ほどフレットを抜いてダボ穴をあけておきます。


例の年季の入ったネックアイロンで指板を温めます。師匠に聞いたところ中尾貿易時代から使っているモノで30年選手らしいです。( ゚д゚;)


1時間程かけて無事に指板を剥がせました。思っていたより綺麗に剥がせて一安心です。


メイプルの埋木の下にロッドが仕込まれていますのでなんとか埋木を除去しなければお目にかかれません。まずはドレメルルーターをフリーハンドで慎重に。。

デザインナイフで切れ目を入れたり細いノミを使ったり。古い接着剤も同時に除去します。

アジャストロッドのお出ましです。中々お目にかかれない貴重な瞬間です。

無事に古いロッドを抜いたら今回はネックリセットも同時に行いますのでダブテイルスポットを温めます。画像の通り指板を剥がしてジョイント部が見えていますので効率よく温められます。通常のネックリセットよりも安心安全。

綺麗に外れました♪


ネック角度修正の前に新しいロッドを仕込みます。Gibsonのトラディショナルロッドはシンプルな作りです。ネックの長さに合わせてカットします。


溝も新しいロッドを埋め込む前に溝を調整しておきます。


ダイスでロッドのネジ山を作ります。この道具がダイスという名前だと知ったのはつい最近。「ねじ山作製器」とか「ねじ山作製ハンドル」の方が誰にでも分かるのになんでサイコロの別名と同じなのか不思議です。


どの工程においても大体このくらいでOK、と師匠が横で教えてくれるので安心です。


ロッドの溝のアールにピッタリの埋木を作ります。溝の形状を正確に把握するための手前の道具の名前は「測定ゲージ」or「型取りゲージ」というらしいです。


いざロッドを仕込みます。次にお目見えするのは何十年後になるんだろう、とロッド交換の時は毎回考えてしまいます。


埋木を平らになるように削ります。


後はダボに合わせて指板を接着し、ネックの塗装修正をしてロッド交換は完了です。


最初の画像と比べると一目瞭然、新品同様のアジャストロッドになりました。


後はいつものようにセンターがズレないようにネック角度を調整します。

 

フレットをすり合わせて磨いて行きます。

なぜかこの画像で終了。肝心の完成写真を撮り忘れて納品となりました。(*_*)

ロッド交換は費用もやはりそれなりに、またお預かり期間も長くなってしまいますが、大切なギターのロッドがダメになってしまった場合は皆川ギター工房までお問合せくださいm(_ _)m

 

ネック折れ修理 (塗装修正無し) / Gibson J-45

当方の場合、補強の要らない接着剤を用いてますが、更に

これ位接着面が大きければ尚安心です。

そして、ご依頼者の方も現状維持で持って来て(送って)頂き、

接着面がぴったり合わさります。

 

 

折れちゃった事は非常に不運でございますが、その不運を不幸中の不幸にしてしまう事はホームリペアにて失敗してる場合、更にまた付け直しちゃったり、補強しちゃってる場合等はどんどん面倒になってしまいますので、出来れば現状維持のままキープでお願いいたします。

 

 

表は簡易的に黒く塗ってあります。

ギブソンの塗装膜は割と厚めなので、磨き込んでも剥げずに仕上がる事も多いです。

 


欠けてしまっている部分は、クリアで平らに仕上げます。


手触りを確認しながら磨き込んでいますので、

手触りに違和感は無いです。

古い新しいに関わらず、折れたり、割れたりするのは非常にショックです。
 
 
 
よくご質問いただく事の一つは、「ケースに入れておいた方が良いのか。」
 
 
 
 
これは環境次第です。
 
 
部屋に小さい子供や動物等がいる場合はケースに入れておいた方が良いかもしれません。
 
 
 
 
但しハードケースに入っていても倒れた場合は、ケースの中で折れている事も良くありますので、絶対に倒れない様、工夫して下さい。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
湿気に関しては、ハードケースに入っていても密閉している訳では無いので、ある程度その場所の環境に影響されます。
 
 
 
 
 

 

 

