普段は見えない部分ですがネックの強度にも関係してきますので必要な修理と言えます。ただ修理し終えてから思ったのですが、、なぜ掘り込みは拡大されたのでしょうか、、。ロッドを締め切っても奥に掘り込むのなら分かるのですが、、。うーん、謎。
こんな「どうしてこうなった!?」みたいなギター、たまにありますね。
当方へお問い合わせを頂く際は、ホームページのメールホームからかお電話にていただきます。
お電話で問い合わせいただき、「バインディングが剥がれてしまった。」と聞いた瞬間に頭にはマーチンの画以外浮かんできません。
もちろん、他のブランドもバインディングが剥がれる事はあるのですが、割合が雲泥の差でございます。
セルバインディングは縮むので縮んでも剥がれない様に接着してくれれば良いのですが…
他のメーカーは出来ているのですから。ねぇ。
しかし今回のこれ、これ位行くと気持ちが良いくらいな剥がれっぷりです。
バインディング剥がれは、ちょっとくらいでしたら気にしない人ならほっといても問題無いですが、ボタンなんか引っ掛けてバリバリっと行っちゃうと悲しくなりますので、お気を付けください。
やはりちょっとでも気持ちが悪いし、と言う方は修理屋さんにご依頼ください。
素人さんがやった修理は大概見た目が汚くなって無残になっています。
地味な修理ですがなかなかの難しさでございます。
スタッフの山口です。
今回もネックリセットです。得意先のショップさんからご依頼いただく修理の45%くらい(体感です)がこのネックリセット修理、ということで基本的にショップ担当の僕のブログの回はネックリセットが多いのです。どうかご容赦ください。
珍しく修理に取り掛かる前に弦高を測りました。6弦12フレットで4mmありますね。これではリンゴを握り潰せる握力の持ち主でも弾いていて疲れてしまいます。
ネック折れ修理の塗装修正のビフォーアフターと言う感じですが、過去にどこかでやったネック折れ修理を当方にて修理し直した修理です。
ネック折れ修理修理。
画像が無かったですが、この場合は一旦折れるところは折ります。
接着してるところが開きますので、付いている接着剤は取り除いて再接着します。
タイトボンドで接着のみでは強度は足りませんので、開いてしまいます。
補強をしないのであればそれ相応の強度の接着剤を使用しなければなりません。
シースルーは塗りつぶさない限り割れの跡は見えますので、多少でも目立たない様に少し濃い目に着色します。
通常は、キズ直しはお断りしていますが今回はついでと言う事で数か所ネックの打こん修正もやっております。
ぶつけた時はショックですが、ただのキズであればなにも問題ありませんし、そのうち気にならなくなってきます。
キズもそのギターの歴史の一部として愛でて頂ければ幸いでございます。
塗り直しもお断りしております。
友達のを借りてぶつけてしまったとか、塗装がべた付いて気持ちが悪いや何か演奏上不具合がある場合等はご相談ください。
当時はきっと色々な事情があって都度仕様変更がされていったのだと思います。単純に構造的改善を求めた結果だったり、経済的な事情であったり。きっと今現在も進化し続けているのだと思いますが、結局売れ筋は60年代までのリイシューモデルばかりで「古き良きGibson」なんて言われたりするのはメーカーとしては心苦しい部分もあるかもしれません。
ちなみに師匠の皆川とよくリイシューモデルがほとんど無い70年代のGibsonは過小評価され過ぎているという話をします。ネットで調べると酷い言われ方をされている記事や知恵袋が散見されますが、それらに囚われずに一度心をフラットにして弾いてみればとても良いギターだったりします。
自分が弾きやすくて音が好きで弾いていて楽しいのであれば、たとえそれが10,000円のギターであってもベストギター、「運命の相手」なのだと思います。なるべく情報やウンチクやアレコレなどに囚われずにギターと向き合っていきたいですね。
