スタッフブログ

ネック折れ修理(塗装修正あり)/ Bass Guitar

当方のブログを見るとネックの修理ばかりやっているような印象ですが、そんなことは無く、ネック以外の修理も同じ様にあります。

ですが、いつもビフォーを撮り忘れてしまいます。

見て頂きたいものに限って、撮り忘れます。

ある程度手が進んでから気が付きます。

アフターだけ見せられても、ただ普通の状態が写っているだけになってしまいますので、それ見せられてもしょうがないですからね。


塗りつぶしの修正は、修理跡は分からなくなります。


色が暗いものの方がより隠し易いです。


塗装修正があっても無くても、強度は同じです。


ボリュートはあってもなくても、ヘッドに角度がある場合は、倒した時は折れる率は高い。


 

 

同じ様な修理は重なるもので、この少し前に FALSETTOS の大黒さんのThunderbirdのネック折れを大急ぎでやったのを思い出しました。

ステージやリハーサルで倒して・・・と言うケースが多いので、皆さんお気をつけください。

 

 

 

フレット交換(指板、サドルのアールの変更)/ Martin D-45


 

D-45のリフレット(フレット交換)です。

指板を修正して、新しいフレットを打ちます。

このギターの場合、過去のオーナーの好みか、職人の癖か、指板のアールがマーチンにしては付き過ぎていますので、アールを少し戻します。

アールは削られて変更されていますので、戻す方向にしてもまた削らなければなりません。段階で言えば2段階位戻ればマーチンらしくはなりますが、あまり削らず雰囲気をマーチンらしく修正します。

指板のアールとサドルのアールは基本的には同じアールでそろえます。

下の画像は、指板修正して、フレットも交換済みの状態です。

サドルのアールはまだ元の指板のアールのままですので、サドルを修正します。


このサドルは修正前の状態。

スケール上約10の値

指板の修正前も、端が多少落ち気味の大体10の値、マーチンには無い形状

 


14位になればマーチンと言う感じですが、12まで戻せばグッと雰囲気は変わります。(数値が大きくなるほどアールが緩やかになります。)


修正前はこの10アール、画像がありませんが、10で端が多少落ちた感じ。


14を当てるとこんな感じです。

このスケールで14アール位になればマーチンにもよくある感じですが、もっと緩いアールもあります。


見え難いですが、サドルのアールを削った状態

アールを12にあわせた状態です。


指板のアール等、このあたりは好みですので、リクエストがあれば弾き手に合わせて変更される場合があります。

リフレットとナットの作り直しは基本セットです。

いつもの記念撮影で完了

 

リフレット(フレット交換) / Ovation 1985-1


 

Ovation  1985-1 のリフレットです。

久しぶりに出してみたら、音も出ず、弾けなくなっていたという事で、ネックリセット他オーバーホール中のリフレットです。

フレットを抜く際に指板が欠けてしまわないように、半田ごてでフレットを暖めながら抜いていきます。

このオベイションのエリートと言うモデルは、アダマスと似ていますが前にアップしました方法とは違い、ネックはついた状態で、私なりの方法で打ちます。

構造上トップ部分(ハイポジション、指板エンド部)のフレットは強めの力で、打ったり、押したりしない方がよいので、長年でたどり着いた方法で打ち込みます。見せないけど。

フレットの溝を多少広くしてやれば、フレットを打ち込んだり、押し込んだりしなくてもフレットは”着けられる”のですが、フレットはしっかりと溝に食い付かせたいので、”私なりの方法”で打ち込みます。みせませんが。

 

 

サドルのアールの確認。

サドルのアールは変えられませんので、こちらに指板を合わせます。

指板のアールの確認。

大体同じになってますので、このアールを崩さず指板(フィンガーボード)を調整をします。

調整する際の注意は、端が下がってしまわない様に、フレットを削る時も同じ注意が必要です。

指板もフレットも端が下がるとカッコが悪いです。

(この画像の指板は悪くはないですが、多少下がっています。)

 


 

端が下がってカッコ悪くなる事と、もうひとつの形がフレットのエッジの形。

左は新しく打ち直した方、右は抜き取った古い方。

左はエッジが立っていますが、右はエッジが斜めに奥まで削られています。

エッジの処理は斜めに削ってしまったほうが処理(整形)に時間が掛からなくて作業的には楽で良いのです。

ですがこの分、弦が内側に乗るようにナットを作ります。

別にこの辺は好みであったり、気にしない方も多いのでかまわないのですが、個人的には弾き難く、何よりもヒジョーにカッチョ悪く見えてしまいます。

 

 


独特な形の指板エンドのフレットの処理も時間が掛かります。


 


新しいフレットに合わせ、ナットを作り直します。


 

