スタッフブログ

ネックリセット,リフレット / Gibson Hmmingbird


通常数ミリも動けばネックは抜けるのですが、さすがGibson全然抜けないです。


何か付いていますが、ダブテールの1部です。

このネックは3ピースなので片側の部分が剥がれて残っている状態。


奥に向かって細くなっているダブテールであれば、前に少し動けばすぐ抜けますが、前から奥まで幅が変わらないダブテールでは、木工精度の良いGibson なので抜け辛いと言う訳です。


右側が取れてます。

きれいに取れていますので、貼り直して調整します。

フレットもペタンコなのでリフレットします。

過去、何度もすり合わせをしたのだと思います。

上から下までペタンコです。

ギブソンにはフレットレスワンダーと言う、全く良さが分からないフレットがありますがアレではないですよね。

 

 


これで演奏性も音の粒立ちも良くなります。


低過ぎるフレットでは、意識的にしっかり押さえなければならないので、疲れます。


基本的には新しいフレットに合わせてナットも作り直します。

 


サドルはいつものように出過ぎてしまわないように。

ですが、70年代Gibsonでは弦とトップのクリアランスが狭目なので弦高が低くなってもサドルまで低くなってしまわないように気持ち角度は大きめに取ります。


角度を直すとジョイントが緩くなりますので、またきつく入るように調整します。


いつも言いますが、このヒールとボディの接地面の接着は、ジョイントの強度と言う意味では重要ではありません。

 


70年代Gibson は鳴りが豊かなので、最近はこの年代なりの良さに気付いた人が多い気がします。

 

ヒールの接着で一つ思い出しました。

ギブソンの話ではないですが、木工精度の良さをアピールするLowdenは、このヒール部分は一切接着はされて無いんです。

2~3本しかやったこと無いので全てのモデルがそうか分かりませんが…

ジョイント部のみの接着で、ヒール部には接着剤は付いてません。

10年以上前にローデンのネックリセットの際にジョイントの方式等、分からなかったのでギタープラネットの店長にローデンへ問い合わせてもらったところ、ローデン曰く「通常通りネックは外せます。」「ですが、ローデンのジョイントはとても精巧なので難しいです。」と返答されたそうです。

さすがLowden。

 

 

ネック反り修理 , リフレット / Gibson F-2

今回はマンドリンの修理です。

こちらは以前ネック反り修理で、アイロン修正のリクエストで一旦は反りも直り、弦高も下がったのですが、それから数ヶ月、やはり戻ってしまいました。

当方では基本的にどのネック修理にもアイロンはお勧めしていませんが、リクエストの場合はアイロンいたします。

アイロンでの修正は物によっては、結果が良い場合もありますが修理方法としては簡易的にやる場合の方法ですので、当然結果が良くない場合も多くあります。

指板を一旦剥がして、貼り直して反りを直します。

古いギブソンマンドリンのジョイント部、初めて見ました。

ギターと大差は無いと想像していましたが、大分違います。

ダブテールジョイントの下にもジョイントと言いますか区切り部分があります。

どう言うことなんでしょーか。

そしてこの指板、エボニーだったはずですが、裏は何か茶色です。

剥がす際は暖めて剥がしますが、随分ひびが入ったなと思っていましたら、茶色い指板(ハカランダ?)に薄いエボニーが貼ってある指板なのでした。

前回アイロンをかけた際もここまででは無かったですが、ヒビ修正が多くて面倒だと思っていました。

アイロン修正した場合は、通常すりあわせしてフレットの高さをそろえますが、こちらはフレットが低過ぎて、すり合わせが不可能でした。

 

 


 

このひび割れを直さなければなりませんが、フレットを抜く前にヒビを接着してしまうと、フレットが抜き辛くなって、抜く際に新たに割れが出来ると思い、フレットを先に抜いたのですが、割れ部分がパズルのように剥がれて取れてしまいます。

それらを無くさないようにして、地道に全ての割れに接着剤を流します。

リフレットの際には注意する事がいくつかありますが、フレットを打ち込む溝と新しいフレットの足や足に付いているスタッドが溝と合っていなければ(合わせられ無ければ)良いリフレットは出来ません。

溝は出来るだけ広げたくありませんので、きつい場合はスタッドを潰して合わせます。

溝が広過ぎの場合や、きつく打つ場合は、専用工具でフレットの足を曲げて幅を稼ぎます。

マンドリンのリフレットは大昔に一度だけ経験があり、これが2度目。

その時はギターと同じ様にやってみて、なんでこんなに下手くそなのか、仕上げて見て大分落ち込みましたが、何で下手くそか分かりましたので次こそは、と思ってから何年経ったかもう分かりません。