でも確かに古いギターは「おおー!」となるものが多いのも事実です。それはきっと木製楽器の宿命かもしれません。
ベリーブリッジとアッパーベリーブリッジのことを考えていたら話が全然違う方向に行ってしまいましたが、、今回も最後までありがとうございました。
12弦ギター。
弦は2倍に、手間は3倍以上に感じるのは何故でしょう。
実際にナット等、作製時間は3倍位かかっている気がします。
そしてギルド!このモデルはそんなにヒールが太く無いので心配は少ないですが、昔からネックが外し難い苦手意識が強くあります。
蒸気を使って外していた頃は、その蒸気で塗装が焼けちゃったり、2ピースや3ピースの接着部分が剥がれてしまったりする位時間が掛かる事もある為、塗装の修正(主にヒール横、ボディサイド)はする前提、塗装修正の必要が無いようにネックが外せればラッキー(ギブソンもその類)そんな感じでマーチンと比べると大分苦労が掛かります。
現在では蒸気は使わずネックを外しますので、熱による塗装へのダメージは無くなりました。
蒸気は噴出しませんが、中から熱せられますので時間が掛かればそのうち塗装にも影響を及ぼしますので、長期戦になった場合はそれなりに対処しなければなりません。
しかし、但し、尚、大き目の塗装クラックが入っている場合は、どうしても塗装が欠けたりします。
ポロポロいきます。パズルのピースのように。
サドルがいい感じの高さになりました。
トップ上の指板はエクステンション的な板が最初から足されて、指板より厚みがあります。
そしてリフレット(指板修正、フレット交換、ナット交換)
ナットは元のデザインに似せて作りますが、これは割と角張った感じ。
ナット作製で難しい部分は何か所もあるのですが、見た目が悪いだけではなく程度によっては演奏性にも影響するので6本の間隔が変にならない様に、12弦ギターでは各主弦の間隔、そして主弦に対して各副弦の間隔、バランスよく。
ちょっとのズレで 見た目が気持ちが悪くなります。
主弦と副弦の間がうんと狭いのが好きな方もいますが、私はあまり好きではないのでリクエストが無ければノーマルな雰囲気にします。
そしてヒール周りは、無事です。
塗装修正は無く出来ました。
プラスティックブリッジは60年代前半しか作られていませんので貴重といえば貴重ですが、何かしらの問題が多いためにGibson社も復活させないのではないかと思います。
なので割れたり変形していて演奏に問題がある場合は今回のような修理にならざるを得ません。もし今現在綺麗な状態もしくは演奏上問題ないのであれば保管状態に気をつけて、すなわち演奏していないときは弦を緩めてあげる事をお勧めします。しつこいようですが・・・( ´ ▽ ` )ノ
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
剥がしたところを見ますと、接着剤はスーパーグルーの類です。
この場合は、ブリッジはほとんど歪みは無い事が多いので調整は少しで済みます。
調整後、使う接着剤は、勿論アラルダイト!
ヤマハへの愚痴が出てしまいましたけど、他のメーカーも独自のシステムでやっている事は多いのでその都度面倒は面倒です。
「これどうやったら外せるんだー。」なんてことはよくあります。
ビフォ-の画像で見て頂きたいのが、フレットのエッヂ部分。
斜めに削り込んで無く、エッヂが立っている感じです。
こういうの、私個人的には非常に好感が持てます。
何かと申しますとエッヂを立てて仕上げる場合、手にチクチク触るので出来れば斜めに落としてしまいたいのです。
工場レベルの仕事であれば尚更手間がかからない様に作業したいはずなのです。
これは全く私個人の主観ですが、高いギターでもフレットのエッヂを見て、そんなことは無いのだろうと思いますが「こういうところ、手間を掛けないのね。」と思ってしまいます。
そんなこと(手抜きで)は無いのはよくわかっています。
そういうのを作っている方からは、「他んところ、手間が掛かってるでしょ!」と言う声が聞こえて来る気がします。