ブリッジ交換、リフレット / Gibson J-45 Deluxe


いつもご覧いただきありがとうございます。スタッフの山口です。こちらのギターは前にロッドカバーとピックガード再接着のブログで登場した70年代前半のGibson J-45Deluxeです。


ブリッジが改造されたようなおかしな状態だったためオリジナルっぽく作り直しました。


ブリッジ接着用の道具もありますがサウンドホールクランプを使います。


70年代のGibsonのブリッジは独特の薄さと形状ですね。年代によって至る所に変化があるのがGibsonの魅力だ、という人がいますが僕もそう思います。過渡期に見かけるような仕様が混合された個体に胸が熱くなる人も多いのではないでしょうか。

 

 

 


フレットも新しく交換して行きます。


フレットを打つ前の修正された指板にいつもうっとりします。長年の汚れや手垢で見えなかったローズウッド本来の木目の美しさが甦ります。

サンドペーパーの目が細かすぎるとあまりカッコ良くない、というのは多くのアコースティックギターを見てきた師匠からの教えです。


たまにフレットプレスを使いますが最近はトンカチで打つ方が多いです。


前のブログでピックガードを貼ったら完成です。70年代Gibsonはもっと評価されてもいいと思わせてくれたギターです。斉藤和義さんもたまに使っていますね。何よりも本家Gibson自身がもっと評価するべきだと思ったりもします。

 

ブリッジ貼り直し / Martin D-35S

ブリッジを貼り直さなければならない場合は、慎重に剥がして、

調整し直して、貼り直します。

マスキングテープは用事が終わったらさっさと剥がします。

ラッカー塗装にひどく反応してしまう事があるので塗装作業等も、その日の作業が終わったら剥がして、また次、やる時にマスキングします。

 

 

ブリッジの剥がれた隙間に接着剤を差し込んで接着する場合も無くは無いですが、その場合は圧着せずに充填接着します。

何故、圧着しないかと申しますと、ブリッジが剥がれている場合、接着面は反っている事がほとんどなのでクランプしても密着しないのです。

無理にクランプしてくっ付けてもブリッジが反っていますので、いずれ剥がれてきます。

剥がさず部分接着するならば、あくまで簡易的な修理と考え、圧着はせず充填接着します。

ブリッジが反っていなくて隙間が出来ている場合もありますが、接着剤はスーパーグルーで、その量も足りていない場合に反らずに剥がれている事が多いように感じます。

 


 


 


 


 

弦を緩める理由はネックへの負担だけでは無く、ブリッジ、トップ板、等いろんなところに弊害が出る事を予防する為です。

 

 

ピックガード貼り直し、ロッドカバー交換 / Gibson J-45 Deluxe


スタッフの山口です。今回はGibsonJ-45Deluxe。まずはロッドカバーをオリジナルっぽく作って行きます。


材料を大方の形に切ってビス穴を開けたら表面を傷が残らないように徐々に番手を上げながら磨いていきます。


ロッドカバーは小さいのでピックガードの磨きよりは楽です。土台の木材もツルツルになってしまいました。


左がよく見るGibsonロッドカバー既製品。真ん中が作製した70年代のオリジナルの形で作ったもの。右が元々付いていたモノです。

 

 


ロッドカバーができたら今度はピックガードです。こちらはオリジナルのピックガードが反り返った状態で剥がれていましたので何ヶ月も重石を置いて平らに矯正しておりました。


合板でピックガードにピッタリなジグを作って、今回はタイトボンドで接着しました。

このペグ、好きです。作成したロッドカバーも馴染んでいていい感じです♪

こちらのギターは10年以上前から工房に眠っていました。師匠が勉強も兼ねて僕に任せてくれました。この他にも修理をしたのですがそれはまた後々。

鳴りがよくすぐに買い手がつきました。

長い間メンテナンスされていなかったギターが甦り、誰かの手によってその音が奏でられるというのはとても嬉しいことです。ギターのサウンドホールから「ありがとう!」と聞こえる気がします。

ギターに限らずですが、「モノを修理して永く使うこと」は、作った人も買った人も、また手放した人もそしてそれを直した人もみんながハッピーになれることだと思います。修理っていいな♪

それでは!