このような細ーいフレットは、一手間、二手間増やさなければ、きれいなリフレットは出来ないのです。

何でも経験しておくものだと常々思います。

 

 

 

滅多にやらないので、


いつもより、


画像多めで。


ナットも同じデザインで作り直します。


小さい楽器は楽な部分もありますが、


難しい部分もとても多いです。


 

 

ネックリセット / Ovation 1881-NBBG


Ovationのネックリセットです。

 


ネックが付いたままだとグリスアップし辛いので取った際にしておきます。


ワッシャーを足すと多少効きに余裕が出来る事があります。

特にこのようにネックの角度が狂って弦高をちょっとでも下げようとしてアジャストロッドを長い間、締め切っている場合や反りが酷い場合など癖が付いてしまっている為か、過去に締めた分(量)程戻らず、アジャストロッドの効き幅が狭くなる事があります。

その場合ワッシャーを足してナットの位置を戻すと、多少効きも戻る事があります。

 

 

 


全アダマスモデルではありませんが、一定のモデルのボディはこのように空洞があります。

 


ネックリセットの際はこのように、エポキシパテで空洞を詰めておきます。


空洞はずっと奥までありますので、ある程度ネックジョイントの辺りの強度を補えるように。


詰めた部分は、緩くなく出来るだけきつく詰めます。

 

 

ネックの角度が狂う原因は、ボディが弦の張力に負けて歪む事が原因ですので、空洞があっては尚歪み易くなってしまいます。

 

 

 

アダマスやエリートはこの短くなった部分のフレットの処理が面倒です。

フレット打ちは、エリートより指板がフローティングしているアダマスの方がより難しい。


状態によってですが、フェンダーのようにネックを外した状態でフレットを打つこともあります。


このナットは、オーナーの亡きご友人が作ったナット、象牙で作ってあります。

高さは足りてますので溝だけ調整してセット、形はそのままで。

ピックアップサドルはこの位の高さがカッコが良いですが、トラディショナルなサドルをイメージするとちょっと高い感じがします。

どのギターもそうですが、あれこれ考えて何が良いのか分からなくなってきます。

きれいな青です。

オベイションの品番の後に付く数字はカラーの番号です。

青は、-8(例えば1687-8)ですが、いろいろあり過ぎて分かりません。

この色はブルーグリーン(BG)ですって。

ですので1881-BGとなっていたり、グラデーションが掛って無くノーバースト(NB)なので1881-NBBGという表記のようです。

この時代はまだOvation の代理店で仕事させてもらっていたのですが、色々色やモデルが増えすぎて当時から分からなくなっていました。

 

 

すぐに思い出せるのは、-1サンバースト、-2赤、-3ってなんだ?黄色?、-4ナチュラル、-5黒、-6白、-7ベージュ、ナツメグ、-8青、-9茶、

ここまでは、すぐ思い出せます。

 

ネック折れ修理(塗装修正無し)/ Gibson ES-175

ES-175

化粧板だけでギリギリ繋がっています。

塗装修正なしプランで完了します。

折れてる方はこう。

これを塗装まで修正して出来るだけきれいに仕上げるプランは考えませんでしたが、やはり酷い所は切り取って、新たに木を足すしかないでしょうか、補強と言うより見た目を少しでも良くするとすれば。

以前に修理してもらい、また折れちゃったので自分でクランプを掛けてくっつけてみたそうです。

ピタッと閉じるので接着出来ます。

 


残っている接着剤を取り除きます。


白っぽいのが接着剤。

そんなに多そうではありませんが、奥まで取らなくてははなりません。


奥まで、奥までと作業していたら裏返ってしまいました。


こういった物で地道に取り除いて行きます。


ボリュートの様な物は意味がありませんので、元の形に削ります。


演奏上、手触りは違和感ありません。


見た目はアレですが、大事な楽器は愛おしいものです。


正面は黒いので、ぱっと見違和感なし。

こちらは方は、フォークギターでもなかなか張らない太い弦を使用します。

Jazz屋って感じです。

最初に間違えた接着をしなければ、いろいろと損しなっなかったと思います。

折れた所は、出来るだけ現状維持で見せて頂ければ幸いです。

 

ネックリセット+リフレット / Martin D-45


弦高を下げる為ちょっとだけブリッジが削られていた為、ブリッジを本来の厚さで作り直し、ネックの角度を直します。


スチュマックのヒートスティックを使い始めたばかりの頃で写真撮ってます。


Martin ならヒートスティックでなくとも蒸気を使っても一切問題はないのだが、幅広ヒールのGibsonやGuild等で使い続けるか否か、今の所結果が芳しくないので、まだまだ工夫が必要。