私も大昔から大好きな方の春からのツアーで使用予定のギターです。

その人を感じられるほど、弾き込まれたギターではありませんでしたが、このギターで歌っている姿を想像いたします。

このように、弦が多少でも張られた状態で放置されますと状態が悪くなります、お気をつけください。

 

ブリッジ剥がれ修理 X 3例


ブリッジ剥がれ修理です。

ウイング部が少し浮いている位でしたら、しばらくほっといても問題無いですが、これ位剥がれていたら修理した方が良いでしょう。


隙間部分だけ接着してやる方法(歪んだブリッジは圧着出来ませんので充填します。)でも大きな問題はありませんが、大概隙間の分だけブリッジが歪んでいますので、一旦剥がして接着面を修正してやるのがよいでしょう。


隙間無く接着されているか否かでは、当然音の良し悪しにも左右します。

接着剤はタイトボンドを使います。。


こちらのボディ側の接着面が上のものとは雰囲気が違います。

塗装が剥がされていません。


タイトボンドを使う場合は、木地を出さなければ、しっかりとした接着は出来ませんが、こちらのような瞬間接着剤系(特に低粘度であるほど)の接着剤の場合は、荒れていない面同士でなければ密着しません。


生産性重視だと思いますので、高くないモデルに採用される接着方法です。

こちらはある程度接着面を荒らしてから、エポキシ系(アラルダイト)の接着剤で接着します。


エポキシは非常に扱いが面倒(ベタベタがすごく、拭き取り辛い)なのですが、接着力や耐久性は抜群です。

Ovationは基本的にはエポキシ系の接着剤が採用されていますが、こちらの日本製のオベイション(USA製以外)には瞬間接着剤系の接着剤で貼られています。


オベイションの場合は、ブリッジが剥がれる方向に弦の力が掛かり易いので、強い接着力が必要です。


こちらもアラルダイトにて接着します。

拭き取りには、時間を掛けて拭き残しが無いようにします。


ブランドやモデルによって使用する接着剤も変わります。

 

ネック折れ修理(塗装修正あり)/ GRETSCH White Falcon


グレッチのホワイト・ファルコンのネック折れ修理。

塗装修正ありでのご依頼。


塗装はどれも難しいので、やりたくないのですが、最もやりたくないパターン。

ぴかぴかの白で、少し焼けている。


接着後、整形する際に削ったり擦ったりする所と、しない所の色の差が出ます。

茶色いギターでも事は同じなのですが、白の場合は頑張っても色が合わず時間のムダになる気がします。

大昔にやった時に、全く色が合わず馴染まなかったので、普段どおりの塗装は出来ないと端から思い込んでいます。

着色の段階でも、クリアーの段階でも、他の色であれば全く気が付かないような極細かい糸くずともいえないような埃でも目立ちます。

「今日はホワイトファルコンを吹く(塗装のスプレー)日だ。」と思うと朝起きた瞬間から憂鬱になります。


色と埃に気を使う事と、形にも気を使います。


手触りで気にならなくても、ほんの僅かでもよれていると光の加減で歪みが見えてしまいます。


画像では真っ白ですが、ほんの僅か、黄色や赤や黒等を混ぜて同じような焼け色になるように。


伝わりませんが・・・

プレートの下が焼けていないので、写真を撮っておくべきでした。

ロッドカバー周りは着色しています。

今回も何とか乗り越えました。

そして、次から、次へと、まだまだ続く・・・

 

ネック折れ修理 / ヤマハAPX

これは何をやっているのかと言いますと、ギターを台にかけてネックの折れた所をクランプをかけて広げたかったが、折れてしまったところです。

じゃ何故、クランプをかけるかと言いますと、直接手を使って広げようとすると、過度に力が加わりすぎて折れてしまうからです。

がしかし、クランプをかけて広がる前に折れてしまいました。

では何故広げたいかと言いますと、割れ部分にオーナーが付けた接着剤を取り除きたかった、と言うわけです。

白っぽく写っているのが接着剤です。

接着剤は取り易くなりましたが・・・


塗装修正は無し。

当方のネック折れ修理は補強の要らない接着です。


ですので、今後またアクシデントがあった場合、折れた所には接着剤は付いていません。


頻繁にライブなどで使う方は、「また、やっちゃいました!」と再度来られる事はありますが、補強が無い事で面倒な折れ方にはなりません。

タイトボンドで修理した場合は、補強が無ければ強度は足りませんので、その場合修理コストが上がり、今後同じ事があった場合、面倒な折れ方になるケースがあります。

当方の修理例で補強が施されている修理例がありません。

補強なしで不安な方もいるかと思います。

過去どれだけ修理したか分かりませんが、再発は現在のところありません。

 