 

ネックを外す際、以前は蒸気の熱を使って接着剤を緩ませていたのですが、その際に吹き出す蒸気がボディの塗装に当たって、外す時間の掛る幅の広いヒールのギブソンやギルドでは塗装が蒸気の熱で焼けてしまう事があったのです。

このヒートスティックなら蒸気のように塗装へ直接熱が加わらないのでとても良いと考えたのですが、やはり時間が掛る物では中からの熱でも影響が出てしまいます。(まだ1本しかやってないので、たまたま良くなかったのか分からない。)

いずれにしても幅広ヒールの場合は、塗装の修正込みで考えていますのでショックは大きくないのですが、蒸気を使った場合でも塗装にダメージ無く外せる事も多いので、毎回塗装が悪くなるのであればヒートスティックは使えないツール第何号かになるか、工夫によってナイスツールになるか。

幅広ヒールは細ヒールより修理預かりが少ないので、このヒートスティックが良い物か悪い物かの判断はまだ先になると言うところです。

これを見た同業者の方で幅広ヒールにヒートスティックを試した方の感想を是非聞かせて下さい。 こちらから

 

 

 


作り直した新しいブリッジ。


弦は古いまんまですが。


なるべくマーチンらしく作ります。


指板の厚みも修正します。


フレットのエッヂは丁寧に仕上げます。


リフレットしたら基本ナットも作り直します。


突き板の厚い物は、ナットを外す際は慎重に。

 


 


 

私がギターを覚え始めた中学生の頃、まだ家庭用ビデオ等はあったか無かったの頃、テレビでちょっとだけ映るこの方の手元を必死で見て、「おー。こーやって弾くのか。」とお手本にした方のギター。

なので、スリーフィンガーはフラットピックで覚え、ギターを弾くことで一番最初に影響を受けた人。

このギターを使っている印象はありませんが、今回のツアーで使ってくれたら幸せだな。

 

弦抜けブリッジ修正 / ウクレレ


 

当方、ほぼアコースティックギター専門の修理屋でございますが、たまにギター以外の弦楽器修理の依頼があります。

その中でもウクレレは年に何本かお預かりします。

ウクレレ修理の中でも割とあるのがこの、弦が(特に1弦)抜けてしまう不具合。

そうなった場合は、当方のサイトの修理例にならって(ギタースタイル)に交換希望のご依頼がほとんどですが、今回は交換せずに修正します。

削れてしまっている部分を削り落として、同じ種類の木をはめ込んで調整します。

 

交換例ウクレレブリッジ

ギターや他の物でも同じですが、修理方法は一つではなく、オーナー意向に沿った他の方法も提案出来るのも修理屋の技量かなと思ったりします。

 

激しく破損してしまっている場合等の例外もありますが、予算等もいろいろとお伝え頂ければそれに沿ってプランを立てます。

 

 

 

ネック折れ修理(塗装修正あり) / Orville LP

折れ方にも良い悪いがありますが、タイトボンドは使わずどの折れ方にも補強無しの修理をします。

例外もある事にはありますが、ほとんどの場合補強の手間がない事でコストを下げられます。

 

アジャストナットへ接着剤が流れ込みますので、接着剤で固まってしまわないよう工夫します。

しっかり直っていれば良い場合(塗装修正無し)、出来るだけきれいに仕上げたい場合(塗装修正あり)二通りの見積もりを出します。

今回は、出来るだけきれいに仕上げるプランで仕上げます。

借り物をやっちまった、とのこと。

 

正面の黒はほぼ問題なし。

シースルーの塗装は多少濃い目に着色して、割れ跡を目立たなくします。

 

塗装修正にも色々方法があります。

色を均一に仕上げる場合はネックの塗装を全部剥いで塗り直します。

一旦全部剥いでしまえれば割れの跡も目立たなくなります。

ですが、修理費が大幅に上がってしまいます。

一旦割れ周辺を合わせた色で塗りつぶしてしまい、周りに合わせて薄く杢目も入れる方法。

完全に割れ跡は見えなくなりますが、修理者の達成感の割にきれいではありません。中には上手い人もいると思いますが、私の場合いくら上手くやっても落ち着いて見ると気持ち悪くなります。

同じ色とは言え、そこだけベタ塗りしてしまうと元の着色と距離感が出て、貼り付けた感じが違和感なのだと思います。

 

割れ跡を見えなくしてしまいたい場合は、こげ茶等で隠してしまった方が潔くて返って良いかもしれません。

最近、割れ跡を見えないようにこげ茶で隠した例がありましたので、何れ紹介出来ると思います。

折れた跡が見えなくする方法(当記事前出)はありますが、修理をした証になります。

どれだけコストを掛けても、折れた事実を無くす事(ごまかす)は出来ません。悪しからず。

 

ネックリセット / Larrivee L-09

前回紹介したラリヴィーです。

ヒールに隙間が出来ちゃってましたから、ボディ修理のこの機会に、ネックのリセットもしています。

 

ネックジョイントはマーチンっぽいスタイル。

前回の最後に、「ラリヴィーもやってた。」と言って終わりましたが、次の画像です。

ダブテールに付いてるでしょ。紙。

マーチンはある時期の物は紙でフィッティングしてるのですが、大体ルーズになってヒールに隙間が出来てしまっています。

ラリヴィーもか・・・。しかも申し訳程度に点で調整・・・

紙では絶対にダメなので、ローズ、メイプル、マホガニー等の木材でシムを作くらなければいけません。

紙だと潰れたり、ずれたりして結果ジョイントがルーズになります。

 

 


いつも言いますが、このヒール部を一所懸命接着してもダメ。

上の画像のジョイント部のフィッティングが重要です。


ヒールに隙間がある物は、ジョイントがルーズな証拠です。

弦の張力が強過ぎる訳ではありません。


リフレットしましたので、指板も全てとても良い状態です。


大仕事なLarrveeでした。

 

 

ボディ割れ修理 / Larrivee L-09


ボディの割れは、この段差が戻るか否かで、修理のし易さも出来映えもある程度決まります。


こっちの段差はなんとかなりそうです。


やはりこの大きな割れは、何をしても戻りません。

少々欠けても「パチンッ!」って戻ってくれれば、こっちのもんなんですけど・・・

 

バックを外して修理する事も考えたのですが、修理(私)の鉄則は面倒くさくしない。

面倒くさくしてしまうと費用も時間も余計に掛ってしまいますし、第一にバックなんぞ外したら面倒くさいです。

わざと面倒臭くしてやる人も多いですが、それはそれ。千差万別の流儀や美学があります。

 

幸い力木も定位置にありますし、出来るだけ元のまま修理します。

バックを外すのは、以前に紹介したSJ-200のような状態で、やむを得ない場合。

 

 


割れの段差が重なって戻らない部分は削り落として、少々隙間が出来きましたが、そこは後から考えればいいやと思い。


割れの段差を無くして平行にする事が第一の目的ですので、幸いローズウッドで茶色いボディは割れ等の跡が目立ち難いので助かります。


接着修理が完了しましたら、バックはリフィニッシュ。

あんまり目立たなくなりました。


メイプルのバインディングの割れも接着しましたが、色の明るい部分の割れ跡は目立ちます。


 


こちらのギターはネックのリセットもしていますので、次回に見て頂きます。

マーチンのネックジョイントでは、横着してセットしている物がありますが、ラリヴィーもやってるとは思いませんでしたよ。

 

 

 

 

 

 

 

トラスロッド交換 / Harmony H1260


前回のギターの続きです。

アジャストロッドを交換します。

画像の様に、ロッドを締めると締めた分、ロッドが出てきてしまいます。


ロッドを交換する為にまず指板を剥がします。

錆びた鉄芯が直に指板に触れています。

ロッドエンドにはエンドブロック等無いので、ロッドエンドを下に折り込んであるのでしょう。と思いきや、この錆びた鉄芯が埋木代わりでその下にロッドが埋まってました。

 


取り出した左側が埋め鉄(埋木代わり)で、右側が上下逆においてしまいましたが、ロッドエンドっぽいのがナット側、エンド側は何も付いてません。

どこも固定している部分がありませんが、ナット側にあったのだろうト想像する以外ありません。

しかも溝がたわんで無くほぼ真っ直ぐなので、反りは修正出来るわけ無いと思ったのですが、もしかすると、ネックが反った時にはロッドも一緒に反るから、そしたら締めてまた真っ直ぐにする、と言う考えかな。

そんな事、出来るのかな。

ゴムじゃないんだから、そんな引っ張れないし、ロッドエンドが留まって無いんだから・・・押すのか?いやいやいや押したら余計に反っちゃう。

・・・私の頭では分かりません。

 

 

 

溝を一旦埋めて、もっと深い位置に、たわんだ溝を作ります。

 

ギブソン式のロッドを作って仕込みます。

埋木はウォルナット。


見るからに安心感の出た、ロッドナット部分。

 


リフレットもして、とても良い状態。

ネック角が付いて、指板のハイポジション部が下がった分、厚みを付けてあります。


楽器は弾きやすくなると、音も良くなります。

演奏に余計な力が必要なくなり、楽器のパフォーマンスが引き出せます。