特にネック折れ修理は、修理者の考えが反映する仕事です。

大昔に読んだ本に、折れたギターのネックを科学的な接着剤(なんと書いてあったか覚えていませんが・・・)で接着してしまうのは、”かわいそう”、”ギターの呼吸を止めてしまう”と書いてあったのを覚えています。

これはこれで、正しいのだと思います。

当方の修理と”かわいそうじゃない修理”の音を比べて聞き分ける人は、そういないと思いますし、そんな機会もありませんので、どちらが好きかと言う事に尽きると思います。

理屈から言えば、修理前後の質量の差が少ない、当方の修理が音の変化は少ない。

 

トップ膨らみ修正


ブリッジ下側が膨らんでポッコリと出っ張ってしまっています。


横から見ますと、これだけ前傾しています。


アコースティックギターのトップは設計上平らですが、使用していく上で真っ平らなものは殆どありませんので、少々のふくらみは修理しませんし、出来ませんが、これはやらなくてはなりません。

※少々のトップの膨らみや歪みを気にする人も多いですが、トップはサウンドボードと呼ばれるパーツで音に直接影響しますので、必要のない作業は極力やめましょう。

 


ブリッジプレートを鏡で写したところ。

過去に交換されています。


ブリッジを剥がした跡。

中心部、1弦~6弦部分は板が取れて穴が空いたと思われますが、その破片をまた貼り直してあります。


ブリッジプレートを剥がしたところ。

端は木部が大分めくれてしまいました。後ほど修正します。


トップの形に変形した、ブリッジプレート。

ブリッジとプレートを外したら、力木の剥がれや割れのある部分を接着しながら、当方の方法を用いてトップの歪みを修正します。

同時にブリッジの歪みも修正しておきます。


専用のパテで修正出来ない部分は、切り取って同じ木材で塞ぎます。


裏側も平らに修正します。


トップは平らになるようにキープしたまま、作り直したブリッジプレートを貼ります。


弦高を調整して弾き易くなり。


歪みも直り。


剛性も取り戻し。

後は弾くだけ。でも、弦は毎回緩めましょう!


このように、弦を張りっぱなしで置いておいたギターは、ネックに支障が出ない場合は他の部分に支障が出ます。

 

ネック折れ修理(塗装修正なし) / Gibson LP

Gibson のネック折れですが、今回は破片も大分無くなって、塗膜も薄いつや消しのトップコートです。

塗装修正無しでも割ときれいに仕上がる場合もあります(過去の修理実績にいくつか。)が、これは塗膜が薄いので塗装修正無しでは仕上がりが大分痛々しくなります。


無くなってしまっている部分は、専用のパテで埋めます。


無い部分は埋めて、感触に違和感が無いように調整します。


表面だけは簡単に着色。


こちら側は簡単にやろうとすると返って、かっこ悪くなってしまいますので、予定通り塗装なし。


塗装なしですが、うっすら色を付けて、若干汚した感じにして完了。


見た目は悪いですが、通常使用では全く問題なしです。


ケースに入っていても、倒れると折れますので、皆さん気をつけましょう!

 

ピックガード交換(Martin) / Tor- Tis(トーティス)

こちらのピックガードを交換します。

塗りこんであり、きれいなピックガードですが・・・

 

ハガレて端がめくれていたり、そういった場合に交換するのが常ですが、今回はどうしても見た目のよいものに形も直して交換したい旨を聞かせていただき、交換です。

tortis(トーティス)と言う高価な材料なのですが、通常の材料と比べると、とても扱い難く、油断すると画像のようにアメ細工のような割れ方をしますので、本体側はぜったに割れないように慎重に扱います。

若干厚めな感じが偽っぽいのですが、これがかえって豪華な感じになるのかもしれません。


今回は塗装ありの仕上げです。


水研ぎ仕上げよりも磨きは多少楽ですが、塗装は手間が掛かります。


丁度この1弦の下に掛かる辺りからブリッジに届くあたりまで元より大きく作ってあります。


このピックガードを交換してしまうのは勿体無いと申しましたが、是非とのリクエストでした。

 

ブリッジプレート補修 / Gibson

古いGibsonのブリッジプレート。

弦のボールエンドが見えなくなるまで入り込んじゃっています。

こうなってしまいますと、弦が上へ出すぎてしまいます。

前記事参照

穴の周りは削れたり、欠けたり、グズグズになっています。

そしてこのギターの6弦の穴は、ほぼプレートギリギリに空いています。

チューニングする前に写してしまいましたが、本来、大体このようにプレートにボールエンドが乗ってとまります。

崩れた穴の周りを丸く削り取り、同じ大きさの木を埋め込んで穴を開けなおします。